歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム) Q&A

歯のマスコットの画像

Q. 歯ぎしりとは何ですか?

A. 歯ぎしりは歯をこすり合わせたり、噛み締める運動を指します。ほとんどの場合、自覚はありませんが、歯や顎に大きな負担がかかります。

なお、歯ぎしりは睡眠関連運動障害群に分類されています。(睡眠障害国際分類第3版)

Q. 歯ぎしりの原因や理由は何ですか?

A. 歯ぎしりは以下の原因が起きると考えられています。

  • ストレス
  • お酒、タバコ、カフェイン
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 噛み合わせ
  • 遺伝
  • 脳震盪(しんとう)などの過去の頭部のケガ
  • 逆流性食道炎
  • 脳に関連する病気
  • 一部のお薬の副作用
  • 個人の性格

逆流性食道炎と歯ぎしり、睡眠時無呼吸症候群

歯ぎしりと睡眠時無呼吸症候群

Q. 歯ぎしりは子供でも起こりますか?

A. 歯ぎしりは大人だけでなく、子供でも発症します。歯ぎしりは乳歯が生えるのに伴い、1歳未満のお子様でも発症することが報告されています。

また歯ぎしりをする人の割合はむしろ子供の方が多く、小児の14〜18%、成人の8〜10%とされています。

Q. 歯ぎしりは放置するとどうなりますか?

A. 歯ぎしりは100kg以上の力が出ることがあり、繰り返されると、歯や顎に大きな負担がかかります。

歯ぎしりが続くと、歯周病の悪化、歯のすり減り、歯の破折、詰め物や被せ物の破損、顎の関節や筋肉のこわばり・痛みなど様の症状が出ることがあります。

顎関節症

Q. 歯ぎしりの治し方や対策にはどのようなものですか?

A. 歯ぎしりの治療には、

  • マウスピース治療
  • ボツリヌス療法
  • 漢方薬
  • 睡眠の質を上げる

などがございます。

なお、歯ぎしりの原因として、睡眠時無呼吸症候群や噛み合わせなど別の問題が疑われる場合には、病気の治療を並行して行うことが勧められます。

歯ぎしりと睡眠時無呼吸症候群の関係

Q. 歯ぎしりに対するマウスピース治療とは、どのようなものですか?

マウスピース治療とは、個人の歯型をもとに作ったマウスピースを歯に装着し、歯や顎の関節への負担を減らしたり、詰め物や被せ物の破損を防ぐ治療です。

通常は、歯ぎしりが起きる夜間に装着します。

Q. マウスピース治療のデメリットは何ですか?

A. マウスピース治療はメリットが多いですが、以下のデメリットもあります。

  • 費用がかかる。(保険適用3割負担で、約3,000〜4,000円)
  • 慣れるまでに時間がかかることがある。
  • 永久ではない。(長期間の使用や強い歯ぎしりで破損する可能性がある)。

Q. マウスピース治療は保険適用ですか?値段はいくらくらいですか?

A. はい、保険適用です。マウスピース治療回数は2回で、費用(約3割負担)はおおよそ3000〜4000円となります。

Q. 歯ぎしり用マウスピースに種類はありますか?

A. 歯ぎしり用のマウスピースの中でも、軟らかい/硬い種類があり、厚みや材質が異なります。適切なマウスピースの種類は、歯の状況によっても異なるため、担当医と相談して決めるのが良いでしょう。

Q. マウスピースの寿命はどのくらいですか?

A. 1年以上使用可能な症例が多いですが、噛む力や使用頻度、マウスピースの種類によって異なり、個人差が大きいとされています。

Q. 歯ぎしり用のマウスピースをつければ、いびきも治りますか?

A. いびきや睡眠時無呼吸症候群の方の場合、歯ぎしり用のマウスピースを使用すると悪化することがあります。

歯科に関連するマウスピースは歯ぎしり用や矯正治療用、いびき・睡眠時無呼吸症候群用、スポーツ時のケガ防止用、ホワイトニング用などたくさんの種類がありますが、種類によって、厚みや設計、材質が異なります。

歯列矯正用マウスピース

睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療

スポーツ用マウスピース

ホームホワイトニング

Q. ボツリヌス療法とは何ですか?

A. ボツリヌス療法とは、顎の筋肉にボツリヌストキシンを注射し、筋肉の緊張をほぐし、歯ぎしりを減らす治療法です。

ボツリヌストキシンはボトックスなどの薬剤に含まれ、ボトックス治療ともいわれています。

*ボツリヌス療法は保険適用外です。また15歳未満、妊娠中、妊娠を予定している方、重症筋無力症、筋委縮性側索硬化症(ALS)方は適応になりません。

ボツリヌス療法

Q. 歯ぎしりは、睡眠中にどのくらいの頻度で起きていますか?

A. 歯ぎしりは通常、睡眠中にずっと起きているものではなく、短く細切れに発生します。

1回0.25秒程度の非常に短いものから数秒にわたるものまで様々で、100kg以上の非常に大きな力がかかることもあります。

Q. 歯医者さんから歯ぎしりを指摘されましたが、自覚も無く、今まで家族から歯ぎしりを指摘されたことがありません。なぜでしょうか?

A. 歯ぎしりは睡眠中に起きるため、自覚することはほとんどありません。

また音の鳴らない隠れ歯ぎしりもあるため、第三者から指摘を受けないこともあります。

以下の症状がある場合は、歯ぎしりの疑いもあるため、担当医と相談してみるのが良いでしょう。

  • 顎が痛い
  • 歯がしみる
  • 歯がすり減っている
  • 詰め物や被せ物が割れる、欠けることが多い。
  • 舌に歯の痕がついている。

Q. 歯ぎしりは遺伝しますか?

A. 歯ぎしりは、家族や一卵性双生児を対象とした研究から、特定の遺伝子の変化(遺伝子多型)の関連が指摘されています。

Q. 歯ぎしりは、噛み合わせや歯並びと関係はありますか?

A. 以前に歯ぎしりと噛み合わせ・歯並びとの関連が考えられていましたが、現在では科学的な根拠が乏しいといわれています。

日本歯ぎしりの改善を目的として、噛み合わせ治療(歯、つめものやかぶせものを削る、やり変えるなど)や矯正治療(歯並びを変える、歯を動かす)をしても効果が得られないこともあり、一度行うと元に戻せない治療になるため、最初から積極的に行うべき治療ではないとされています(日本補綴学会等による)。

Q. 歯ぎしりは歯の本数と関係ありますか?

A. 歯の本数が少なくても、乳歯でも永久歯でも歯ぎしりは起きることが報告されています。

Q. 歯ぎしりが他の病気と関係していることはありますか?

A. 睡眠の質を低下させる病気や中枢神経系(脳)の病気との関連が報告されています。

代表的なものとして、

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 睡眠関連胃食道逆流症(逆流性食道炎)
  • 不眠症
  • レストレスレッグス症候群
  • 周期性四肢運動異常症
  • 口顎ミオクローヌス
  • 睡眠時てんかん

などがございます。

いびき・睡眠時無呼吸症候群

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