インプラントにフッ素の歯磨き粉は使っていい?
「インプラントをしていても、フッ素入りの歯磨き粉は使用できる?」、「インプラントが腐食するって本当?」と心配や疑問を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、フッ素のインプラントに対する安全性や報告されている使用方法の工夫などについて紹介します。
フッ素のインプラントへの影響
通常のフッ素配合の歯磨き粉と唾液が存在する人間の口の中で、インプラントを腐食させる問題はほとんど起きません。
2014年に酸性で高濃度のフッ素はインプラントを腐食させる可能性があると指摘されたことで、一時話題になりました。
近年の専門機関や論文等の指針・報告
フッ素はインプラントを腐食させる?
酸性(pH4.7以下)で高濃度のフッ素は、インプラントを腐食させる可能性があります。
一方で、実際の人間の口の中では唾液の中和作用で酸性の状態が続きにくく、また唾液でフッ素の濃度は20%以下に薄まります。また市販の歯磨き粉のほとんどは中性、弱アルカリ性であるため、インプラントの腐食の可能性はありません。
歯磨き粉はインプラントを傷つけるか?
フッ素が入っていなくても、また歯磨き粉を使わなくてもインプラントに対するダメージは変わらないと報告されています。
口の中で薄まるフッ素の濃度
歯磨きのとき、口の中の唾液によりフッ素濃度は極端に薄まるといわれています。
フッ素濃度(1000ppm)の歯磨き粉を使用したとき、唾液中のフッ素濃度は200〜300ppmへと低下し、歯磨き直後には数十ppmにまで低下します。
フッ素配合の歯磨き粉の推奨
通常の中性のフッ素配合歯磨き粉ではインプラントの腐食の可能性はなく、天然の歯がある場合には虫歯予防のために、フッ素配合の歯磨き粉を使うことが推奨されています。
フッ素配合歯磨き粉の使用の推奨については、2023年1月に歯科の専門的な4学会[日本口腔衛生学会、日本小児歯科学会、日本歯科保存学会、日本老年歯科医学会]から合同で発表されました。
歯磨きの工夫
歯磨きのときの工夫として、次の工夫も論文で報告されています。
歯磨き前に口をゆすぐ
食後は口の中が酸性になるため、水で口をよくゆすいで中性に近づけてから歯磨きをする。
インプラント以外の所から磨く
歯磨きを始めるときに、インプラント以外の場所から磨くことで、唾液によってフッ素濃度が薄まりやすくなります。
まとめ
インプラントをしていても、天然の歯がある場合はフッ素配合の歯磨き粉を使うことが推奨されています。また気になる場合は、上記の「歯磨きの工夫」をするのも良いでしょう。
インプラントやフッ素について、ご不明な点等ございましたらお気軽にご相談ください。
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注)本サイトでは理解して頂きやすいよう、フッ化物、フッ素化合物を総称してフッ素と表現しています。