歯周病の歯茎・骨の再生治療
リグロス、エムドゲイン、GTR法とは?!

歯周組織の再生のイラスト画像

歯周病は成人の約8割がかかっており、歯を支える骨が溶けて「歯がぐらぐらする」病気です。歯周病は症状が出にくいため、手遅れになりやすく、骨が失われると、歯が抜けてしまうことも珍しくありません。

歯を失う原因となる病気を示す画像

歯周病の再生治療は、歯周病で退縮した骨や歯茎を再生させる治療方法です。ここでは最新の歯周病治療について、わかりやすく解説致します。

歯周組織の再生治療の種類

歯周病の再生治療には、主に以下の種類が存在します。

  • リグロス(2016年に厚生労働省に認可)
  • エムドゲイン(主に2000年代に多用)
  • GTR法(主に1990年代に多用)

リグロス

歯周再生療法(リグロス)の画像

「リグロス」は日本の製薬会社が開発した世界初で最先端の歯周組織再生のお薬です。

成分

トラフェルミンと呼ばれる塩基性線維芽細胞成長因子(FGF)が主成分です。

仕組み

歯槽骨の再生を示す画像

「リグロス」は血管の再生や細胞の増殖を助け、骨や歯茎の再生を促します。

術式

歯周組織再生療法(リグロス)の画像

歯周病の手術をし、失われた骨の部分に「リグロス」を注入します。

リグロスのメリット・デメリットは?

メリット デメリット
  • 歯の寿命を延ばしたり、歯を温存できる可能性がある。
  • 保険適用である。
  • 他の再生療法と比べ、高い再生効果が報告されている。
  • 再生するのに時間がかかる(6ヶ月以上)。
  • 口腔がんの方には適用できない。
  • 骨の状態によっては適用にならないことがある。

効果

歯周病の再生治療の比較データ

リグロスは「エムドゲイン」や「通常の歯周病手術」と比べ、骨再生効果が高いことが報告されています。しかし、各再生治療には特徴があるため、歯や骨の状況、適応症と合わせて考える必要があります。

リグロスの費用

リグロスは保険適用(自己負担3割の方)で約7000〜9000円となります。その他、初診・再診料、手術費用、レントゲン撮影費用などが保険診療内でかかります。

エムドゲイン

歯周組織再生療法(エムドゲイン)の画像

スウェーデンのビオラ社から開発された歯周組織再生のお薬です。エムドゲインは日本で1998年に初めて認可され、2002年には改良版の「エムドゲインゲル」が発売されました。20年以上の歴史と世界で200万人以上の治療に使用された実績があります。

成分

「エナメル マトリックス デリバティブ」(*)と呼ばれるタンパク質が主成分です。

*歯をつくる時に必要な天然のタンパク質です。

仕組み

「エナメル マトリックス デリバティブ」を骨に塗布すると、歯がつくられる時と同じ環境が作り出され、細胞の増殖を促し、歯周組織を再生します。

術式

「リグロス」とほぼ同様です。

エムドゲインのメリットとデメリットは?

メリット デメリット
  • 歯の寿命を延ばしたり、歯を温存できる可能性がある。
  • 手術後の炎症を抑え、治りを早める効果がある。
  • 保険適用ではない。
  • 再生するのに時間がかかる。
  • 骨の状態によっては適用にならないことがある。

効果

エムドゲインの効果を示す円グラフ画像

エムドゲインの効果と喫煙者との比較のグラフ画像

エムドゲインの費用

1歯60,000円〜となります(お薬代等を含む)。

GTR法(歯周組織再生誘導法)

歯周組織再生療法(GTR)の人工膜の画像

GTR法は人工膜(メンブレン)を使った歯周組織再生療法です。人工膜を設置して骨を作るための空間を作り、骨再生の妨げになる歯肉の侵入を防ぎ、新しい骨を再生させます。

GTR法は1982年にスウェーデンで開発された方法で、日本では1992年に人工膜「ゴアテックスGTRメンブレン」が厚生労働省に認可され、2008年から保険適用になりました。

☞GTRはGuided Tissue Regeneration Techniqueの略で、歯周組織の再生と誘導の意。

成分

メーカーによって異なりますが、主成分は次のものがあります。

  • 乳酸/グリコール酸共重合体
  • コラーゲン

術式

歯周組織再生療法(GTR法)の画像

GTR法のメリット・デメリットとは?

メリット デメリット
  • 歯の寿命を延ばしたり、歯を温存できる可能性がある。
  • 保険適用である。
  • 失われた骨の範囲が広い場合に有効。
  • 手術が難しく、感染のリスクがある。
  • 再生するのに時間がかかる。

GTR法の費用

保険適用(自己負担3割の方)で約3000〜4000円となります。その他、初診・再診料、手術費用、レントゲン撮影費用などが保険診療内でかかります。

注意点

説明をする歯科医療従事者の画像

歯周病の再生治療は、すべての方に使えるわけではありません。以下の注意点をご参照ください。

  • 歯周病の重症度や失われた骨の形、量によっては再生治療を適用できないことがございます。
  • 再生できる骨の量には限度がございます。
  • 歯周病の再生治療は手術が必要です。
  • 歯周病の原因(歯垢など)をあらかじめ、取り除く必要があります。

再生療法の併用

また状況によっては、複数の再生療法を組み合わせて併用して、骨の再生効果を高めることもできます(保険適用外)。

歯周組織再生療法の失敗は?

「リグロス」や「エムドゲイン」、「GTR法」いずれの歯周組織再生療法でも、効果を高める(失敗のリスクを下げる)ためには、生活習慣の改善や歯磨き、持病の管理が大切です。

特に、次の場合には骨の再生効果が得られにくいことがあります。該当する方は治療効果を高めるために、可能なところから改善に取り組むと良いでしょう。

  • タバコを吸っている方
  • 免疫力の低下する持病のある方(未治療の糖尿病、抗がん剤やステロイド剤使用中など)
  • 口の中が汚れている

該当する方は、効果を高めるために、可能なところから改善に取り組むことがおすすめです。

まとめ

歯周組織再生療法は、歯周病で溶けてしまった骨を再生する有効な治療法です。一方で、歯がひどくグラグラするなど重度の歯周病では適用にならないこともあります。

歯を健康に保つためには、歯周病を早期に予防し、定期的に健診やクリーニングで歯周病菌の繁殖を防ぐことが大切です。

当院では歯周病でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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