虫歯じゃないけど、歯の色が茶色い・黄色い?!
歯の異常とは?

疑問を感じる人たちの画像

「歯の色が変…」、「歯に黄色や茶色、白色の変色がある」と感じる方も多いのではないでしょうか?

歯の一部に白色や黄色、褐色の変色がある場合、「エナメル質形成不全」という歯の異常かもしれません。「エナメル質形成不全」は歯のエナメル質の異常で、歯が弱いため、注意が必要です。

ここでは、「エナメル質形成不全」の症状や原因、気をつけることなどを紹介致します。

特徴・症状

  1. 歯の一部に白色や黄色、茶色の変色がある
  2. 変色のある歯の表面がザラザラしている
  3. 虫歯になりやすい・進行しやすい
  4. 歯が欠けやすい・すり減りやすい
  5. 歯の形や噛み合わせの異常をきたしやすい
  6. 歯がしみる(知覚過敏)

気をつけること

「エナメル質形成不全」は歯が弱いため、虫歯予防や早めの歯の修復が必要です。

定期健診とフッ素塗布

歯が欠けていないかの確認や虫歯の予防・早めの治療のために、定期健診やクリーニングを受けることが大切です。また虫歯予防効果の高いフッ素塗布を定期的に行うことが推奨されています。

フッ素塗布

歯磨きの工夫

「エナメル質形成不全」は虫歯になりやすい・進行しやすいため、フッ素配合の歯磨き粉・小さい歯ブラシで丁寧に磨くことがおすすめです。

フッ素配合の歯磨き粉

原因

原因は大きく分けると、「遺伝(生まれつき)」と「遺伝以外」、「原因不明」に分けられます。

  1. 遺伝以外
  2. 遺伝
  3. 原因不明

歯の白斑の原因のほとんどは「遺伝以外」です。一方で、「遺伝」を原因とする割合は、約8,000~15,000人に1人と稀です。

原因 特徴
乳歯のケガや病気 特定の一部の歯だけに異常がみられる。
高熱や発疹を伴う病気 左右対称の場所の歯にも異常がみられる。
お薬
早産
栄養不足
遺伝性エナメル質形成不全症 乳歯と永久歯すべての歯に異常がみられる。
その他(MIH:下記参照) 前から1番目、6番目の歯だけに異常がみられる。

 遺伝以外

歯の発育途中に受けた外力や虫歯、薬、ストレスなどの原因が挙げられます。

  1. 乳歯のケガや病気
  2. 高熱や発熱を伴う病気
  3.  早産
  4. 栄養不足
  5. 全身の病気

乳歯のケガや病気

  • 乳歯をぶつけた
  • 乳歯の根の病気

乳歯の時期に歯をぶつけたり、乳歯の根に炎症が起きると、永久歯のエナメル質が正常に作られないことがあります。

高熱や発疹を伴う病気

幼少期(特に1年以内)の高熱や発疹を伴う病気が原因となることがあり、麻疹や風疹などが代表的です。

特に生後6ヶ月〜1歳半ごろの赤ちゃんは免疫力がとても未熟なため、病気にかかりやすいといわれています。

早期出産児

代謝障害や低酸素症、栄養障害、血液中のカルシウム低下などが原因と考えられています。

栄養不足

カルシウムやリン、ビタミンA,C,Dはエナメル質をつくるのに必要な栄養素であるため、不足すると「歯の白斑」につながります。

全身の病気

歯の発育と関係がある病気には次のものが挙げられます。

  • ダウン症候群
  • 副甲状腺機能低下症
  • 表皮水疱症
  • 結節硬化症
  • ハーラー症候群
  • ハンター症候群
  • ターナー症候群
  • トリーチャー・コリンズ症候群
  • フェニルケトン尿症
  • 毛髪・歯・骨症候群
  • ビタミンD抵抗性くる病

遺伝

歯のエナメル質をつくる遺伝子の異常が原因です。

「遺伝性エナメル質形成不全症」と呼ばれ、血縁関係のある親族内で遺伝します。

特徴

乳歯、永久歯のすべての歯に異常がみられます

MIH(Molar Incisor Hypomineralization)

MIHは2001年に初めて発表され、「原因不明」の病気です。

発生率

MIHの発生率は約1〜2割と高く、日本人の5〜9人に1人といわれています。

出典 MIHの割合
日本小児歯科学会 20.4%
第10回アジア小児歯科学会 11.9%
諸外国の調査 5〜25%

特徴

  • 前から数えて1番目と6番目の歯だけに異常が起きる(変色、歯が欠けている、しみる)

推測される原因

MIHは原因不明ですが、次の要素が原因として推測されています。

  • 妊娠中の母親の病気、服薬、タバコ(喫煙)
  • 出産時の障害
  • 早産
  • 生後1年以内の子供自身の病気

まとめ

歯の色が変でも自覚症状がないことも珍しくありません。「エナメル質形成不全」は定期健診やクリーニングを受け、正しく向き合うことで、虫歯や歯が欠けるのを予防できます。

歯の変色について、ご不明な点等ございましたらお気軽にご相談ください。

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(参考資料)

1: 東京歯科大学千葉病院医療連携NEWS デンタルドットコム vol.6-2『エナメル質の形成障害と小児歯科臨床における対応』

2: Witkop, C. J.: Hereditary Defects in Enamel and Dentin, Acta. Genet., 7 :236, 1957

3: 小児保健研究 第76巻 第6号,2017(553〜555)

4: J Health Care Dent. 2010;12:18-24『歯科医師の身近な先天異常ーエナメル質の形成障害』

5: 歯科学報,112(2):152-152『歯科医師の身近な先天異常:遺伝性エナメル質形成不全症』

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