歯が折れた!ぶつけた・ぐらぐらして痛い!
歯の神経への影響は?
転んで歯をぶつけてしまうと、「歯が折れた・欠けた」、「歯が痛い・ぐらぐらする」ことがあります。また歯に強い力がかかると、歯の神経は死んでしまうこともあります。
ここでは、歯をぶつけたときに起こる症状や問題点、治療法などについて、解説していきます。
目次
なるべく早く受診するのがおすすめ
転んで歯をぶつけた場合、早急に歯が欠けたり折れていないか、歯茎や唇などのケガの具合、歯の神経への影響を診てもらうことが大切です。また子供の場合には、永久歯への影響も考える必要があります。
出血があればガーゼで押さえる
転んで唇や歯茎を切ってしまい、出血があることも多いですが、あわてずに清潔なガーゼで止血をしましょう。
傷口を触らない
傷口を手や指で触ると雑菌が入り、化膿してしまうことがあります。なるべく傷口は触れないように注意しましょう。
歯が抜けた場合は?
抜けた・欠けた歯は保管
抜けた歯や欠けた歯のかけらは、見つかったら保管して持参してください。条件が良ければ、歯を植え直したり(歯の再植)、歯のかけらを利用できることもあります。
できるだけ早く歯医者さんへ
抜けた歯の根の組織はとても弱く、時間が経つと壊死するため、歯の再植はできるだけ早く行う(可能であれば歯が抜けた後30分)ことが大切です。
歯が折れてない(欠けてない)場合も歯医者さんへ
歯をぶつけた直後に異変がなくても、強くぶつけている場合には歯の根が折れていることがあります。
また見た目は問題がなさそうでも、しばらくして「歯が変色する・歯茎が腫れる(歯の神経が死んでしまう)」こともあり、歯医者さんに早めに診てもらうことをおすすめします。
歯の神経が死ぬ?
歯を強くぶつけるとしばらくして、歯の神経が死んでしまう(壊死)ことがあります。ぶつけてぐらぐらになった歯の約20%で、歯の神経の壊死がみられます。
(参考文献)「歯の外傷の臨床的検討」山根正之先生ら 日本口腔外科学会雑誌 Aug.1995
歯の神経の検査
ぶつけた歯の状況
ぶつけた歯の状況は多い順に、次のようになります。
- 歯がぐらぐらする
- 歯が折れた・欠けた・割れた
- 歯が抜けた
子供と大人の違い
時期 | ぶつけた歯の状態 |
子供 |
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大人 |
|
「歯がぐらぐらする」
治療方法
ぐらぐらした歯を隣の歯と専用の接着剤で、一時的に固定します。状況に応じて、ワイヤーやマウスピースを併用します。
また歯が抜けてしまった場合には、条件が良ければ、元の場所に植え直す治療(「抜けた歯の再植」)を行います。
気をつけること
- 固定中の歯で強く噛まない
- 口の中を清潔にする
年代別
「歯がぐらぐらする」や「歯の向きがずれた」などは、特に子供や若い人に多いのが特徴です。
歯が折れた・欠けた
治療方法
「歯が折れた・欠けた」場合、詰め物や被せ物などで治すことが多いです。
年代別
「歯が折れた・割れた・欠けた」は、子供や若い人より大人に多いのが特徴です。
歯のけが
~多発する年齢・時期~
歯のけが(外傷)は、特に1〜3歳の乳幼児あるいは7〜9歳の時期に多発します。
また成人では転倒や交通事故、暴行などが原因で、歯をけがすることが多いと報告されています。
1〜2歳
歩行が発達途中で不安定なため、転倒や転落、衝突が日常生活の中で起きやすい時期といわれています。
ぶつけた歯や外力が加わった方向によっては、永久歯に影響を与えることもあります。
7〜8歳
行動が活発化する年齢で、友達と遊んでいるときやスポーツ(運動)、自転車での転倒などが起きやすい時期といわれています。
また上の前歯はすでに永久歯に生え変わっている場合も多い時期でもあります。
乳歯をぶつけた!
永久歯への影響は?
乳歯をぶつけたときには
- 永久歯の色・形状の異常
- 永久歯が生える時期の遅れ
が起きることがあります。またケガをした(歯をぶつけた)年齢が低いほど、永久歯への異常は発生しやすくなります。
永久歯の色・形状の異常
乳歯を強くぶつけた場合、同じ場所の永久歯に次のような影響が出ることがあります。
- 永久歯の見た目の異常(白色や黄色の斑点)
- 永久歯の形の異常
- 歯の根の発育不全
永久歯が生える時期の遅れ
上の前歯(乳歯)をぶつけたとき、約7.6%の子供に「永久歯が生える時期の遅れ」が確認されています。
まとめ
歯をぶつけてしまったときは、早めの検査や治療が大切です。また時間が経ってから、神経が壊死することもあるため、定期的な確認が必要です。
当院では、大学病院口腔外科出身の歯科医師が在籍しております。「歯が欠けた、折れた、割れた」などでお悩み・お困りな方は、お気軽にご相談ください。
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(参考文献)
・「乳歯の外傷性脱臼への対応」井上美津子先生 昭和歯学会雑誌 第27巻 第3号