歯周病を放置するとどうなる?
歯周病の名前をご存知でも、実際に自分が歯周病かどうか把握できる方は少ないのではないでしょうか。歯周病はほとんど自覚症状がなく、自分では気づきにくく、異変を感じたときにはすでに重症化していることが多い病気です。
ここでは、歯周病が進行すると起きる問題などを詳しく解説致します。
目次
歯周病は自然に治る?
「歯茎が腫れてぶよぶよしてる?!」、「歯茎から膿が出る…」など小さな違和感を感じても、放置してしまう人がいるのも事実です。「放っておいたら歯茎が治った」と感じることもありますが、実は歯周病は着実に進行しています。
歯周病はなぜ自然治癒しない?!
歯周病の原因は「歯垢(プラーク)」という細菌の塊です。
歯垢は歯と歯茎の間にたまりますが、すべての歯垢を歯ブラシで取り除くことはできません。残った歯垢がある限り、歯周病は治癒どころか、進行し続けます。
歯周病を放置すると…
骨が溶ける
歯周病は歯茎が痩せ、歯を支える骨が溶ける病気です。歯周病が進行すると、歯茎から血が出る・歯茎がぶよぶよする・歯が浮いたように感じるなどの症状が出ます。
さらに放置すると、硬いものを噛みづらい・歯がぐらぐらするようになり、末期状態になると歯が抜けてしまいます。
歯周病は1本の歯だけではない!
歯周病菌は口の中全体に生息するため、1本の歯だけ歯周病ということはありません。歯周病を放置すると他の歯にも感染が広がり、すべての歯茎や顎の骨が溶けて痩せてしまいます。
歯が抜ける
歯を失う原因で最も多いのが、実は歯周病。
虫歯より歯周病で歯を失う人の方が多く、全体の約37%を占めています。
歯周病は自覚症状がほぼなく、進行するため、気づきにくく、重症化しやすいことが特徴です。
全身の病気のリスク
歯周病菌や毒素は歯茎の血管から侵入し、全身の臓器に到達して、以下の病気を誘発することが明らかになっています。
- 糖尿病
- 心臓病
- 脳卒中
- 早産・低体重児出産
- 誤嚥性肺炎
- 骨粗鬆症
- 認知症
- 腎臓病
- 肝炎
- 関節リウマチ
- 肥満
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歯周病の代表的な症状
では、歯周病だとどんな症状が出るのでしょうか。歯周病には以下のような典型的な症状が挙げられます。
一つでも当てはまる症状があれば、歯周病の疑いがあります。歯周病は早い段階で治療を始めるほど、進行を止めやすくなります。
- 歯磨きをすると血が出る
- 歯茎がぶよぶよしている
- 歯茎が下がる/歯が長く見える
- 歯茎から膿が出る
- 口臭がある
- 硬いものを噛みにくい
- 歯がぐらぐらする
- 歯がしみる
- 噛むと痛い
歯周病の進行度
歯肉炎、初期の歯周病
初期の歯周病は、歯茎や骨に軽度の炎症がある状態です。歯茎の腫れや出血などの症状があり、丁寧な歯磨きと歯医者さんでの歯のクリーニングでほとんど改善できます。
中等度の歯周病
歯を支える骨が半分くらい溶けた状態で、歯茎から膿が出る・歯が揺れる・口臭が気になるなどの症状が出ます。歯周病治療で歯垢や歯石を徹底的に除去します。
また必要に応じて、歯周病菌やカビを除菌するお薬などを使用することもあります。
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重度の歯周病
歯を支える骨の大半が溶けてしまった状態です。歯がぐらぐらする・膿がたまって急に歯茎が腫れる・うまく噛めない・噛むと痛い・口臭がひどいなどの症状が出ます。最悪の場合、歯が自然に抜けてしまいます。
歯周病を手遅れにしないために
歯周病は自分で気づかないまま進行する病気です。気づいたら手遅れ..ということも少なくありません。
歯茎に異変や違和感を感じたら、早めに担当医に相談しましょう。定期的な歯科健診や歯のクリーニングで歯周病菌を取り除くことが大切です。
また生活習慣の見直しも歯周病を防ぐのに重要で、バランスの良い食事内容や十分な睡眠は歯・体の健康にとって不可欠です。
もう一つ重要なのは、噛み合わせの改善です。歯周病は歯に負担がかかると、進行します。歯がない場所を放置すると、残っている歯に負担がかかり、歯周病が悪化しやすくなります。歯周病の予防には、歯に負担が集中しないようにすることも非常に重要な要素になります。
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