乳歯が生える順番や時期は?
乳歯の本数は?
乳歯は、赤ちゃんの食事が「吸う」から「食べる」への変化を担う大切な存在です。「乳歯の生える時期はいつごろ?」、「乳歯が生える順番は正しい?」、「乳歯の本数は?」など親の心配は尽きないものです。
ここでは、乳歯についてよくある質問、乳歯で気をつけることなどをまとめてお話しします。
目次
乳歯の本数は?
乳歯の本数は上下合わせて全部で20本です。
乳歯が生える時期
赤ちゃんの食事がミルクから離乳食(生後5〜6ヶ月)へ変わり始めると、いよいよ赤ちゃんの歯の生え始めの時期です。
乳歯が生えるのはいつ?生える順番は?
乳歯は生後6〜8ヶ月ごろに下の前歯から生え始め、1歳過ぎで上下の前歯8本がそろいます。
1歳半ごろからは奥歯が生え始め、2歳半〜3歳ごろまでに乳歯全部(20本)が生え揃います。
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乳歯の名前 |
前から数えた順番 |
生える時期(目安) | |
---|---|---|---|
上 | 下 | ||
乳中切歯 | 1 | 10ヶ月 | 6ヶ月 |
乳側切歯 | 2 | 11ヶ月 | 1歳 |
乳犬歯 | 3 | 1歳6ヶ月 | 1歳7ヶ月 |
第一乳臼歯 | 4 | 1歳4ヶ月 | 1歳5ヶ月 |
第二乳臼歯 | 5 | 2歳5ヶ月 | 2歳3ヶ月 |
乳歯が生える順番や時期がおかしい?
乳歯が生える順番や時期は個人差があり、半年ほど遅い・早い場合でもほとんど問題ありません。ただし、1歳を過ぎても1本も生えてこない場合には歯医者さんに相談する方が良いでしょう。
特に、1番奥の乳歯の生える時期は約8〜9ヶ月と個人差が大きく、生える順番が変わることがあります。
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乳歯の種類 | 歯が生える時期 |
---|---|
上の一番奥の乳歯 | 2歳1ヶ月〜2歳10ヶ月 |
下の一番奥の乳歯 | 1歳11ヶ月〜2歳7ヶ月 |
(参考文献)「日本人小児における乳歯・永久歯の放出時期に関する調査研究II-その1.乳歯について-」日本小児歯科学会 小児歯科学雑誌57(1):45-53 2019
赤ちゃんの歯が生える前兆(兆候)
赤ちゃんの歯が生える前兆や歯の生え始めの時期には、以下の変化がみられます。
- 歯茎が膨らむ、赤い
- よだれの量が増える
- 口に手を入れる
- 物をかじる、噛む
- ぐずる、泣く(夜泣き)ことが多くなる(歯ぐずり)
歯が生えるときの歯茎のむず痒さや痛みが関係しているともいわれています。
乳歯が生えてこない、本数が足りない場合
乳歯が生える順番や時期は体の成長と同様、個人差がありますが、乳歯が生えてこない・本数が足りない場合にはいくつかの問題も考えられます。
生まれつき乳歯の数が足りない
生まれつき歯の本数が足りない場合を、「先天性欠如」と呼びます。
乳歯の先天性欠如の割合
乳歯の先天性欠如の割合は1〜2%前後と論文で報告され、50〜100人に1人の頻度でみられます。
乳歯の先天性欠如はどの歯で多い?
乳歯の先天性欠如は下の乳側切歯(前から2番目)に最も多く、次いで乳中切歯(前から1番目)といわれています。
永久歯はどうなる?
乳歯が足りない場合、永久歯も必ず足りなくなるわけではありません。ただし、同じ場所の永久歯の約6〜7割に異常がみられるとの報告もあります。
歯と歯がくっついている
歯と歯がくっついて1つになっている場合を、「癒合歯」と呼びます。
癒合歯の割合
乳歯の癒合歯の割合は2〜5%前後と報告され、20〜50人に1人の頻度でみられます。
癒合歯はどの歯で多い?
乳歯の癒合歯は、下の前歯(前から1番目と2番目あるいは2番目と3番目)で多くみられます。
永久歯はどうなる?
乳歯がくっついている場合、永久歯に必ず異常が起こるわけではありません。
ただし、同じ場所の永久歯が1本足りない確率は50%〜70%と報告されています。
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癒合歯の場所 | 同じ場所の永久歯が無い確率 |
---|---|
下の前歯
(2番目と3番目) |
71.1% |
下の前歯
(1番目と2番目) |
11.1% |
上の前歯
(1番目と2番目) |
70.6% |
(参考文献)「乳歯癒合歯の歯種と後続永久歯先天性欠如との関連について」辻野啓一郎先生ら 小児歯科学雑誌36(5):861-866 1998 861
乳歯がうまく生えてこない
乳歯があるのに、生えてこない場合が極めて稀にあります。乳歯が生えるのを邪魔する原因があるためで、割合は0.1%前後ともいわれています。
骨性癒着
乳歯の根っこが骨とくっついてしまい、うまく生えてこれない状態です。下の奥歯(後ろから1番目あるいは2番目)に多いといわれています。
過剰歯
余分な歯(過剰歯)が骨の中に存在すると、通常の乳歯がうまく生えてこれないことがあります。
歯茎の異常
歯茎が異常に厚い(繊維性肥厚)と乳歯がうまく生えず、埋まったままになることがあります。
全身の病気
ダウン症などの遺伝性疾患、甲状腺機能低下症(クレチン病)などの病気がある場合、歯が生えるのが遅くなることがあります。
乳歯が生える時期が早すぎる
赤ちゃんの歯の生え始めが通常より極めて早い異常を「先天(性)歯」と呼び、下の中央の前歯で多く見られます。先天歯は生え始めの時期によって、さらに「出産歯」と「新生歯」に分けられます。
生え始めの時期 | 種類 | |
---|---|---|
出生時にすでに生えている | 先天(性)歯 | 出産歯 |
生後1ヶ月以内 | 新生歯 |
なお、早く生えた歯は舌の下を傷つけてしまうことがあり、「Riga-Fede(リガ・フェーデ)病」と呼ばれています。
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歯医者さんに相談した方が良い状況
- 1歳を過ぎても1本も乳歯が生えてこない場合
- 歯と歯がくっついている場合(特に下の前歯に多い)
- 4歳を過ぎても乳歯全部で20本生え揃わない場合
- 出生時あるいは生まれて1ヶ月以内で歯が生えている場合
乳歯がつくられるのはいつ?
乳歯は、赤ちゃんがお腹の中にいる時期(妊娠7〜10週ごろ)からすでにつくられ始めます。
また歯は根っこが未完成の状態で生え、数ヶ月から1年ほどかけて完成していきます。妊娠中の母親の病気や栄養不足によっては赤ちゃんの歯に影響が出ることがあります。
乳歯に斑点や模様がある?
乳歯に白色や茶色、黄色の斑点や気になる模様がある場合、エナメル質形成不全と呼ばれる歯の異常かもしれません。
エナメル質形成不全の歯は虫歯になりやすいので、早めに歯医者さんに相談する方が良いでしょう。
まとめ
乳歯の生える時期や順番は個人差がありますので、多少異なっても大きな心配はありません。ただし、1歳を過ぎても全く歯が生えない場合には生まれつき歯が足りないこともあるため、放置せずにご相談ください。
その他、乳歯の生える時期や順番、気になることがございましたらお気軽にお尋ねください。
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