オーラルフレイルは予防・対策できる!
「口腔機能訓練」について
目次
口腔機能訓練とは?
「口腔機能訓練」とは、将来の介護リスクが高まる“口の衰え(オーラルフレイル)”を防ぐための、お口の体操(トレーニング)です。
口の衰えが全身の衰えに…
加齢による口の筋力や機能の衰えが進むと、むせやすくなったり、うまく噛めなくなります。そして、食べられる物が限られてくると、低栄養や全身の筋力低下が生じ、全身の衰えにもつながってしまいます。
口の衰えの予兆?!
最近、次のような症状を感じることはありませんか?
もし、当てはまるものがあれば、舌や唇、頬、唾液腺など口の機能が低下しているかもしれません。口の機能の衰えは自覚しにくいですが、50歳以上の人の約50%は「オーラルフレイル(口の衰え)」に該当すると報告されています。
当院では、「オーラルフレイル」の検査を行っています(保険適用)。気になる症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
オーラルフレイルの予防のための
お口の体操(トレーニング)
ご自宅でも簡単にできる「お口の体操」を効果別に、紹介致します。全身の衰えにつながる前に、口の衰えを防ぐのがおすすめです。
「舌や口の動きを滑らかにする」体操
パタカラ体操
- 「パ」:唇をはじくように発音します。唇の運動機能を鍛えます。
- 「タ」:舌の先を上の前歯の裏側につけて発音します。舌の前方の運動を鍛えます。
- 「カ」:舌の奥を上顎の天井につけて発音します。舌の後方の運動を鍛えます。
- 「ラ」:舌を丸めて発音します。舌の前方から後方への動きを鍛えます。
あいうべ体操
- 「あ」:口を大きく開けて発音します。
- 「い」:口を横に広げて発音します。
- 「う」:口をすぼめて発音します。
- 「べ」:舌を前方へ大きく突き出します。
唇と頬の体操
ブクブクうがいをするように、頬を膨らませたり、すぼめる動きを数回繰り返します。
舌の体操
- 舌で片方の頬の内側を外側へ押します。
- 頬の上から自分の指で、舌を軽く押さえます。
- 指の力に抵抗するように、舌を内側から外側へ10回程度押し返します。
- 反対側でも同様の動きを繰り返します。
「唾液を増やす」体操
唾液をつくる組織である「唾液腺」を手・指でマッサージをする体操です。
「飲み込む力をつける」体操
お口開け閉め体操
- お口をゆっくり開けて10秒ほど保ちます。
- お口をしっかりと閉じて10秒ほどお休みします。
- 1〜2を1日に2セット(朝・夕)で繰り返しましょう。
ごっくん体操
- 喉ぼとけに指をあて、顎を少し引き、唾液をごっくんと飲み、喉ぼとけが上がるのを確認します。
- 喉ぼとけを上げたまま、5秒ほど保ちます。
- 最後にお腹から息をしっかりと吐き出しましょう。
*難しい場合には、5秒以下でも構いません。
舌出しごっくん体操
舌を少しだけ出しまま、口を閉じて唾液をごっくんと飲み込みます。
おでこ体操
- 手のひらでおでこを押したまま、顎を引きます。
- おへそを見るようにしながら、5秒ほど保ちます。
*首に痛みのある方や高血圧の方は避けましょう。
「噛む力をつける」体操
ガムによるトレーニング
ガムを噛むことで、噛む筋肉を鍛えることができます。特に、次の点を意識しながら行うのがおすすめです。
- 唇をしっかりと閉じて噛みましょう。
- 左右均等に噛みましょう。
- 背筋を伸ばし、姿勢を正して噛みましょう。
食事のときの要点
- 歯ごたえのある食品を選ぶ(例:根菜類、生野菜など)。
- 食べ物を口につめ込み過ぎない。
- 味付けを薄めにする(噛んで味わうようにする)。
- 背筋を伸ばしてイスに座り、足裏をしっかりと地面に着けましょう。
「滑舌を良くする」体操
唇や舌の動きを訓練することで、はっきりとした発音や豊かな表情につながります。早口言葉で、唇や舌の滑らかな運動の練習をしてみましょう。
早口言葉
3回続けて発音してみましょう。
- 「生麦 生米 生卵」(なまむぎ なまごめ なまたまご)
- 「赤巻紙 青巻紙 黄巻紙」(あかまきがみ あおまきがみ きまきがみ)
- 「スモモも 桃も 桃のうち 桃も スモモも 桃のうち」
- 「東京特許許可局」(とうきょうとっきょきょかきょく)
- 「隣の竹垣に竹立てかけたのは 竹立てかけたかったので 竹立てかけた」
「舌の力をつける」体操
- 舌を「ベー」と出し、下前方へ大きく伸ばします。
- 舌で鼻を触るように、上へ大きく伸ばします。
- 舌を左右に大きく伸ばします。
- 舌を出して口の周りを舐めるように、左回り・右回りと大きく動かします。
- スプーンなどで舌を軽く押さえて抵抗をかけながら、舌を前・左右・上と動かします。
「頬の力をつける」体操
- 左右の頬に両手を軽く当て抵抗をかけながら、頬を膨らませます。
- しっかりと唇を閉じたまま、頬をへこまします。
まとめ
お口の体操(口腔機能訓練)は、お口の老化や衰えを防ぎ、全身の衰え防止にもつながります。継続して続けられるものから、無理のない範囲で、取り組むのがおすすめです。
当院では「オーラルフレイル」の検査を取り入れ、全身の健康につながる取り組みを行っております。噛みにくい、飲み込みにくいなど気になる変化があれば、お気軽にご相談ください。
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(参考文献)
- 「オーラルフレイル対策のための口腔体操」日本歯科医師会
- 「チェアサイド オーラルフレイルの診かた」菊谷 武先生 医歯薬出版株式会社
- 「オーラルフレイルハンドブック」一般社団法人 神奈川県歯科医師会