歯周病と糖尿病

歯周病と糖尿病は、互いの病状を悪化させる関係にあることをご存知でしょうか。糖尿病の方は歯周病が悪化しやすく、

また歯周病治療で糖尿病（HbA1Cや血糖値）が改善することも多くの研究で報告されています。

ここでは、糖尿病および歯周病について、わかりやすく解説致します。

糖尿病について

患者数

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」（2019年時点）によると、糖尿病は予備軍などを含めると約2000万人とされ、おおよそ国民の6人に1人と推計されています。

男性がやや多い

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる」人の割合は男性が19.7%、女性が10.8%となっています。

互いに影響し合う？！
歯周病と糖尿の関係と仕組み

糖尿病から歯周病

糖尿病では免疫力の低下や口の渇きによって、歯周病菌が繁殖し、歯周病が進行・悪化しやすくなります。

口が乾く

糖尿病患者の約3割は「口が乾く」といわれています。口が乾くと、口の中の細菌が繁殖しやすくなります。

口が乾く

血液や唾液中の糖の増加

糖尿病だと血液や唾液中の糖分が多いため、細菌が糖を利用して繁殖しやすくなります。

免疫細胞の活動低下

糖尿病は免疫細胞の機能が低下するため、歯茎の防御力も低下します。

血管障害

糖尿病では血管が傷つき、血流が悪くなるため、歯茎に栄養が届きにくく、回復しにくくなります。

歯周病から糖尿病

歯周病菌の毒素がインスリンの働きを妨げるため、血糖値が上昇し、糖尿病の悪化を招きます。

糖尿病がもたらす口の病気

糖尿病は

• 歯茎の免疫力が低下する
• 口が乾く（細菌が増殖しやすい）

ことで、虫歯や口臭、口腔カンジダ症（カビの一種）、味覚障害、口内炎などのリスクが高まります。

糖尿病なら歯周病に要注意

糖尿病だと歯周病になりやすい

糖尿病だと健康な場合と比べ、約2倍以上歯周病になりやすいといわれています。

糖尿病だと歯周病は重症化しやすい

糖尿病だと健康な場合と比べ、歯周病が重症化しやすくなることが知られています。

特に血糖値が高い糖尿病の方ほど、歯周病は悪化しやすく、HbA1cが7.0%以上の場合、歯周病は特に重症化しやすくなると報告されています（アメリカ歯周病学会、ヨーロッパ歯周病連盟による）。

歯周病の程度と死亡率

糖尿病でも歯周病が軽度であるほど、死亡率が低いことが報告されています。

健康の秘訣！
歯周病治療

歯周病治療で糖尿病が改善

歯周病治療を継続して行うと、糖尿病患者のHbA1cが0.4〜1%程度低下（改善）するという報告もあります。

HbA1cの1%分の意義は大変大きく、糖尿病に関連した死亡率を約21％予防できるともいわれています。

糖尿病の方の歯周病はとても大切で、日本糖尿病学会による「糖尿病診療ガイドライン」、日本歯周病学会による「糖尿病患者に対する歯周病治療ガイドライン」で推奨されています。

歯周病が進むと歯が抜ける？！

歯周病は歯を失う最大の原因です。自分の歯で生涯にわたり、おいしく食事をするためには、歯周病と糖尿病の管理が大切です。

長生きのコツは歯周病対策

歯が健康だといろいろな物が噛むことができ、偏りなく十分な栄養を摂ることができます。

まとめ

歯周病や糖尿病はどちらもほぼ自覚症状がないまま、進行し、やがて歯と全身に大きな影響を与えます。歯周病の治療は、定期的な健診や歯のクリーニングが欠かせません。

当院では管理栄養士が在籍しており、歯周病治療および栄養指導も承っております。歯周病や糖尿病でお困りな方はお気軽にご相談ください。

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歯・歯茎・骨に関わる栄養素

（参考文献）

・Mealey BL, Oates TW. Diabetes mellitus and periodontal diseases. J Periodontol 2006 Aug; 77 (8): 1289–1303.

・Lalla E et al Diabetes mellitus and periodontitis: a tale of two common interrelated diseases. Nat Rev Endocrinol 7: 738-748, 2011

・Simpson TC et al Treatment of periodontal disease for glycaemic control in people with diabetes. Cochrane Database Syst Rev: CD004714, 2010