睡眠時無呼吸症候群かも?!
原因や要注意な人の特徴とは?
睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」はどのような人がなりやすいのでしょうか。痩せ型・肥満?、男性・女性?、若い人?…など。
気道が狭くなる原因には体型や骨格、性別、生活習慣、他の病気など多くの問題が関わっています。
ここでは、睡眠時無呼吸症候群の危険性の高まる特徴について、解説致します。
目次
身体的特徴
睡眠時無呼吸症候群は“太った男性”だけでなく、“痩せ型の人”や“女性”も発症する病気です。
舌が大きい
口や気道の空間に対して、舌が大きいと、空気の通りが悪くなります。舌が大きい方には、舌の横側に歯の痕(あと)がつきやすいなどの特徴があります。
顎が小さい
顎の骨格が小さいと顎が後退し、気道が狭く、空気がうまく通過できなかったり、ふさがりやすくなります。
特に日本人は欧米人と比べ、下顎が小さい傾向にあり、太っていなくても睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいと報告されています。
歯並びが悪い
歯並びが悪いと、口や気道の空間が狭くなることがあります。特に以下の歯並びの場合、寝ているときに下顎が後退し、舌が後ろに沈みやすい(舌根沈下)ため、空気の通り道が狭くなりやすいです。
- 噛み合わせが深い(噛んだ時に下の前歯がほぼ見えない:過蓋咬合)
- 出っ歯や前歯が噛んでない(開咬)
肥満
肥満は睡眠時無呼吸症候群の最大の敵です。太った場合、舌や首、喉の周りなどに脂肪がつき、気道が狭くなってしまいます。
特に首周りが男性で43cm以上、女性で40cm以上の場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性を疑われます。
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年齢
睡眠時無呼吸症候群は特に30〜60代の方に多い傾向があります。
働き盛りで運動不足になったり、生活習慣病の発症や体重の増加が起きやすく、体型が変化しやすい年代です。脂肪の蓄積や筋肉の衰えは気道が狭くなる原因になります。
20代の頃と比べ、体重増加がある方は注意が必要です。
性別
睡眠時無呼吸症候群は男性に多い病気で、男女差は約2〜3:1といわれています。男性は女性と比べ、首周りに脂肪がつきやすく、気道がふさがりやすい傾向にあります。また男女間におけるのどや気道の形、女性ホルモンの影響なども関係しています。
一方で、閉経後の女性は閉経前と比べ、睡眠時無呼吸症候群に約3倍かかりやすいともいわれ、年代によっては女性も要注意です。
歯のすり減り
睡眠時無呼吸症候群は歯ぎしりとの関連することが報告され、無呼吸後に歯ぎしりが発生する傾向があります。
また睡眠時無呼吸症候群の場合、歯ぎしりの危険性が約1.8倍増加することが報告されています。
(参考文献)
Ohayon MM et al Risk factors for sleep bruxism in the general population. Chest 2001;119:53-61.
扁桃の肥大
口蓋垂(のどちんこ)や扁桃の肥大は空気の通り道の妨げになり、気道が狭くなりやすいです。
なお、扁桃肥大がある方は口呼吸の傾向があり、また口呼吸の方は扁桃に炎症が起きやすくなります。
胸やけ、酸っぱいゲップ?!
睡眠時無呼吸症候群の約4〜6割の方が逆流性食道炎(胃食道逆流症)を合併すると報告されています。
寝ている時に呼吸が止まると、胸やお腹の圧のバランスが崩れ、胃酸の逆流を招くと考えられています。さらに、胃酸の逆流によって、睡眠の質が低下することもあります。
歯に現れる症状
胃酸の逆流で歯が溶けるため、酸蝕歯(さんしょくし)の特徴がみられることがあります。
生活習慣
タバコ
喫煙習慣のある方は睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まることが報告されています。
これは、タバコの煙が鼻やのどの粘膜、扁桃に炎症を起こし、腫れるため、気道が狭くなる影響と考えられています。
また喫煙は睡眠の質が低下し、中途覚醒(夜中に目が覚める)も増加するため、喫煙習慣のある方は注意が必要です。
お酒や薬
飲酒をする人は飲酒しない人と比べ、睡眠時無呼吸症候群の危険性が25%増加することが報告されています。
お酒(アルコール)や一部の睡眠薬は筋肉を弛緩させる作用があるため、舌が奥に沈み(舌根沈下)、気道閉塞しやすくなります。またタバコと同様、お酒は睡眠の質を低下させることも明らかになっています。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群に関わる特徴や生活習慣は多々あります。一方で、もともと顎の小さい傾向にある日本人は睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いとされています。
「いびきを指摘されている」、「睡眠の質が浅い」、日中に眠気を感じる」など睡眠の問題でお困りな場合には、お気軽にご相談ください。
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(参考文献)
・「睡眠時無呼吸症候群の胃食道逆流症合併とCPAPによる治療効果の検討」佐藤英夫先生ら 日本呼吸管理学会誌 第14巻 第3号
・「閉塞性睡眠時無呼吸症候群における胃食道逆流症の合併頻度と病態」菅井望先生ら 消化器科、38(2):143〜147,2004.
・「閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者における胃食道逆流症について」日本呼吸器学会雑誌、40(増):168,2002.
・「Valipour,A., Makker,H.K.,Hardy,R.,et al.:Symptomatic gastroesophageal reflux in subjects with a breathing sleep disorder ,Chest,121:1748〜1753,2002.」
・「Practical Strategies in Geriatric Mental Health;Cases and Approaches. Washington DC:American Psychiatric Pub,2019.」
・「Kolla BP, Foroughi M, Saeidifard F, et al;:The impact of alcohol on breathing parameters during sleep:A systematic review and meta-analysis.Sleep Med Rev 2018;42:59-67.」