口内炎の原因と種類
よくできるのはなぜ?!
口内炎が舌や歯茎、唇などにできて、「痛くてつらい…」誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。口内炎の原因は一つではありません。口内炎がよくできる・すぐできる場合には、いろいろな原因を抱えていたり、実は別の病気のサインかもしれません。
ここでは、口内炎のいろいろな原因について、ご紹介致します。
目次
知っておきたい!口内炎の原因・特徴
口内炎はたくさんの原因があり、原因ごとに口内炎の種類が異なります。
原因 | 種類 | 特徴 |
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アフタ性口内炎 |
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カタル性口内炎 |
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アレルギー性口内炎 |
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抗がん剤や放射線治療による口腔粘膜炎 |
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ニコチン性口内炎 | 舌や上顎の天井に白い分厚い斑点ができます。 |
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疲労やストレス
栄養バランスの乱れと口内炎
粘膜の再生や免疫力の低下
疲労やストレス、睡眠不足などがたまると、粘膜の新陳代謝や防御機能が低下したり、免疫力が落ち、口内炎が発生しやすくなります。
粘膜の健康にはビタミンB群が大きく関わっていますが、多忙な生活でビタミンB群の摂取が不足したり、疲労やストレス、風邪などでビタミンが大きく消費されると口内炎を発症しやすくなります。
口の乾きと口内炎
唾液が少なく、口が乾くと、粘膜の保護や修復ができず、細菌が繁殖しやすく、口内炎を発症しやすくなります。
口が乾く、口の中がネバネバする、頬や舌の粘膜が張り付く自覚がある場合は、口の乾燥のサインかもしれません。
ウイルス・細菌・カビと口内炎
口内炎の原因に、特定のウイルスや菌、カビなどの感染が関係することがあり、うつる(感染)可能性もあります。
ウイルス
口内炎を引き起こすウイルスは、以下の種類が挙げられます。
- ヘルペスウイルス
- 水痘・帯状疱疹ウイルス(「水ぼうそう」の原因)
- コクサッキーウイルス(「手足口病」、「ヘルパンギーナ」の原因)
- アデノウイルス(「プール熱」の原因)
- HIV(「エイズ:AIDS」の原因)
- 麻疹ウイルス(「麻疹:はしか」の原因)
- 風疹ウイルス(「風疹」の原因)
ウイルス性口内炎の特徴
ウイルス性口内炎の場合、粘膜にできた水ぶくれがつぶれ、口内炎を発症することが多いです。また口内炎ができる場所や併発する症状に、特徴があります。
☟下の表は、縦横に移動(スクロール)できます。
ヘルペス | ヘルパンギーナ | 手足口病 | 水痘・帯状疱疹 | |
---|---|---|---|---|
原因 | ヘルペスウイルス | エンテロウイルス | エンテロウイルス | 水痘・帯状疱疹ウイルス |
場所 | 唇や歯茎、頬の内側、舌など | 口の奥の方 | 口の中の粘膜 | 左右片側の口の中の粘膜 |
特徴 |
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細菌
細菌が引き起こす口内炎もあり、原因には性感染症の梅毒や淋病、クラミジア、口の中の常在菌の異常増殖などが挙げられます。
- 梅毒
- 淋病
- クラミジア
カンジダ
カンジダ菌は口の中に生息するカビの一種で、免疫力が低下すると異常に増殖します。
カンジダ性口内炎の特徴
白い苔のようなものが上顎の天井や頬の内側に点在します。また白い苔をはがすと、粘膜が赤く腫れたり、出血を伴うことがあります。
なお、口の中にカンジダ菌が繁殖した病気を「口腔カンジダ症」と呼び、
- 舌が痛い、ヒリヒリする
- 口の中に違和感を感じる
- 味覚異常(変な味がする・苦い)
などの症状を伴うことがあります。
粘膜の傷になるもの
口の中の粘膜に刺激や傷ができると、口内炎のきっかけになります。特に以下の問題があるときは、口内炎を繰り返すことがあります。
原因に対する歯科治療が必要なことがあるため、担当医と相談することがおすすめです。
- 頬や舌を噛んでしまった
- 虫歯や歯周病の進行
- 粘膜の刺激になる食べ物
- 歯ぎしり、噛みしめ、食いしばり
- 悪い歯並び
- 頬や舌を噛む癖
- 合わない詰め物や被せ物、入れ歯
- 歯科治療の麻酔注射
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全身の病気
ベーチェット病
ベーチェット病は免疫の異常が原因と考えられ、国の指定難病の対象となっている病気です。患者数は約2万人と推計され、全体の約0.01%に該当します。
特徴
- 舌や唇、頬の内側など口の中の粘膜に、口内炎を繰り返します。
- 口内炎のほか、眼や皮膚、外陰部に炎症をきたす(4つの症状)が特徴です。
潰瘍性大腸炎・クローン病
潰瘍性大腸炎は大腸に炎症が起き、クローン病は口から肛門までのあらゆる消化管に炎症が起きる病気です。いずれも免疫の異常が原因と考えられ、国が定める指定難病です。
患者数は潰瘍性大腸炎で約22万人、クローン病で約7万人と推計され、それぞれ全体の0.1%、0.05%前後が該当します。
特徴
- 普通の口内炎より多発や再発しやすい傾向にあるといわれています。
抗がん剤や放射線治療による口内炎
抗がん剤や頭頸部に対する放射線治療では、免疫力や唾液の分泌機能の低下によって、口内炎がよくできます。
特徴
- 抗がん剤や放射線治療を開始後、1〜2週間で口内炎の症状はピークを迎え、治療終了後は粘膜が徐々に回復します。
- 普通の口内炎より、強い痛みやただれ、出血などを伴うことが多いです。
- 免疫力も低下するため、口の中をなるべく清潔にして、菌による口内炎の感染を防ぐことが大切です。
タバコと口内炎
喫煙(タバコ)やニコチンガムに含まれるニコチンが粘膜を刺激することで、口内炎ができることがあります。
特徴
- ニコチン性口内炎は痛くないこともある。
- 喫煙時に煙が接触する上顎の天井に発生しやすい。
口腔がんとタバコ
なお、タバコはニコチンなどの発がん物質が含むため、喫煙者は非喫煙者と比べ、口腔がんの危険性が約3.4倍高くなることが報告されています。
アレルギーと口内炎
特定の食べ物や薬、金属のアレルギー反応や免疫の異常をきっかけとし、口内炎を発症することが稀にあります。
まとめ
口内炎の原因は多岐にわたりますが、原因によっては自然には治りにくいものや繰り返してしまうもの、菌やウイルスの感染によるものなど様々です。また口内炎を繰り返す場合にはまだ診断されていない病気が潜むこともあります。
当院では大学病院口腔外科に勤務経験のある歯科医師が在籍しております。気になる口内炎の場合は、お気軽にご相談ください。
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