子供の仕上げ磨きはいつまで(何歳まで)?

「子供の虫歯が心配だけど、仕上げ磨きは嫌がるし..」、「仕上げ磨きっていつまでやるの?」そんなお悩みや疑問をお持ちの親御さんも多いのではないでしょうか?
子供の乳歯や永久歯はやわらかく、虫歯が進行しやすく、仕上げ磨きはとても大切です。
ここでは、虫歯にさせない仕上げ磨きのやり方や体勢、コツをわかりやすく解説致します。
*当院は神奈川県歯科医師会認定の「小児歯科相談医」です。
また当院「大倉山駅前港北歯科クリニック」では、薬剤師免許取得の歯科医師(大学病院出身)が在籍しております。持病やお薬を服用中の方の歯のご相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。
目次
仕上げ磨きはいつまでやるの?

一般的に、仕上げ磨きは10歳頃までやった方がいいといわれています。ただ、虫歯のリスクなどによっては、12歳ごろまで推奨されることもあります。
※乳歯や生えたての永久歯(幼若永久歯)は虫歯が進行しやすいリスクがあります。
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仕上げ磨きはいつから始める?
仕上げ磨きは、乳歯が生えてくる生後6〜8ヶ月ごろからスタートしましょう。
まずは歯ブラシを口に入れることに慣れてもらうのが良いでしょう。
仕上げ磨きをしている人の割合は?
仕上げ磨きをしている人の割合は約88%と報告されています(*1)。
仕上げ磨きって意味あるの?

お子さんの歯を守るなら…
小さなお子さんが自分で全部綺麗に歯磨きをするのは難しく、磨き残しが起こりやすいです。
お子様の歯を守るためには仕上げ磨きは大切で、下のグラフのように、仕上げ磨きをした方が虫歯が起こりにくいという報告(*1)もあります。

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仕上げ磨きは姿勢が大切
仕上げ磨きを安全に行うには、まず安定した姿勢にしましょう。以下に、2つの姿勢をご紹介致します。
子供を寝かせる(寝かせ磨き)

お子さんが幼いうち(3〜5歳頃)は安定する姿勢で行うのが、最も大切です。
お子さんの頭を保護者の膝の上に乗せ、仰向けに寝かせて仕上げ磨きをしましょう。
※寝かせ磨きは子供の口の中がよく見える姿勢ですが、唾液が喉の奥にたまりやすいです。お子さんがしっかり立てるようになり、「寝かせ磨き」を嫌がるようなら、次の「立たせ磨き」も良いでしょう。
子供を立たせて磨く(立たせ磨き)

お子さんが大きくなり、1人で安定して立っていられるようになったら、立たせて磨くのも良いでしょう。
寝かせた姿勢よりも唾液が喉にたまりにくく、お子さん本人の負担が少なくなります。
立ったお子さんの背後あるいは横にまわり、子供の頭を脇・胸&反対の手で固定して磨きましょう。
仕上げ磨きの正しいやり方
歯ブラシの選び方

“子供が自分で磨く歯ブラシ”と“仕上げ磨きの歯ブラシ”はできれば、別の種類のものを用意するのがおすすめです。
⇨下の表は横にスクロールできます。
| 種類 | ポイント |
|---|---|
| 子供が自分で磨く歯ブラシ |
|
| 仕上げ磨きの歯ブラシ |
|
歯ブラシの持ち方

歯ブラシの正しい持ち方は、“鉛筆を持つ”ときの持ち方(ペングリップ)です。歯ブラシを正しく持つと、力を入れすぎずに歯磨きをしやすくなり、歯や歯茎を傷つけにくくなります。
歯ブラシの当て方

歯ブラシは歯の表面に対して直角に当てます。

また歯垢がたまりやすい場所は歯ブラシを小刻みに動かして磨くのがコツです。
歯磨き粉の選び方

子供の虫歯予防のコツは“歯磨き粉の使用”です。
特に歯磨き粉に含まれるフッ素の虫歯予防効果は明らかで、現在は歯の生え始めの時期(生後6〜8ヶ月ごろ)から歯磨き粉の使用することが推奨されています(2023年1月、歯科の4つの専門学会による)。
仕上げ磨きの回数は?
仕上げ磨きの回数は理想をいえば…毎食後1日3回です。
しかし、実際には幼稚園や保育園、小学校に行っている間に仕上げ磨きはできません。最も虫歯リスクが高まるのは“寝ている間”ですので、“寝る前”は必ず仕上げ磨きをするのがおすすめです。
仕上げ磨きを嫌がるときは?

お子さんが小さいうちは、歯磨きを嫌がる場合が多いです。無理に仕上げ磨きをすると、歯磨きが嫌いになり、歯磨きを習慣化しにくくなり、逆効果になってしまいます。
歯磨きを嫌がる場合は、以下のポイントを押さえて、短時間に丁寧に手早く行いましょう。
- やさしく話しかける。
- 歌を歌いながら、あるいは楽しく話しながら笑顔で進める。
- やさしく小刻みに歯ブラシを動かして磨く。
- お子さんの好きな味の歯磨き粉を使う。
- 時間をかけすぎない。
- お子さんが唾液を飲み込めるよう、途中で一度歯ブラシを口から抜く。
- 上唇小帯を指で押さえて、歯ブラシがぶつからないようにする。
※仕上げ磨きが終わったら、たくさんほめてあげましょう。
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年齢別の仕上げ磨きのコツ
仕上げ磨きは一般的に、歯が生え始める生後6ヶ月ごろから10歳ごろまで行うことが推奨されています。
発育途中のお子さんのお口の中では、歯の生え始め・生え変わり・歯並びなどいろいろな変化があります。仕上げ磨きをしていると、お口の中の変化にも気づきやすくなります。
ここでは、各年齢の仕上げ磨きの要点を解説致します。
⇨下の表は横にスクロールできます。
| 年齢 | 要点 |
|---|---|
| 0〜2歳ごろ | 歯ブラシあるいはガーゼを口の中に入れるのに慣れてもらいましょう。 |
| 3〜5歳頃ごろ | 奥歯が生えてきますが、磨き残しが起こりやすいので要注意。 |
| 6〜9歳ごろ | 生えたての永久歯はやわらかくて虫歯リスクが高いもの。
特に1番奥の歯は丁寧に仕上げ磨きをしましょう。 |
| 9〜12歳ごろ | 本人に自分で歯磨きをしてもらい、磨き残しが起こりやすい箇所をチェックしながら、仕上げ磨きをしましょう。 |
虫歯の原因には歯並びも関係する?!

歯磨きは大切ですが、歯並びが悪いと磨き残しが起こりやすくなり、虫歯のリスクが高まってしまいます。
「歯磨きをちゃんとしてるのに、虫歯ができてしまう…」ということも。
歯がガタガタしてる場合は歯並びを綺麗にすることで、磨き残しが少なくなり、歯の健康を保ちやすくなることもあります。
歯並びが悪い子が増えている?!
国立成育医療研究センターによると(*2)、歯並びが悪い子供が増加傾向にあることが報告されています。
⇨下の表は横にスクロールできます。
| 悪い歯並びの種類 | 1999年 | 2011年 |
|---|---|---|
| 出っ歯 |
8.6% |
14.3% |
| 受け口 | 12.6% | 16.7% |
※また歯並びが悪い原因には、口呼吸や低位舌が関連していることもあります。
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虫歯の子供の割合は減少!
定期健診が大事
厚生労働省によると、子供の虫歯の割合は約30年前と比べ、1/10以下に減少しています。
子供の虫歯の数が減った理由の一つが、健康意識の向上に伴う定期健診の普及です。

乳歯や生えたての永久歯は虫歯になりやすい他、顎の成長などチェックすべきポイントはたくさんあります。
お子様の歯や口の健康を守るためには、定期健診を受けるのがおすすめです。
まとめ
仕上げ磨きは虫歯の予防の一つですが、嫌がる子供に無理やり行うと逆効果になることがあります。まずはお子さんに歯磨きを慣れてもらう、歯磨きを楽しんでやってもらうことから始めるのが良いでしょう。
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(参考文献)
*1:小児保健研究「むし歯数が多い地域におけるむし歯予防対策の検討」P284〜288 阿久津和子、横山浩之
*2:国立成育医療研究センター(2017年)「歯科保健分野の保健指導のポイント」

