口が乾くお薬
お薬の中には「口が乾く」副作用を持つものがあります。口が乾く薬は約700種類以上と非常に多く、お薬全体(日本医薬品集掲載薬品)の約1/3〜1/4が該当します。
また「口が乾く(ドライマウス)」の原因の約6割はお薬の副作用といわれ、いろいろな持病で複数のお薬を飲み、かつ長期間服用中の方ほど、口が乾きやすくなります。
ここでは、口が乾くお薬について、わかりやすく解説していきます。
口が乾くお薬の種類とは
「口が乾く(口腔乾燥)」症状のある代表的なお薬として、
- アレルギー系(花粉症、蕁麻疹など)のお薬
- 精神・神経系(統合失調症、うつ病あるいはパーキンソン病など脳の病気)のお薬
- 高血圧のお薬
- 心臓病のお薬
- 睡眠薬
- 喘息のお薬
- 頻尿のお薬
- 抗がん剤
- 風邪薬
などがあります。薬の説明書(添付文書)には「口渇」などの記載があり、上記以外にも多数存在します。
報告例
副作用で口が乾くのはなぜ?
サラサラした唾液を出すには、アセチルコリンという物質が唾液腺に作用して、「サラサラした唾液を出そう」と指令を送ります。
一方で、「口が乾く」お薬の多くは抗コリン作用という効果で、「サラサラした唾液を出そう」という指令をブロックするため、唾液が出にくくなり、口の乾きにつながります。
またサラサラした唾液の分泌には、ナトリウムイオン(Na⁺)やカルシウムイオン(Ca⁺)も関わっています。一部の高血圧や喘息のお薬や痛み止めなどはNa⁺やCa⁺に影響へ与えるため、同様に口が乾くことがあります。
副作用の発現確率は?
副作用に「口渇」の記載のあるお薬は、飲むと必ず「口が乾く」わけではありません。
「口が乾く」症状が現れる確率は約0.1〜34%未満のものまで様々です。
口が乾きやすい人
- “複数”のお薬を飲んでいる。
- “長期間”お薬を飲んでいる。
発現率が比較的高いお薬
☞下の表は、縦横に移動(スクロール)できます。
種類 | 成分 | 口が乾く確率 |
---|---|---|
抗うつ薬 | イミプラミン塩酸塩 | 34.3% |
高血圧のお薬 | クロニジン塩酸塩 | 19% |
胃腸薬 | ブチルスコポラミン臭化物 | 9.4% |
抗パーキンソン病薬 | メチキセン塩酸塩 | 8.9% |
抗アレルギー薬 | d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 5%以上 |
(参考文献)「薬物による口腔乾燥症とその対処法」秋本 和宏先生ら 老年歯学 第19巻 第3号 2004
まとめ
口が乾く・ネバネバするなどと感じたら、お薬の副作用の可能性があります。
口が乾き続けると歯周病や虫歯、口臭のリスクが高まったり、さらには口腔カンジダ症(カビ)や舌痛症(舌が痛い、ヒリヒリする)、味覚障害などにつながることもあります。
当院では薬剤師も在籍しております。お薬の副作用や口の乾きについてご不明な点等ございましたら、お気軽にご相談ください。
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