舌の位置の正しい場所は？
低位舌とは？
舌の位置の正しい場所ついて、気にしたことはありますか？「舌の正しい位置？気にしすぎでは？」と感じる方もいるのではないでしょうか？
舌の位置や動きが正しくないと、歯並びや顔つき、「話す」、「食べる」、「飲み込む」、「呼吸する」機能にも悪影響を与えてしまいます。
ここでは、「舌の正しい位置とは？」、「舌の位置の治し方（治療）は？」、「舌の位置は矯正治療や顔つき、歯並びにも影響する？」など舌の位置に関する内容をわかりやすく解説していきます。
目次
舌の正しい位置とは
舌の正しい位置とは、軽く口を閉じた時に下図のような状態にあります。
正しくない舌の位置
「低位舌」や「舌突出癖」
舌が正しくない位置にない場合、誤った舌の癖や位置が習慣化していることがほとんどです。
誤った舌の位置や癖として、「低位舌」や「舌突出癖」（以下各参照）があります。
低位舌
舌の位置が通常より低い位置にある状態を、「低位舌」と呼びます。
舌突出癖
また舌を前に出す癖を、「舌突出癖」と呼びます。飲み込むときや普段の日常で、無意識に舌を前に出すため、自覚がないことがほとんどです。
低位舌や舌突出癖の問題とは？
低位舌や舌突出癖の場合、次の問題や影響が起きやすくなります。
- 歯並びが悪くなる（歯並びがガタガタ、すきっ歯、受け口、前歯で噛めない）
- いびき・睡眠時無呼吸症候群につながりやすい
- 口呼吸や口がぽかんと開いている状態になりやすい、風邪をひきやすい
- 上顎の成長発育が悪くなることがある
- 発音や滑舌が悪くなる
- 虫歯や歯周病のリスクが高まる
歯並びが悪くなる
舌の位置は歯並びや顎の成長発育（顔つき）に関係し、正しくない位置や癖があると悪影響を与えます。
いびき、睡眠時無呼吸症候群
舌が低いと気道を塞がりやすく、いびきや睡眠時無呼吸症候群を起こす可能性があります。
また睡眠時無呼吸症候群は、日中の眠気（交通事故の危険性と関連）や歯ぎしり、心筋梗塞、脳梗塞、高血圧、夜間突然死のリスクなどの多くの合併症のリスクもあります。
口呼吸
口呼吸の場合、鼻呼吸と比べて舌の運動量が減り、舌の筋力や位置が低下してしまいます。
また口呼吸になると口が乾くため、口の中の雑菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病、口臭の悪化、歯並びの変化を招きやすくなります。
低位舌の原因
低位舌の原因には、以下のことが挙げられます。
- 舌の筋力の低下
- 舌小帯（舌の下のスジ）の異常
- 口呼吸（歯並びや舌の癖などによる影響）
- 指しゃぶりやおしゃぶりの習慣化
治し方
舌の体操
舌の筋肉を鍛える体操で、継続しておこなうことで効果が期待できます。大変な場合には、最初は回数などを減らして無理のない範囲でやってみると良いでしょう。
あいうべ体操
1日10回×３セット程度を繰り返します。福岡県の内科医の先生によって考案された方法で、くち呼吸から鼻呼吸への改善につながります。
「べろはたから」体操
「べ」、「ろ」、「は」、「た」、「か」、「ら」と大きくおくちを動かして舌や唇などの筋肉を鍛え、1日20回程度繰り返します。
| 発音語 | 目的 | 働き |
| べ | 舌の筋肉を鍛え、おくちの中で食べ物を整えます。
|
舌を大きく動かせる。 |
| た | 食べものを押しつぶす。 | |
| ろ、ら | 食べものを丸め、奥に送り込む。 | |
| は、か | 上あごの奥の筋肉を鍛え、誤嚥防止につながる | のどの奥を閉める。 |
ガムをつかったトレーニング
ガムをつかった簡単なトレーニングです。ガムはキシリトール配合の種類のものをお選びいただくと、虫歯の心配がありません。家でも外でもできるので、無理のない範囲で試してみましょう。
1. ガムをおくちの中で左右均等に噛みます。
2. 舌を使って、ガムをボール状に丸めます。
3. 舌を使って、ガムを上あごの真ん中に押しつけて広げましょう。
4. そのまま、唾液を数回飲み込みます。
このとき、舌を正く使っていると、上あごに貼り付いているガムが三角形に流れます。
専用の器具をつかった方法
ムーシールド
パタカラ
低位舌の疑いのある方
口が開いている・口呼吸になっている
舌の位置が低く下がっていると、舌によって気道がふさがりやすくなります。そのため、鼻呼吸では息苦しく、無意識でおくちを開けて呼吸しやすくなります。
日常的に「おくちが開いている」・「くち呼吸になっている」場合には唇の荒れや乾燥がみられたり、あごにしわが寄っていることが多くございます。
舌苔がつきやすい・口臭がある
低位舌によりくち呼吸になると、おくちが乾燥しやすくなるため、舌表面が唾液で洗い流されにくくなります。またおくちの雑菌が繁殖しやすくなり、口臭をまねきやすくなります。
虫歯・歯周病になりやすい
おくちの乾燥は舌の表面だけでなく、おくちの中全体の雑菌の増殖にもつながるため、虫歯や歯周病になりやすい・悪化しやすいなどの問題につながりやすいといわれています。
いびきをかく
舌の位置が低く下がっていると、気道が舌でふさがりやすくなります。いびきなどの指摘がある方は低位舌の可能性もありあります。
舌の側面に歯の痕がある
低位舌の場合、舌が下の歯の内側に触れた状態になります。そのため、舌のふちに歯の痕がつく場合があります。
（補足）
ちなみに、歯のふちに痕がつくもうひとつの原因に「歯列接触癖（TCH）」があります。歯列接触癖は顎関節症の原因の一つと考えられています。
音をたてて食事をする
低位舌で舌の筋肉が低下していると、口の中で舌によって食べ物をまとめたり、押しつぶすことなどができにくくなるため、クチャクチャと音をたてた食事になります。
滑舌が悪い
舌の筋肉が低下すると、上あごの天井を舌で触れることが難しくなります。そのため、舌を上あごにくっつける発音（タ、ナ、ラ行）などがしにくく、滑舌が悪くなります。
むせやすい
舌の筋肉が弱っていると、舌を上にあげて食べ物を正しく喉奥に送り込むことが難しくなります。そのため、正常な飲み込みがしにくく、むせやすくなります。
