歯科金属アレルギー
銀歯など歯科治療では、詰め物や被せ物・入れ歯のバネ・矯正装置など金属を使う場面があります。最もよく使われる「銀歯」には銀のほか、パラジウムや銅、金などさまざまな金属が含まれています。
金属アレルギーは接触している場所に起きるとは限らず、口と離れた皮膚に湿疹やかぶれが出ることも珍しくありません。
ここでは、歯科金属アレルギーの原因や症状、治療方法について解説致します。
歯科金属アレルギーとは?
歯科金属アレルギーとは、歯の治療で使われる金属によるアレルギーを指します。
歯の治療では主に、
- 詰め物や被せ物(銀歯)
- 入れ歯のバネ
- 矯正装置
などで金属が使用される場面があります。
特によく使われる「銀歯」には銀のほか、パラジウムや銅、金などさまざまな金属が含まれています。
歯科金属アレルギーはなぜ発症する?!
口の中の金属は唾液や食べ物と反応して、「金属イオン」になって溶け出し、体内に吸収されます。
吸収された「金属イオン」が汗などを介して体外に排出され、拒絶反応が起きると、皮膚や粘膜に炎症が起きてアレルギーを発症します。
知っておきたい!
金属アレルギーの豆知識
発症まで時間がかかることが多い
金属アレルギーは長い年月を経て皮膚や粘膜と反応するため、銀歯装着後、数年以上経過して発症することが多い慢性アレルギーです。
また金属アレルギー発症までの期間はかなり個人差があり、数十年以上経ってから突然発症することもあり、金属アレルギーと気づかない方もいます。
金属アレルギー患者は予備軍を含めると、約1000万人ともいわれています。
銀歯と離れた場所に発症することが多い
体内に取り込まれた金属成分の多くは糞便中に排泄されますが、一部は汗や尿、乳汁中に排泄されます。
全身に周った金属はあらゆる場所から体外に排出されるため、金属アレルギーは銀歯と離れた手や足などに炎症が起きる場合がございます。
歯科金属アレルギーの症状
歯科金属アレルギーの症状は、全身の皮膚や手のひら、足裏などに現れることが多い傾向にあります。
- 全身の皮膚のかぶれ、赤くなる、湿疹など(アトピー性皮膚炎様症状)
- 手のひらや足裏に水ぶくれ、膿ができる(掌蹠膿疱症:しょうせきのうほうしょう)
- 口内炎、口唇炎、口角炎、舌炎(舌が痛い)、歯肉炎など
- 口の中の粘膜が赤くなる・ヒリヒリする・ただれる(口腔扁平苔癬)
- 味覚障害、味覚異常
口の中で電流が発生することも?!
異なる金属どうしが触れると、電流が発生すること(ガルバニー電流)があります。
ガルバニー電流の例として、
銀歯にアルミホイルやスプーン、フォークなどが触れると、キーンとした痛みや不快感などが該当します。
歯科金属アレルギーの治療方法
銀歯をやり変える
金属アレルギーの原因が銀歯などの場合は、口の中にある金属を除去する必要があります。
金属でない詰め物・被せ物
コンポジットレジン(プラスチック樹脂)
保険適用の材料で、小さな詰め物の治療の時に使われる材料です。
セラミック
保険適用外の陶材で、天然の歯に似た美しさと透明感のある材料です。
ジルコニア
保険適用外でセラミックより丈夫な材料で、天然の歯に近い美しさと色合いがあります。
金属との接触機会を避ける
指輪やネックレス、ピアス、ベルトなどを装着して汗をかくと、金属が溶け出し、体内に取り込まれます。
金属アレルギーが疑われる場合は、外すようにしましょう。
食事の注意
金属はアクセサリーだけでなく、食べ物や飲み物にも含まれていることがあります。例えば、豆類や穀類、お茶類、タバコ、缶詰や缶ジュースにも金属成分は含まれます。
ただし、生きるために必要不可欠な金属(必須微量元素)もあるため、食事制限をするときは、医師や歯科医師に十分確認しましょう。
まとめ
歯科金属アレルギーの治療は歯科クリニックのほか、症状によって皮膚科やアレルギー科、内科と連携した治療が行われることがあります。
また金属と接触する機会を避ける、食事を注意するなど生活の見直しが必要なこともあります。
当院では大学病院出身の歯科医師や管理栄養士が在籍し、歯科金属アレルギーのご相談や治療を承っております。
歯科金属でお悩みの場合はお気軽にご相談ください。