薬剤関連顎骨壊死 Q&A

Q. 顎骨壊死とはどのようなものですか?

A. 骨粗鬆症や骨転移を伴うがん、骨の病気に使われるお薬の副作用として、顎の骨の一部が壊死する病気です。

Q. 顎骨壊死と関連するお薬はどのようなものがありますか?

A. 薬剤関連顎骨壊死との関連のあるお薬は以下の通りで、骨粗鬆症や骨転移のがんの治療薬が挙げられます。

  • ビスフォスフォネート(BP)製剤
  • 抗RANKL抗体製剤デノスマブ
  • 血管新生阻害薬

一方で、骨粗鬆症の治療薬でも、

  • ビタミンD製剤(例:アルファロール、エディロールなど)
  • エストロゲン製剤(例:エビスタなど)

などは「薬剤関連顎骨壊死」と関連はないと考えられています。

(詳細記事)

薬剤関連顎骨壊死

Q. 抜歯する場合、該当するお薬を中止した方が良いですか?

A8. 現在、お薬の中止は原則必要なしとされています。ただし、抜歯時は事前に担当医に服用薬を必ず伝え、相談するようにしましょう。また自己判断でお薬を中止することは避けましょう。

(参考文献)「薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」

Q. 該当するお薬を飲んでいるときは抜歯を避けた方が良いのでしょうか?

A. 状況によります。以前は、抜歯が顎骨壊死のリスクを高める可能性が指摘され、抜歯を避けるのが一般的でした。

しかし、近年では、

  • 抜歯を避けても、顎骨壊死の発症の予防にならない。
  • 抜歯が必要な歯を温存すると、顎骨壊死の発症リスクが高まることがある。

との報告がされています。抜歯については、担当医と相談しながら進めるのが良いでしょう。

Q. 該当するお薬を服用すると、顎骨壊死になりますか?

A. 該当するお薬を服用しても、必ず「薬剤関連顎骨壊死」になるわけではありません。

「薬剤関連顎骨壊死」の発症頻度は非常に低く、例えば、骨粗鬆症のお薬(BP製剤)を服用中の場合に「薬剤関連顎骨壊死」を発症する確率は0.001〜0.01%と報告されています。

Q. 顎骨壊死になりやすい人とは?

A. 以下のケースは骨に細菌が感染しやすく、顎骨壊死のリスクが増加すると考えられています。

  • ゾレドロン酸水和物(ゾメタ)やデノスマブ(ランマーク)などのがん骨転移の治療薬を使用中。
  • 顎骨壊死に関連するお薬(骨粗鬆症・がんの骨転移・骨の病気等)を4年以上使用中。
  • 使用中の顎骨壊死に関連するお薬が飲み薬ではなく、注射剤。
  • 免疫力が低下している。
  • 糖尿病や免疫系の病気を抱えている。
  • 虫歯や歯周病が進行したまま、放置している。
  • 口の中が汚れている。
  • 人工透析中である。
  • 喫煙者である。

Q. 該当するお薬は飲まない方が良いのですか?

A. 該当するお薬は必要があって、担当医が処方しています。気になる場合は自己判断での中止はせず、必ずかかりつけの歯科医師や医師に相談するようにしましょう。

なお、該当するお薬を使用しないことで、発生する危険もあります。骨粗鬆症の場合は治療薬の中止により、骨折のリスクが約7倍に増加したという報告があります。またがんの骨転移の場合は進行すると、痛みや痺れを伴ったり、骨折しやすくなったり、高カルシウム血症(食欲不振、吐き気、倦怠感、多尿、意識障害など)が起きることがあります。

Q. 顎骨壊死はなぜ起きるのですか?

A. 様々な理由が考えられていますが、顎の骨への細菌感染が一因とされています。

Q. なぜ、顎の骨が壊死しやすいのですか?

A. 顎の骨は他の骨と比べて、骨が露出しやすい・感染を起こしやすいという特徴が理由とされています。

  1. 口の中には非常に多くの細菌が生息しているため(800種類以上で数億以上)。
  2. 顎の骨は歯を取り囲むように存在しているため、歯や歯茎の病気の影響を受けやすい。
  3. 歯茎の粘膜は薄く、傷つくと骨が露出しやすいため。
  4. 抜歯後は傷口がふさがるまで骨が露出した状態になりやすいため。
  5. 顎の骨は他の骨より代謝が速く、お薬が移行しやすいため。

Q. 顎骨壊死はどうすれば予防できますか?

A. 顎骨壊死の予防には、口の中を清潔に保つことや粘膜(歯茎)を傷つけないようにすることが大切です。

口の中を清潔にする

口の中には数億以上の細菌が生息し、歯ブラシの毛先が届きにくい場所もあります。定期的に歯のクリーニングを受け、口の中を清潔に保つことが大切です。

また虫歯や歯周病、歯の根の膿を放置すると、骨に移行する危険があるため、自覚症状がなくても定期健診を受けることが推奨されます。

歯のクリーニング(歯垢・歯石取り)

粘膜の傷を避ける

合わない入れ歯を使用し続けると、歯茎を傷つけ、ひどい場合は骨が露出することがあります。しばらく入れ歯の調整をしていない場合は、担当医に診てもらうのが良いでしょう。

Q. もし顎骨壊死になったらどうすれば良いですか?

A. 顎骨壊死になった場合には患部の洗浄、抗菌薬の使用、壊死した骨を除去する治療方法など行います。


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