睡眠時無呼吸症候群と歯ぎしり

寝起きに顎の痛みに耐える人の画像

命に関わる病気で、近年注目されている「睡眠時無呼吸症候群」。

「睡眠時無呼吸症候群」は脳卒中や心筋梗塞などの病気の原因になるほか、「歯ぎしり」のきっかけになることが報告され、両者は併発することも珍しくありません。

*「睡眠時無呼吸症候群」と「歯ぎしり」は睡眠障害の一つとして、『睡眠障害国際分類』の中で位置付けられています。

ここでは、「睡眠時無呼吸症候群」と「歯ぎしり」の関係をわかりやすく解説していきます。

仕組み

睡眠時無呼吸症候群で無呼吸・低呼吸になると睡眠が浅くなり、歯ぎしりが誘発されると考えられています。

*「睡眠時無呼吸症候群」の発作直後に「歯ぎしり」が生じることが多いと報告されています。

歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)

睡眠への影響は?

 睡眠時無呼吸症候群

寝ているときに気道が狭くなり、無呼吸・低呼吸の発作が起きるため、眠りの浅い状況を繰り返します。

*『睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)』で、「睡眠関連呼吸障害群」に分類されています。

 歯ぎしり

「歯ぎしり」は、深い睡眠から浅い睡眠に移行するときに発生します。

特に、睡眠の質が低下する「睡眠時無呼吸症候群」は「歯ぎしり」を引き起こす一因として考えられています。

*『睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)』で、「睡眠関連運動障害群」に分類されています。

割合

「睡眠時無呼吸症候群」と「睡眠時ブラキシズム(歯ぎしり、噛みしめなど)」の割合は次の通りです。

しかし、両者とも睡眠中に起きる出来事であり、ご本人の自覚がないこともあるため、潜在的な患者(隠れ患者)はこの数値以上といわれています。

種類 割合
睡眠時ブラキシズム(歯ぎしり、噛みしめなど) 約10〜30%
睡眠時無呼吸症候群 約2〜5%

併発する割合は? 

  • 睡眠時無呼吸症候群の患者で、「歯ぎしり」を併発する割合は約10%と報告されています。
  • 歯ぎしりの患者で、「いびき」を併発する割合は約10〜30%と報告されています。

(関連記事)

いびき、睡眠時無呼吸症候群

要注意!
マウスピースには種類がある?!

睡眠時無呼吸症候群や歯ぎしりの治療でマウスピースが使用されることがありますが、注意したいのがマウスピースの種類

専用のマウスピースでないと効果がないどころか、病状が悪化することもあります。

*「歯ぎしり」用のマウスピースは「睡眠時無呼吸症候群」の症状を悪化させることがあるというデータもあります。

目的にあったものをマウスピースを使うことが大切で、よくわからない場合は担当医と十分に相談しましょう。

(関連記事)

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顎関節症の原因

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(参考)

・Landry ML, Rompre’ PH, Manzini C, et al. Reduction of sleep bruxism using a mandibular advancement device:an experimental controlled study. Int J Prosthodont.2006;19(6):549-556.

・Lee CH, Kim JW, Lee HJ, et al. An investigation of upper airway changes associated with mandibular advancement device using sleep videofluoroscopy in patients with obstructive sleep apnea. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2009;135(9):910-914.

・山口泰彦先生ら:「睡眠時ブラキシズムと睡眠時無呼吸症候群は関係あるのか?」北海道歯学雑誌,36(2),157-158,2016

・小林義典先生ら:頭蓋下顎障害患者の夜間睡眠中の病態整理、睡眠時無呼吸の発現頻度、顎機能誌,11:97-104,1993.

・ Kato T, Velly AM, Nakane T, Masuda Y, Maki S. Age is associated with self-reported sleep bruxism, inde- pendently of tooth loss. Sleep Breath 2012; 16: 1159- 1165

・Ohayon MM, Li KK, Guilleminault C. Risk factors for sleep bruxism in the general population. Chest 2001; 119: 53-61.

・Kato T, Mikami A, Sugita H, et al. Negative asso- ciation between self-reported jaw symptoms and apnea-hypopnea index in patients with symptoms of obstructive sleep apnea syndrome: a pilot study. Sleep Breath 2013; 17: 373-379.

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