指しゃぶり・おしゃぶりと歯並び
赤ちゃんの指しゃぶりは発育の中での自然な行動の一つです。一方で、おしゃぶりや指しゃぶりをやめられずに習慣化してしまうと、歯並びに影響することがあります。
「赤ちゃんの指しゃぶりは早めにやめさせる方がいい?」、「おしゃぶりや指しゃぶりはいつからいつまで続く?」、「おしゃぶりや指しゃぶりは歯並びを悪くするって本当?」と色々な心配を抱く親御さんも多いです。
そのほか、「指しゃぶりをやめさせる方法」、「指しゃぶりと歯並びの関係」、「赤ちゃんの指しゃぶりの原因や意味は?」などについても、まとめてお話ししていきます。
目次
おしゃぶりや指しゃぶりはいつまでにやめさせる?
おしゃぶりや指しゃぶりはいつまでに卒業できるのが良いのかをお話しします。
おしゃぶり
おしゃぶりは1歳半ごろから2歳ごろまでに、卒業できるのが望ましいといわれています。
なぜ1歳半〜2歳ごろ?
乳歯の奥歯が生える時期と関係しています。1歳半ごろに乳歯の奥歯が生え始め、2歳半ごろには奥歯が生えそろい、奥歯で噛めるようになり、「吸う」ことを卒業して「噛む」時期へ変わり、おしゃぶりも卒業を迎えます。
指しゃぶり
指しゃぶりの卒業は3〜4歳ごろまでに卒業できると良いといわれています。
永久歯が生える前に
3歳ごろまでに指しゃぶりがやめることができると、歯並びへの影響が少ないといわれています。一方で、永久歯が生え始める6歳以上で指しゃぶりをしていると、永久歯の歯並びへ影響が大きくなります。
習慣化しやすい指しゃぶりの特徴
3歳を過ぎて次の特徴があるときは、指しゃぶりが習慣化しやすい傾向にあります。
- 指しゃぶりをしている時間帯が長い
- 強く指しゃぶりをして、指ダコができている
赤ちゃんの指しゃぶりはいつから始まる?
赤ちゃんの指しゃぶりは、生後2〜4ヶ月ヶ月ごろに始まることがほとんどです。
ちなみに、指しゃぶりは赤ちゃんがお腹の中にいるときからすでに始まっているといわれ、生後、母乳やミルクを吸って生きるための練習をしていると考えられています。
おしゃぶり・指しゃぶりと歯並びの関係
おしゃぶりや指しゃぶりが長く続くと、次のような歯並びになりやすいことが報告されています。
- 出っ歯
- 前歯で噛めない
- 上の顎が狭くなる
- 上下の噛み合わせのずれ
出っ歯
指をくわえる力で上の前歯は前に傾きやすく、出っ歯(「上顎前突:じょうがくぜんとつ」)になる可能性が高まります。
前歯で噛めない
指をくわえることで上下の前歯が沈みこみ、上下の前歯同士が噛んでない状態(「開咬:かいこう」)になる可能性が高まります。
上の歯並びが狭い、上下の噛み合わせのずれ
指を吸うときに、頬の筋肉が歯を外側から内側へ押すため、「上の歯並びが狭い(「狭窄歯列:きょうさくしれつ」)」が起きやすくなります。
また「上の歯並びの歪み」が起きると、下の歯との噛み合わせのずれ(「交叉咬合:こうさこうごう」)も起きることがあります。
指しゃぶりをやめさせる方法
手や指、声を使う遊びや運動をさせる
積極的に手を使ったり、しゃべる行動を促し、指が口に入れる時間帯を減らしていきましょう。特にテレビを見ながらの指しゃぶりも多いため、別の遊びに気を向けさせるのも良いでしょう。
具体例
- 積み木やブロック、振ると音が鳴るおもちゃなど指や手をを使った遊びをする
- 両手でパチパチと拍手をさせる
- いないいないばあ
気持ちを安心させる
寝る前は赤ちゃんが不安を感じやすく、特に指しゃぶりをしやすい時間帯です。優しく手を握ったり、撫でてあげたり、絵本を読んだり、お話することで安心して眠れるようになります。
指しゃぶりをしやすい時間帯
指に絆創膏やテープを貼る
指しゃぶりをしたときに違和感や異物感を感じ、指を口に入れるのを避けるようになります。
大切なこと
無理にやめさせない
特に新生児から2歳ごろまでの指しゃぶりは、自然な行動と考えられています。2歳以降は卒業年齢を過ぎておしゃぶり・指しゃぶりをしていても、叱りつけたり、強引に力づくでおしゃぶり・指しゃぶりをやめさせるのではなく、長い目で気長に優しく取り組むようにしましょう。
指しゃぶりをやめさせるグッズ
指しゃぶりをやめさせるグッズにはどのような種類があるのか解説します。
- 指サックや手袋タイプ
- マニキュアタイプ、クリームタイプ
指サックや手袋タイプ
シリコン製の指サック、コットンやガーゼ素材の手袋やミトンを装着させる方法です。口に入れた時に不快感を感じるため、指しゃぶりを避けるようになります。
マニキュア(ネイル)、クリームタイプ
苦い成分を含むマニキュアやクリームを爪あるいは指に塗るグッズです。指しゃぶりをすると強烈な苦味を感じるため、指しゃぶりを避けるようになります。
おすすめのグッズは?
多くのグッズは赤ちゃんに不快な感覚を与えたり、指しゃぶりの動きを制限する特徴があり、赤ちゃんを心理的に抑え込んでしまうことがあります。
赤ちゃんの気持ちを安心させたり、指よりもおもちゃの方に興味を向け、優しく気長に接することこそが最もおすすめです。
赤ちゃんの指しゃぶりの原因、意味とは
そもそも赤ちゃんはなぜ指しゃぶりをするのでしょうか。指しゃぶりの原因や意味(理由)には次のようなことが考えられています。
-
- 母乳やミルクを飲む練習するため。(新生児のおしゃぶり)
- 指や物をしゃぶり、物の形や味、感触などを学習するため。(5〜6ヶ月以降の乳児)
- 口や手の運動を促すため。
- 口の感覚を発達させるため。
- 自分の気分や感情を落ち着かせるため。
- 退屈なときや眠いときのサイン。
まとめ
指しゃぶりは赤ちゃんの発育の中でみられる自然な行動で、無理にやめさせると、赤ちゃんの心理的な負担になることがあります。
指しゃぶりが歯並びに悪影響を与えるのは、適正な年齢を超え、習慣化してしまう場合です。指しゃぶりをやめさせるには、長い目で見守り、他のことに気を向けさせたり、安心感を与えることが最も近道です。
指しゃぶりについて、お悩みやご心配な方は些細なことでも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。
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