災害時のお口のケア
災害と肺炎には深い関係があることをご存知でしょうか。災害時は水不足などに伴い、口の中の細菌が繁殖し、肺炎が起こりやすくなります。特に免疫力の低下した高齢者では誤嚥性肺炎は命に関わることもあります。
では、災害時の歯磨きやお口のケアはどうすれば良いのでしょうか?
本記事では、肺炎を防ぐ・命を守るためのお口のケアについて、解説致します。
絶対知っておきたい!災害時の肺炎
災害後の避難生活では、口の中の細菌増殖や免疫力の低下、衛生環境の悪化などで肺炎が急増することが明らかになっています。
口の中で繁殖した細菌は誤嚥によって、唾液とともに肺に入ると誤嚥性肺炎を発症します。特に普段からムセる方や体力・免疫力の低下した高齢者は肺炎を発症する危険性が高く、注意が必要です。
災害関連死
災害関連死とは、災害による直接の被害ではなく、災害後の避難生活などで亡くなられる死を指します。災害関連死の約2〜3割は肺炎と報告され、災害後に歯磨きが十分できないことによる口の中の細菌増殖や環境変化に伴うストレス、免疫力低下などが原因の一つとして考えられています。
水も歯ブラシもないとき
- ティッシュやガーゼ、タオルなどで、歯の表面を拭き、なるべく汚れを取りましょう。
- キシリトールガムを噛み、唾液で口の中を洗いましょう。
- 耳の下や顎の下などを優しくマッサージをして、唾液の分泌を促しましょう(唾液腺マッサージ)。
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歯ブラシがないとき
- 少量の水やお茶で食後に口をゆすぎましょう。
- マウスウォッシュで口をゆすぎ、細菌の繁殖を防ぎましょう。
水が少ないとき
- 約30mLの少量の水をコップに用意します。
- 歯ブラシを水で濡らし、歯磨きをします。
- 歯ブラシが汚れたら、ティッシュで汚れを拭き取り、再度歯磨きをします。
- 最後にコップの水を2〜3回に分けて、口をゆすぎます。
液体ハミガキがあるとき
- 液体ハミガキをブクブクして口の中に行き渡らせた後、歯磨きをします。
- 水でゆすぐ必要はありません。香りが気になる場合は軽くゆすいでも構いません。
入れ歯のお手入れは?!
使える水があれば、入れ歯洗浄液につけて保管するのがおすすめです。水がないときは少なくとも1日1回は入れ歯を外し、ウェットティッシュなどで入れ歯の汚れを拭き取りましょう。
また部分入れ歯の金属部分など汚れがたまり、不衛生になりやすい部分は、歯ブラシや綿棒で汚れを取るようにしましょう。
まとめ
災害時は口の中が汚れ、肺炎を発症するリスクが高まります。口の中を清潔に保つことは肺炎の他、全身の病気の重症化を防ぎ、命を守ることにもつながります。
防災用品には歯ブラシやマウスウォッシュ、キシリトールガムなどを加えておくと、断水時にもお口のケアに役立ちます。
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