すきっ歯は自然に治る?
すきっ歯は治療した方が良い?
すきっ歯には自然に治るものと、治療が必要なものがあります。またすきっ歯は見た目の印象のほか、発音・滑舌への影響、虫歯や歯周病のリスクが高まる場合もあり、放置せずに治療を希望される方も少なくありません。
ここでは、すきっ歯の種類や治療した方が良い場合について解説していきます。
目次
すきっ歯は自然に治る?
大人のすきっ歯
大人のすきっ歯の場合には原因があり、自然に治ることはありません。永久歯のすきっ歯は「空隙歯列(くうげきしれつ)」と呼び、約10%の割合でみられます(厚生労働省の歯科疾患実態調査による)。
子供のすきっ歯
子供のすきっ歯は、治療が必要な場合と自然に治る場合があります。
正常なすきっ歯
乳歯のすきっ歯には、将来の永久歯の生え変わりに役立つ「発育空隙」や「霊長空隙」という正常な隙間の場合があります。
何のための隙間?
乳歯より大きい永久歯が正しい位置に生えるために使われる正常な隙間です。
「発育空隙」や「霊長空隙」はいつからいつまで
「発育空隙」や「霊長空隙」4〜5歳ごろに最も多くみられ、永久歯の生え変わりが終わる(12歳ごろ)と消えていきます。
正常な隙間がないとどうなる?
一部の例外を除き、永久歯は乳歯より歯が大きいため、乳歯のときに隙間がない(少ない)と、永久歯の歯並びがガタガタになる可能性があります。
すきっ歯を輪ゴムで自力で治す?
歯を正しい位置に移動させるためには、矯正装置で歯や歯茎に負担がかからないように適切な力を加える必要があります。
すきっ歯を自力で何とか治そうと輪ゴムを使う行為は大変危険で、歯が傾いたり、歯並びや噛み合わせが悪化してしまいます。
自然に治らないすきっ歯
同じようなすきっ歯でも原因によって状況が全く異なり、自然に治らず治療が必要なすきっ歯があります。
異常なすきっ歯
上唇小帯の異常
「上唇小帯」(上唇と前歯の歯茎を中央で結ぶスジ)の厚みや位置が原因で、前歯の隙間が閉じなくなってしまう異常なすきっ歯の場合もあります。
歯の本数が足りない
生まれつき歯の本数が足りない(先天性欠如)場合は、すきっ歯になりやすい傾向があります。永久歯の先天性欠如は意外に多く、10人に1人といわれています。
舌で歯を押す癖
無意識のうちに舌で歯を押す癖があると、前歯が前方に倒れてすきっ歯につながります。
顎と歯の大きさのバランス
顎が大きすぎる、歯が小さすぎるなど顎と歯の大きさのバランスが悪いと、すきっ歯の原因になります。
生まれつき異常に小さい歯がある
生まれつき異常に小さい永久歯「矮小歯(わいしょうし)」が約3%の割合で発生することがあり、すきっ歯につながることがあります。
生まれつき歯の本数が足りない
生まれつき歯の本数が足りない場合を「先天的欠如」と呼び、すきっ歯の原因になります。先天的欠如は上の前から2番目の歯に起きやすく、約10%の人に生じます。
埋まったままの歯がある
歯の本数は正しくても、歯の向きによっては生えてくることができない場合があります。また生まれつき余分に多い歯「過剰歯」が埋まっている場合もあります。
埋まったままの歯が存在すると、歯の隙間が閉じず、すきっ歯につながることがあります。
奥歯がない、前歯でしか噛めない
奥歯を失い、前歯で噛む状態が長期間続くと、前歯が前方に傾いて「出っ歯」と「すきっ歯」を併発することがあります。
すきっ歯の治療(治し方)
すきっ歯の治療方法には「詰め物や被せ物で治す方法」、「歯科矯正で治す方法」、「原因を除去する方法」があります。原因によって治療方法は異なり、複数の治療方法を併用する場合や適用にならない治療方法もあります。
治療内容 | 特徴 | |
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詰め物や被せ物で治す方法 |
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歯科矯正で治す方法 |
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その他の治療方法 |
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詰め物や被せ物で治す方法
歯に人工物(プラスチックやセラミック)を貼り付けたり、被せることで、歯と歯の隙間を狭くして、すきっ歯を改善します。
他の治療方法と比べ、治療期間や回数を短くできることが特徴です。
コンポジットレジン
「コンポジットレジン」と呼ばれる歯に近い色のプラスチック材料を使う保険適用の治療方法です。
コンポジットレジンを歯の側面に貼り付け、歯と歯の隙間を狭くし、すきっ歯を改善します。
メリット
- 歯をほとんど削らない。
- 保険適用のため、費用的負担を抑えられる。
- 治療回数が少ない。(1回の治療で終わる場合も多い。)
- 歯型(型取り)が必要ない。
デメリット
- 歯と歯の隙間が大きすぎる場合には適用にならないことがある。
- 年数とともに変色することがある。
- セラミックと比べ、強度が劣る。
ラミネートベニア
セラミックの薄片を歯の表面に貼り、歯の形を修正する保険適用外の治療方法です。歯が生まれつき小さい場合などに有効です。
メリット
- 見た目が綺麗。変色しない。
- コンポジットレジンより強度が優れている
デメリット
- 歯の表面を少し削る必要がある。
- 付け爪のように歯の表面に貼るため、外れることがある。
- 保険適用外のため、費用が高い。
セラミッククラウン
セラミックを歯に被せて、歯の形を改善させる保険適用外の治療方法です。
メリット
- 見た目が綺麗。変色しない。
- 「ラミネーベニア」より外れにくい。
- コンポジットレジンより強度が高い。
デメリット
- 「ラミネートベニア」より歯を削る必要がある。
- 保険適用外のため、費用が高い。
歯の矯正で治す方法
歯列矯正治療で、歯を移動させて歯と歯の隙間を狭くし、すきっ歯を改善します。「詰め物や被せ物で治す方法」と異なり、治療期間は長い一方で、歯を削らないことが特徴です。
歯列矯正治療
メリット
- 歯の位置や傾きなどを整えることができる
- 歯を削らない
デメリット
- 保険適用外の治療で、治療期間や費用がかかる。
- 別の治療の併用が必要になることがある。(埋まっている歯の抜歯、上唇小帯の切除、奥歯を補う治療等)
すきっ歯は部分矯正で治る?
すきっ歯の原因によっては、部分矯正で治る場合があります。
一方で、奥歯がない場合や舌で歯を押す癖など根本的な原因があるすきっ歯の場合には、部分矯正のみでは十分な効果が得られません。
すきっ歯の原因を除去する方法
「詰め物や被せ物で治す方法」や「歯の矯正で治す方法」と併用して行われる場合があり、すきっ歯の再発防止などに役立ちます。
舌の癖を治す
舌で歯を押す癖がある場合には、正しい位置に舌を置くことを習慣づけることが大切です。
上唇小帯の切除
上唇の裏側と中央の歯茎を結ぶスジ「上唇小帯」の厚みや位置が異常な場合、上唇小帯の切除を行います。
ただし、年齢や上顎の成長とともに上唇小帯は薄く細く変化し、10歳前後で落ち着くことが論文等で報告されています。
明らかに上唇小帯の位置や厚みが異常な場合には、前歯の永久歯が生える時期(6〜7歳ごろ)に切除を検討します。
埋まっている歯の抜歯
埋まっている歯が存在する場合には歯の隙間が閉じないため、抜歯を検討する場合もあります。
奥歯がない
奥歯がないことが原因の場合、奥歯を補う治療(入れ歯やインプラント等)をせずに他の治療をしても、すきっ歯が再発することもあります。
奥歯で噛めるようになると前歯の負担が減り、前歯が前方に倒れるのを防げるため、出っ歯とすきっ歯を改善しやすくなります。
まとめ
子供のすきっ歯は永久歯の生え変わりとともに自然に治る場合がありますが、根本的な原因がある場合には自然に治ることはありません。また生活習慣や癖によっては、歯の隙間がさらに悪化することもあります。
すきっ歯は見た目の印象以外にも、発音や虫歯・歯周病のリスクに影響を与えることもあるため、治療した方が良い場合があります。
当院は相談だけでも構いません。ご不明な点等ございましたらお気軽にご相談ください。
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