口呼吸
「口呼吸」は鼻ではなく、主に口で呼吸してしまう状態で、虫歯や歯周病、口臭、歯並び、顔・顎の成長の悪化、いびき・睡眠時無呼吸症候群などの原因につながります。
口呼吸をしている方は子供で3割、大人で5割以上といわれていますが、自覚のある方は全体の約2割と報告されています。
また口がぽかんと開いている「隠れ口呼吸」や「寝ている間の口呼吸」の方もいます。
ここでは、口呼吸の治し方・改善策、健康面への影響などをまとめてご紹介していきます。
目次
鼻呼吸?口呼吸?
人間の正しい呼吸方法は「鼻呼吸」である一方で、「口呼吸」は無防備な呼吸方法といわれています。
鼻呼吸
鼻呼吸では、吸い込んだ空気中の細菌やウイルス、ほこりなどを鼻の中の毛や粘液でろ過したり、加湿・加温して、私たちの健康を守る仕組みになっています。
口呼吸
口呼吸では、吸い込んだ空気をろ過や加温・加湿できず、細菌やウイルスなどが直接侵入しやすく、口の中の乾燥や細菌の繁殖がしやすくなります。
また口呼吸をしていると、わずか半日で口の中の水分は約170mL以上失われると報告されています。
もしかして口呼吸?
気づくと口が開いている(「お口ぽかん」)人の場合、約6〜7割が口呼吸をしているといわれています。
口呼吸が起こす問題とは?
口の中の病気
口呼吸が習慣化すると口が乾き、唾液で口の中を洗い流したり、細菌の繁殖を防ぎにくくなります。
また口の中の細菌が増殖すると歯垢がつきやすく、虫歯や歯周病、口臭、歯の着色等のリスクが高まります。
歯並び、顔・顎の成長
歯並びや顔・顎の成長は、唇や舌の位置や筋力によって正しく促されます。
口呼吸では唇や舌の筋力が低下したり、正しい位置にないため、歯並びが悪くなったり、顎が十分に成長できない場合があります。
出っ歯、すきっ歯
習慣的な口呼吸で口がぽかんと開いている(「お口ぽかん」)と、前歯を唇で内側に引っ込める力が働きにくいため、出っ歯・すきっ歯につながります。
受け口
口呼吸では、舌が上顎にくっついた状態にならず(「低位舌」)、上顎の成長を促すことができないため、受け口につながることがあります。
いびき・睡眠時無呼吸症候群
口呼吸を繰り返していると、扁桃が腫れて気道が狭くなりやすいため、いびき・睡眠時無呼吸症候群を発症する危険性が高くなります。
口呼吸が疑われる特徴
口呼吸は自覚がないことがほとんどです。しかし、口呼吸をしていると、次の特徴が出てきます。
- お口がぽかんと開いている
- 唇や口が乾く
- 歯並びが悪い(出っ歯、すきっ歯、受け口)
- 口臭がある
- いびきをかく
- 口を閉じると、下顎にシワができる
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30秒でできるセルフチェックもございますので、ぜひ確認してみましょう。
治し方・改善策
舌や唇の訓練「口腔筋機能療法(MFT)」
口呼吸の治し方として、唇や舌の低下した筋力の機能を向上する訓練「口腔筋機能療法」があります。継続して行うことで、唇や舌を正しい位置に整えることができ、口呼吸を防ぎやすくなります。
歯並びの改善
歯並びが悪いと、唇を閉じにくく、口呼吸をしやすくなります。
歯列矯正では、口呼吸で悪くなった歯並びを治したり、また鼻呼吸をしやすくすることで、歯並びの悪化や後戻りを防ぎやすくなります。
まとめ
口呼吸は、自覚のないまま習慣づいていることがほとんどで、知らないうちに健康面に影響を与えていることも少なくありません。
虫歯や歯周病になりやすい、口臭がある、いびきをかく、歯並びが悪いでお悩みの場合、口呼吸が影響しているかもしれません。気になる点やご不明な点等ございましたら、お気軽にご相談ください。
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(参考文献)
・「子どもの“お口ぽかん”の有病率を明らかに − 全国疫学調査からみえた現代の新たな疾病 -」斉藤一誠先生ら 新潟大学大学院医⻭学総合研究科小児⻭科学分野