フッ素と虫歯予防
Q&A
目次
- 1 Q.フッ素とは何ですか?
- 2 Q. フッ素はなぜ虫歯予防効果があるのですか?
- 3 Q. フッ素にはどのくらいの虫歯予防効果がありますか?
- 4 Q. フッ素は乳歯と永久歯にどちらにも虫歯予防の効果はありますか?
- 5 Q. フッ素を使うと、虫歯にならないですか?
- 6 Q. フッ素を使うと歯が黒くなると聞いたことがありますが本当ですか?
- 7 Q. フッ素を利用したいのですが、年齢制限はありますか?
- 8 Q. フッ素をしたいのですが、保険診療になりますか?
- 9 Q. フッ素は安全ですか?体に害はありませんか?
- 10 Q. フッ素の歯磨き粉や洗口液などを使うと、フッ素の摂り過ぎになりませんか?
- 11 Q. 持病がある場合にも、フッ素は大丈夫でしょうか?
- 12 Q. フッ素はインプラントをしていても使えますか?
- 13 Q. 飲み物や食べ物にもフッ素が入っていると聞きました。フッ素を含む食品も虫歯予防がありますか?
Q.フッ素とは何ですか?
A. フッ素は食品や水、土などといった自然界に広く存在しているミネラル(栄養)で、私たちの体内では健康な歯や骨をつくるのに必要な栄養素の一つです。
動物や植物など生物の体内にも存在し、ほとんどの食べ物(野菜類、肉類等)に含まれているといわれています。
歯に使うフッ素はどんなもの?
A. 虫歯予防に使うフッ素はフッ化ナトリウム(NaF)、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、フッ化第一スズ(SnF₂)という安全性の高い「フッ化物」と呼ばれる種類です。
*本サイトでは理解して頂きやすいよう、フッ化物、フッ素化合物を総称してフッ素と表現しています。
種類 | フッ素の種類 |
---|---|
フッ素配合歯磨き粉 |
|
歯のフッ素塗布 |
|
フッ素洗口 | フッ化ナトリウム(NaF) |
Q. フッ素はなぜ虫歯予防効果があるのですか?
A. フッ素は次の働きによって、虫歯予防の効果を発揮します。
- 歯の修復(再石灰化)
- 歯質を強化する
- 虫歯菌の活動を抑える
Q. フッ素にはどのくらいの虫歯予防効果がありますか?
A. フッ素を利用した方法は大きく3種類に分けられ、虫歯予防効果も異なります。またいずれか一つより併用すると、さらに高い虫歯予防効果を期待できます。
また虫歯のなりやすさや口の中の状況等によっても、推奨される方法が異なる場合があります。
種類 | 虫歯予防効果 |
---|---|
フッ素配合の歯磨き粉 | 約30〜40% |
フッ素洗口液(うがい) | 約30〜80% |
フッ素歯面塗布 | 約40〜70% |
*むし歯予防効果の報告の値は論文によって多少の差はあります。
Q. フッ素は乳歯と永久歯にどちらにも虫歯予防の効果はありますか?
A. フッ素は乳歯にも永久歯にも、虫歯予防効果はあります。
歯が生えていれば年齢に問わず、フッ素を利用して虫歯を予防することが大切で、国や日本歯科医師会など多くの専門機関で推奨されています。
Q. フッ素を使うと、虫歯にならないですか?
A. フッ素は十分な虫歯予防効果が証明されています。ただし、虫歯の発生には歯磨きや食生活の習慣など他の要因も大きく関わっています。
虫歯を防ぐにはフッ素の利用と併せて、以下の工夫も必要です。
- 歯磨きで汚れをしっかり取り除く。
- 甘いお菓子やジュースなどを摂り過ぎない。
- 不規則な食生活やだらだら時間をかけた食事を避け、規則正しい食生活を心がける。
- 定期健診や歯のクリーニングを受けて、予防する。
Q. フッ素を使うと歯が黒くなると聞いたことがありますが本当ですか?
A. 虫歯予防に使うフッ素の成分で歯が黒くなることはありません。
銀を含むフッ素
歯科医院で虫歯の進行を止めるお薬の一つにフッ化ジアンミン銀(サホライド)というものがあり、銀の作用で歯が黒くなります。ただし、近年では以前より使われる機会は減り、特に前歯などで使用されることはほとんどありません。
フッ化ジアンミン銀は、ご自宅で使うフッ素配合の歯磨き粉や洗口液には含まれない成分であるため、歯の変色等の心配は要りません。
Q. フッ素を利用したいのですが、年齢制限はありますか?
A. 年齢制限は特になく、歯がある方が対象になります。
小さなお子様でブクブクうがいができない(3歳未満)の方、成人で虫歯になりやすい方、高齢あるいは障害で十分な歯磨きができない方など幅広い年齢層の方がご利用いただけます。
Q. フッ素をしたいのですが、保険診療になりますか?
A. はい、保険診療で行うことができます。
フッ素塗布は歯科医院で行う虫歯予防方法で、虫歯予防効果や安全性が高く、歯にお薬を塗るだけなので身体的な負担もほとんどありません。
Q. フッ素は安全ですか?体に害はありませんか?
A. むし歯予防のためのフッ素の安全性や有効性は75年以上の歴史の中で繰り返し証明されており、日本及び海外の150を超える専門機関(*)が一致して推奨しています。
またフッ素配合の歯磨き粉などの製品は法律で定められた厳密な安全基準を満たしたもののみが使用されています。
フッ素に対する反対意見では骨折やアレルギー、がん、神経系や遺伝系の病気との関連性を結びつけるものもありますが、科学的根拠に基づかない解釈やデータの誤り、一部のみを切り取ったデータ引用などが多いといわれています。
(*)推奨している専門機関の一例
WHO(世界保健機関)、FDI(国際歯科連盟)、国、日本歯科医師会、アメリカ歯科医師会など。
気になる場合には、歯科医師などの専門家に確認して判断すると良いでしょう。
Q. フッ素の歯磨き粉や洗口液などを使うと、フッ素の摂り過ぎになりませんか?
A. 通常の使用量や使用方法で、問題になることはなく、またフッ素応用方法(歯磨き粉、洗口、塗布)を併用しても全く問題ありません。
ちなみに、フッ素は小腸で吸収されて過剰な分は尿中に排泄され、吸収されたフッ素の一部は健康な骨や歯をつくるのに役立ちます。
Q. 持病がある場合にも、フッ素は大丈夫でしょうか?
A. フッ素は持病がある方も、原則問題なく使用することができます。
Q. フッ素はインプラントをしていても使えますか?
A. 口腔衛生学会等の専門機関及び複数の論文で、インプラントをしていてもフッ素配合の歯磨き粉を使うことが推奨されています。
Q. 飲み物や食べ物にもフッ素が入っていると聞きました。フッ素を含む食品も虫歯予防がありますか?
A. お茶などにも含まれていますが、フッ素濃度は0.1〜1.0ppmであり、フッ素洗口液(うがい)の225ppmと比べてもはるかに低く、虫歯予防の効果は期待できません。
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