銀歯に水銀が入ってる？！
アマルガム合金とは？

「銀歯に水銀が含まれてるの？」そんな話を聞いたことはございませんか。1970年代ごろまでの歯科治療で一般的に使われていた一部の銀歯には、水銀が含まれている可能性があります。

※現在の歯科治療の銀歯に水銀は使用されておりません。

かなり古い銀歯がある…そんな場合はひょっとしたらアマルガム合金かもしれません。

ここでは、銀歯やアマルガム合金、水銀について、わかりやすく解説致します。

アマルガムとは？

アマルガムは銀歯の一種で、虫歯治療後の詰め物に使用される材料です。

使用法が簡単で耐久性があるため、歯科治療では約150年くらい前から使用され、1970年代ごろには多くの歯科医院で使われていました。

※当院では開業以来、アマルガムは一切使用していません。

※日本では2016年の診療報酬改定で保険診療から除外され、現在は製造されていません。

 成分は？

アマルガムは主に銀、水銀、スズや銅、亜鉛などが含まれています。また日本工業規格（JIS）によると、歯科アマルガム合金の成分と割合は以下のように規定されています。

※アマルガムに含まれる水銀は安定した無機水銀であり、水俣病の原因である有機水銀（メチル水銀）ではありません。

 水俣病の水銀と違う？！
健康の問題は？

水俣病の原因の水銀は有機水銀（メチル水銀）です。一方で、アマルガム合金の水銀は無機水銀であり、他の合金と混ざり合い、極めて安定した状態です。そのため、アマルガムは健康に影響を与えることはないと多くの研究で報告されています（＊１）。

また有機水銀は消化管（小腸）から吸収されますが、無機水銀はほとんど吸収されません。

普段も水銀を摂取してる？！

水銀は自然界にも存在し、火山や海水、地表、大気中（雨や霧を含む）などに存在し、食物連鎖で主に魚介類に蓄積します。

ただし、環境省や厚生労働省によると、一般的に魚に含まれる水銀は微量のため、食べても問題はない（＊２）とされています。

※下表は横にスクロールできます。

日本では、総水銀値の基準を0.4ppm以下としています。0.4ppm以下の魚は一生食べ続けても健康に影響しません。また総水銀値の高い魚も、持続的に大量に食べない限り、心配はありません。

アマルガムが廃止された理由は？

アマルガムには以下の欠点があり、廃止されました。

• 環境面への配慮
• 金属色による見た目の悪さ
• 歯と接着しない

現在では、歯とよくなじむプラスチック（レジン）やセラミックなどのより優れた材料があるため、アマルガムが選ばれることがなくなりました。

アマルガムは外したほうがいい？

アマルガムは一部の科学的根拠の乏しいデータをもとに、様々な症状・病気（例えば、ガンや自閉症、ADHD、不妊、アルツハイマー病、パーキンソン）と関連づけられることがあります。一方で、多くの医学論文で、アマルガムは安全と報告されています。

また2013年に日本歯科医師会の「歯科用アマルガムの使用に関する見解」や日本歯科保存学会の「歯科用アマルガム（に含まれる水銀）に関するQ & A集」によると、“口の中にあるアマルガムは安定しているため、虫歯の再発などがない限り、原則除去すべきでない”とされています。

※当院では、患者様からのご希望があった際やアレルギーや虫歯の際に、アマルガムの除去を行っております。またご相談のみの診察も承っております。

銀歯、アマルガム合金に関するご質問がございましたら、お気軽にご連絡ください。

（参考文献）

＊1：「The safety of dental amalgam and alternative dental restoration materials for patients and users (2015)」欧州委員会のSCENIHR（新興及び新規に同定される健康リスクに関する科学委員会）、「Statement on Dental Amalgam」（ADA：アメリカ歯科医師会）、「Neurobehavioral effects of dental amalgam in children: a randomized clinical trial.」

DeRouen TA, Martin MD, Leroux BG, et al.　JAMA. 2006;295(15):1784-1792.、「Neuropsychological and renal effects of dental amalgam in children: a randomized clinical trial.

」Neuropsychological and renal effects of dental amalgam in children: a randomized clinical trial.　JAMA. 2006;295(15):1775-1783.

＊2：「水銀と健康」（環境省　国立水俣病総合研究センター）、「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」（厚生労働省　薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会　乳肉水産食品部会）