親知らずは抜歯した方がいい?!
知っておきたい!親知らずのお話
「親知らず」は10代後半から20歳前半ごろに、最も奥(前から8番目)に位置し、最も遅く生えてくる歯です。「第三大臼歯」あるいは「智歯(ちし)」とも呼びます。
「親知らず」は埋まっている/生えない人、また斜めや横向きに生える/生えかけのままの人も多く、きれいに生える人は多くありません。
目次
親知らずは抜いた方がいい?抜かなくていい?
親知らずは位置や生え方によって、「抜いた方がいい」場合や「抜かなくてもいい」場合があります。
抜いた方が良い場合(抜歯のメリット)
親知らずが綺麗に生え、しっかりと噛めている人はとても少なく、全体のわずか0.6%といわれています。
親知らずを残すと、以下の悪影響が出てしまう・将来的に予測される場合には、抜歯が推奨されいます。
痛い、よく腫れる
「親知らず」は最も奥に位置し、斜め・横向きに生える/半分埋まっていることも多いため、歯磨きがしにくく、食べかすがたまり、周りの歯茎が化膿・炎症を起こしやすい特徴があります。
虫歯や歯周病のリスク
虫歯
「親知らず」および周囲は不衛生になりやすく、ひとつ手前の歯が虫歯になりやすくなることがあります。
歯周病
埋まっている「親知らず」が存在すると、手前の歯の歯周病の危険性が約4.8倍高まるとの報告もあります。
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歯並びへの影響
「親知らずのせいで、歯並びを悪くなる」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
親知らずは歯並びに影響を与える場合もありますが、虫歯や歯周病、歯並びを悪くする癖などが関係していることもあります。
顎の骨折のリスク
埋まっている親知らずの位置によっては顎の骨が薄く、特にスポーツ中や転倒時に顎をぶつけたとき顎の骨折のリスクが高まることがあります。
顎関節症?
近年、顎関節症は複数の原因が積み重なって起きる病気とされています。
噛み合わせだけが原因で起きるわけではないとされ、最初から「歯を削る(噛み合わせの治療)」、「抜歯」などの治療は一般的には推奨されていません。
抜かない選択肢
虫歯や歯周病のリスクがない
虫歯や歯周病のリスクが無い場合や真っ直ぐ綺麗に生えている場合には、抜歯しなくても良いこともあります。
神経と近い
親知らずと神経との距離が近く、抜歯をすると神経を損傷する危険(リスク)がある場合には積極的な抜歯が推奨されないこともあります。
将来活かせる場合
- 入れ歯やブリッジを支える歯として使う
- 移植
親知らずの生え方や位置によりますが、入れ歯やブリッジを支える歯として利用できたり、移植用に使えることがあります。
親知らずが生える/生えない人?
親知らずが生えない
親知らずが生えない場合には、次の2つの原因があります。
- 生まれつき存在しない
- 埋まって生えてこない
1. 生まれつき存在しない
「親知らず」が生まれつき存在しない、本数が足りない(先天的欠如)場合は全体のおおよそ4割と報告され、珍しくありません。
*全部(上下左右4本)の「親知らず」存在する人は約6割と報告されています。
2. 埋まって生えてこない
「親知らず」は存在していても、位置や生え方によって生えてこないことがあり、特に上に比べて下の親知らずはきれいに生えない傾向にあります。
名前の由来
「親知らず」=「智歯(wisdom tooth)」の名前の由来には次のようなものがあります(諸説あり)。
「親知らず」
昔は今より平均寿命が短く、親と死別していることが多い年ごろ(20歳前後)で生える歯であることを意味しています。
「智歯」
智歯(ちし)はwisdom tooth【知恵(ちえ)の歯】といわれ、生えてくる時期が「物ごとの分別がつく年ごろに生えてくる歯」を意味しています。
まとめ
親知らずは一番奥にあり、横向きや斜めに生えることが多く、虫歯や歯周病のリスクが高い歯です。また親知らずの生え方や位置によっては、歯並びや噛み合わせに影響を与えることもあります。
一方で、抜歯が必要かどうかは親知らずの状態にもよります。
「親知らずが腫れた・痛い」、「親知らず抜いた方がいいか診てほしい」など気になる場合は、お気軽にご相談ください。
*当院は大学病院口腔外科出身の歯科医師が在籍しており、相談のみの診察も承っております。
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