歯周病と関節リウマチ
「関節リウマチ」という病気をご存知の方も多いのではないでしょうか。ただ、関節リウマチが歯の病気と関連することを知っている方は多くありません。
歯周病と関節リウマチと互いに影響し合う病気で、実際に、歯周病治療が関節リウマチの症状の悪化を防ぐ結果が報告されています。さらに、関節リウマチは口が渇く病気(シェーグレン症候群)を合併することもあります。
ここでは、離れた場所の病気である「歯周病」と「関節リウマチ」の関係について、解説していきます。
目次
歯周病と関節リウマチとの関連
歯周病と関節リウマチは互いに影響し合い、関節リウマチの患者さんは歯周病が重症化しやすく、歯周病の患者さんは関節リウマチの発症リスクが高いことが報告されています。
- 関節リウマチで手指の関節のこわばりや痛み、変形が生じ、歯磨きが十分にできなくなる。
- 関節リウマチの治療薬・免疫抑制剤(ステロイド)などにより、歯周病菌に感染しやすくなる。
- 歯周病菌によって、免疫反応の異常が引き起こされる。
- 関節リウマチは骨粗鬆症を併発しやすく、歯周病が悪化しやすい。
関節リウマチ → 歯周病
歯周病 → 関節リウマチ
注意点
歯科治療を受けるとき
特に免疫抑制剤(ステロイド)や骨粗鬆症のお薬を服用中の場合は、担当の歯医者さんに伝えるようにしましょう。
歯磨きについて
関節リウマチで手指がうまく動かない場合は、電動歯ブラシやマウスウォッシュを併用するのも良いでしょう。
関節リウマチと合併しやすい病気
口や目が乾く シェーグレン症候群
唾液が出にくく、口腔乾燥症(ドライマウス)を引き起こす病気です。関節リウマチの患者さんの約20%がシェーグレン症候群が併発すると報告されています。
唾液が少なくなると、口の中の雑菌が増殖しやすく、虫歯や歯周病の発症・悪化、口臭、口腔カンジダ症などの原因につながります。
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骨粗鬆症
関節リウマチの方の約50%に骨減少症が、約15%に骨粗鬆症がみられると報告があり、骨粗鬆症のお薬を使用している方も少なくありません。
骨粗鬆症のお薬を服用している場合には、配慮した歯科治療が必要になることがあります。また骨粗鬆症は歯周病との関連があります。
顎関節症 ・噛み合わせ
関節リウマチでは顎の関節部分の骨が破壊され、顎関節症(口が開かない・顎を動かすとカクカク音が鳴る・顎の痛みなど)を発症することがあります。
また重症化すると、咬み合わせが変化(前歯が当たらない・うまく噛めない)することもあります。
睡眠時無呼吸症候群
顎関節が変形すると、下顎が後方に下がり、気道が狭くなり、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなります。
関節リウマチについて
免疫の異常によって、慢性的に関節に炎症が起きる病気で、歯周病との関連が深いことが数多くの論文で報告されています。
性別、年齢、患者数
男女比は約1:4で30〜50歳代の女性に多く、患者数は全国で約100万人とされています。
原因
歯周病菌や遺伝、喫煙などが考えられています。
症状
手指などの関節のこわばりや変形などが生じ、歯ブラシをうまく動かせないこともあります。
まとめ
関節リウマチは免疫力の低下に伴い、虫歯や歯周病、口臭、口腔カンジダ症などを合併するリスクがあります。リスクをなるべく減らすためには、定期的な健診や歯のクリーニングがとても大切です。
当院では関節リウマチの方向けの歯磨き指導や歯周病治療も取り組んでおります。ご不明な点等ございましたら、お気軽にご相談ください。
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