子供の口や舌のトレーニング
口腔筋機能療法とは

子供の笑顔の画像

お子さんの口や舌の発達が歯並びや噛み合わせ、顎の発育、虫歯、口臭などに深く関わっていることをご存知でしょうか。

口や舌の筋肉が正しく発達できないと、歯並びが悪くなるだけでなく、正しく「食べる」、「しゃべる」、「飲み込む」、「呼吸する」ことができなくなってしまいます。近年では、お子さんの口の発育を正しく促して全身の健康につなげる「口育」が注目されています。

ここでは、お子さんの全身の健やかな発達につながる「口腔筋機能療法」(口や舌の筋肉のトレーニング)について、わかりやすく解説致します。

口腔筋機能療法とは?

「口腔筋機能療法」とは、口や舌の筋肉の発達を正しく促すためのトレーニング(訓練)ための治療方法で、MFT( MFT:oral MyoFunctional Therapy)と呼ぶこともあります。

口の発達が不十分?!

お口や舌の発達が不十分である状態を「口腔機能発達不全症」と呼びます。

「口腔機能発達不全症」では、食べる・飲み込む・しゃべるなどの動作を正しくできなくなります。

口腔機能発達不全症

「口腔機能発達不全症」の例

口呼吸の子供の口の特徴的画像

  • お口がぽかんと開いている。
  • 食べこぼしが多い。
  • 食べるのが遅い。
  • 滑舌が悪い。
  • 飲み込むときに口元が突出する。

口の発達不全が与える問題

  • 歯並びや噛み合わせが悪くなる
  • 顎の発育が妨げる
  • 顔つきが悪くなる
  • いびき・睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まる
  • 虫歯や口臭につながりやすい

口と舌のトレーニング法
(口腔筋機能療法)

「口腔機能発達不全症」を治すのが、「口腔筋機能療法」です。

ただ、難しくて大変なトレーニングになると長くは続かず、効果はあまり出なくなってしまいます。口や舌のトレーニング法には次のように、いろいろな方法があるのでお子さんに合った方法で行いましょう。

遊びながら楽しくできるトレーニング

シャボン玉を吹く子供の画像

  • 口笛
  • シャボン玉
  • 風船をふくらませる

口笛やシャボン玉は唇や頬、舌をうまく使うので、口まわりの筋肉を鍛えるのに良い方法です。また風船をふくらますときには唇をしっかりと閉じて、頬や舌を力を入れるため、口まわりの筋肉の発達を助けるおすすめの方法です。

舌の位置を正す スポットポジション法

舌の位置は顎の成長や歯並びに深く関わっています。スポットポジション法は、舌を正しい位置に置くように促す訓練です。

  1. スポット(下図)をスプーンやアイスの棒などで触れて、正しい舌の位置をお子さんに教えます。
  2. 舌を上にあげて、スポットを舌の先で5秒ほど触れたままにしてから、離します。このとき、舌が丸めないことが大切です。

これを5回ほど繰り返します。

舌の正しい位置の画像

舌の正しい位置とは?低位舌とは?

舌の位置と歯並び

低位舌のセルフチェック

舌を持ち上げる ポッピング法

ポッピング法は、舌を持ち上げて、舌の筋力を鍛えるトレーニング法です。

  1. 舌全体を上顎に吸い付けます。舌の先は「スポット」(上図)に置き、舌の下のスジをしっかりと伸ばします。
  2. 上顎に吸い付けた舌を下に跳ねつけて、音を鳴らします。

これを5〜10回ほど繰り返します。

舌を上下させる運動療法の画像

舌が上顎にくっつけられない?!

舌の下のスジが短い場合には、舌を動かせる範囲が制限され、上顎に舌の先をくっつけられないことがあります。

舌の下のスジが異常に短い状態は「舌小帯短縮症」と呼び、「滑舌が悪い」・「うまく飲み込めない」症状が出たり、顎が正しく発育しにくくなります。

舌小帯短縮症の場合は、スジを伸ばす訓練や手術が必要になることがあります。

舌の正しい位置の画像

舌小帯が短い?!

あいうべ体操

「あいうべ体操」は「あー」、「いー」、「うー」、「ベー」と口を大きく開けたり、唇をすぼめたり、舌を思いっきり突き出して舌や口まわりの筋肉を鍛えるトレーニングです。

1セットを4秒くらいかけ、1日30回くらいを目安に行うことが勧められています。

口まわりの筋肉を鍛えるトレーニング「あいうべ体操」の画像

あいうべ体操

正しく飲み込み方の訓練 スラープ&ストロー法

スラープ&ストロー法は、正しい飲み込み方を訓練する方法です。

  1. 舌を上顎に吸い付けたまま、舌の下にストローを横にして置きます。
  2. 犬歯あたりでストローをやさしく噛むように、口を閉じます。(舌の先は上につけたまま)
  3. 口角あたりからスプレーで口に水を入れます。
  4. 舌を上顎にくっつけたまま、飲み込みます。

まずは1〜2.までを行い、しばらく舌を上にあげたまま保持する「ポスチャー法」から始めるのも良いでしょう。

ストローを使った舌のトレーニング法

誤った飲み込み方と噛み合わせ

正しい飲み込み方の場合、舌の先が上顎の天井を押すように動きます。一方で、誤った飲み込み方の場合、舌が前に突き出す動きをします(異常嚥下癖)。

口や舌の発育の簡単チェック

お子さんが「食べる」、「しゃべる」、「飲み込む」、「呼吸する」ときに、次の様子がみられるときには“口腔機能発達不全症”かもしれません。

食べる

  • 食べるのが遅い
  • 食べるときにくちゃくちゃ音をたてる
  • 食べこぼしが多い
  • 硬いものを嫌がる
  • 飲み物がないと食事ができない

しゃべる

  • 滑舌が悪い(舌足らず)
  • サ・タ・ナ・ラ行がうまく言えない

飲み込む

  • むせる
  • 飲み込むときに口周りが突出する(異常嚥下癖)

呼吸する

  • 口呼吸、お口がぽかんと開いている
  • ため息が多い
  • 呼吸が速い

口呼吸

まとめ

口や舌の発達不全は歯並びや噛み合わせ、顎の発育、虫歯、口臭などと関わっています。幼い頃から口を正しく育てることがお子さんの健やかな未来につながります。

「お口がぽかんと開いている?!」などお子さんの口まわりの様子でご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。

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