キシリトールガムの効果

「キシリトールガムを噛めば、虫歯を防げるの?」「歯の修復や、歯ぐきにもよいの?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
キシリトールは、虫歯の原因となる酸をつくる材料になりにくい甘味料です。また、砂糖を含まないガムを噛むと唾液が出やすくなり、お口の環境を整える助けになります。ただし、ガムだけで虫歯や歯周病を防いだり、治したりできるわけではありません。毎日の歯磨きなどに加える、補助的なケアとして活用しましょう。[1][2]
キシリトールガムに期待できる効果

1.砂糖の代わりに選べる甘味料
虫歯は、歯垢の中の細菌が糖を利用してつくる酸によって、歯の成分が溶け出すことから始まります。キシリトールは砂糖と異なり、虫歯に関わる細菌が酸をつくる材料として利用しにくい特徴があります。「甘いから歯に悪い」とは限りませんが、キシリトール入りでも、ほかに砂糖などが含まれていないかを確認することが大切です。[1]
2.唾液の働きを助ける
ガムを噛む刺激や味の刺激によって、唾液の分泌が促されます。唾液には、お口に残った糖や酸を洗い流す、酸性に傾いた環境を中性に近づける、カルシウムやリン酸を歯の表面に補う、といった働きがあります。こうした作用が、再石灰化を助ける環境につながります。これはキシリトールだけに特有の働きではなく、砂糖を含まないガムを噛むことによっても得られます。[1][2]
「再石灰化」は、欠けた歯を元に戻すことではありません。
歯の表面からミネラルが失われ始めた初期段階の変化を回復させる仕組みです。穴があいた虫歯や欠けた歯は、ガムでは修復できません。
3.虫歯予防への上乗せ効果が研究されている
2025年の研究のまとめでは、キシリトールガムにより、ほかの糖アルコールのガムと比べて、虫歯に関わる菌や歯垢、虫歯の発生が減った研究が報告されています。ただし、虫歯の発生を調べた比較研究は少なく、研究の質にも限界があるため、予防効果の大きさはまだ確定していません。2015年のコクランレビューでも、多くの製品について効果を判断する根拠が十分ではないとされました。対象者、製品、使用方法、比較条件などで結果が異なるため、「誰でも同じ効果が得られる」「必ず虫歯を防げる」とは言い切れません。[3][4]
キシリトールガムの選び方と使い方

まずは「砂糖を含まないこと」を確認
「キシリトール入り」という商品名だけでなく、「シュガーレス」「糖類ゼロ」などの表示や原材料を確認しましょう。甘味料の種類、1粒当たりのキシリトール量、摂取目安量は製品によって異なります。製品に表示された量を守り、自己判断で大量に摂ることは避けてください。[1][6]
食後に噛む・無理をしない
米国歯科医師会(ADA)は、食後にシュガーレスガムを20分間噛んだ臨床研究で、虫歯の発生が少なかったことを紹介しています。ただし、これは全員に20分の咀嚼を求めるものではありません。製品表示やお口の状態に合わせ、無理のない範囲で取り入れましょう。[2]
カルシウムなどの配合成分にも違いがある
カルシウムやリン酸などの再石灰化を助ける成分を配合したガムや、フッ化物を含むガムも研究されています。ただし、配合成分、量、対象者、研究条件によって結果は異なり、特定の製品の結果をすべてのキシリトールガムに当てはめることはできません。特定保健用食品などを選ぶ場合も、パッケージに表示された機能と摂取目安を確認しましょう。[1][8]
注意点とよくあるご質問

- お腹がゆるくなる場合:キシリトールなどの糖アルコールは、一度に多く摂ると、体質によって腹部の張りや軟便・下痢を起こすことがあります。症状が出たら使用を控え、続く場合は医療機関に相談しましょう。[6]
- 顎に痛みや疲れが出る場合:長時間・強い力で噛み続けず、使用を控えて歯科医院にご相談ください。[7]
- 安全に噛んで吐き出せない場合:小さなお子さんや、飲み込みに不安がある方など、誤嚥のおそれがある場合にはガムを与えないでください。使用できるか迷う場合は歯科医院にご相談ください。
Q. ガムを噛めば、歯磨きは不要ですか?
A.歯磨きの代わりにはなりません。ガムだけでは、歯の表面や歯と歯の間の歯垢を十分に取り除けません。フッ化物配合歯磨剤による歯磨き、歯間清掃、間食のとり方の見直し、定期健診を基本にしましょう。[1][5]
Q. 歯周病にも効きますか?
A.ガムによる歯周病の治療効果は確立していません。細菌や歯垢への影響を調べた研究はありますが、キシリトールガムで歯周病が治ることを示すものではありません。歯ぐきの出血や腫れがある場合は、ガムで様子を見続けず、歯科医院で原因を確認しましょう。[3]
ご自身に合う虫歯予防を、一緒に考えましょう。
ガムの選び方やお口の乾き、虫歯のなりやすさが気になる方は、大倉山駅前港北歯科クリニックへご相談ください。お口の状態や普段のケアに合わせてご案内します。
監修:大倉山駅前港北歯科クリニック 院長 飯塚 健(歯科医師・薬剤師)
※掲載画像はAIで制作したイメージです。
参考文献・情報
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「う蝕の原因とならない代用甘味料の利用法」(2025年10月15日更新)。
- American Dental Association. Chewing Gum.
- Söderling E, Pienihäkkinen K. Specific effects of xylitol chewing gum on mutans streptococci levels, plaque accumulation and caries occurrence: a systematic review. BMC Oral Health. 2025;25:1275.
- Riley P, et al. Xylitol-containing products for preventing dental caries in children and adults. Cochrane Database Syst Rev. 2015;3:CD010743.
- 日本小児歯科学会「こどもたちの口と歯の質問箱:小学生低学年」食べ物・食べ方。
- 東京都保健医療局「ノンシュガーや低カロリーの菓子や飲料を食べたり飲んだりすると下痢をしてしまうのですが、何故でしょうか?」。
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「顎関節症」。
- 三上俊成「フッ化物配合キシリトールガムの再石灰化促進効果」。小児歯科学雑誌. 2005;43(1):1–11.(試作ガム・エナメル質試料等を用いた研究)
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