舌が白いのは舌苔?
口臭と舌苔について
口臭でお悩みの方で「舌が白い・黄色い」、「舌磨きをしても舌苔が取れない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
舌苔は口臭の主な原因になることが多くの研究で明らかになっています。一方で、舌の白い部分は舌苔ではないこともあります。
ここでは、舌苔の特徴、口臭との関係、舌が白い病気について、解説していきます。
目次
舌苔(ぜったい)とは
舌苔とは、舌の表面についた白色・黄色、茶色っぽい苔(こけ)を指します。舌苔は、口の中の粘膜の垢(あか)や細菌の死骸、食べかすなどから成り、強い悪臭を放つため、口臭の最も大きな原因の一つと考えられています。
舌苔のつきやすい場所
舌苔は、特に舌の中央から後ろにかけてつきやすいです。
舌苔に生息する菌
舌苔は数千万もの菌が生息し、歯周病や口腔カンジダ症、誤嚥性肺炎の原因菌の存在も報告されています。
口臭との関係
口臭の主なにおい成分は「揮発性硫黄化合物(VSC)」と呼ばれ、約6割は舌苔から発生しているといわれています。
揮発性硫黄化合物とは?
「揮発性硫黄化合物(VSC)」は口臭の主なにおい成分で、
- 硫化水素
- メチルメルカプタン
- ジメチルサルファイド
の3種類があります。
舌苔から主に発生するガス「硫化水素」はとても悪臭性が強く、微量でも口臭につながりやすいため、口臭への影響力が大きいことが明らかになっています。
舌苔がつきやすい?すぐたまる?!
舌苔がつきやすい、すぐたまる人には、どのような特徴があるのでしょうか。
特に口の中が汚れていたり、口が乾く方や舌をあまり動かさない場合は、舌苔がつきやすいです。
以下に該当する方は、要注意です。
- 唾液が少ない
- 食後や寝る前に歯磨きをしない
- 食事をあまり摂らない(控えている、食事制限)
- やわらかい食事が多い(噛む回数が少ない)
- 水分をあまり摂らない
- 口呼吸/お口がぽかんと開いている
- ストレスや疲労の蓄積
- タバコを吸う(喫煙)
- 服用中の薬に「口腔乾燥」や「口渇」の副作用がある(700種類以上のお薬が該当します)
口が乾く(ドライマウス)
唾液の量が減ると、舌の苔を十分に洗い流せないため、舌苔がつきやすくなります。
口呼吸
口呼吸が続くと口が乾き、細菌が繁殖しやすくなります。また口の乾燥に伴って舌がパサつき、舌の苔や汚れもたまりやすくなります。
また口呼吸は自覚のない場合が多く、子供の3割以上、大人の5割以上が該当するといわれています。さらにマスク装着時は息苦しく、より口呼吸になりやすいため、注意が必要です。
口や舌をあまり動かさない(動かせない)
舌を動かすと舌苔が取れたり、唾液量の増加につながります。
会話が少ない方
口臭が気になり、会話を控えていると口や舌の運動量が減り、舌苔がつきやすくなることもあります。
体が不自由な方
病気(脳卒中やパーキンソン病など)や事故による障害または後遺症、事故、加齢などで、「噛む」・「飲む」動作がうまくできない方も舌苔がつきやすいです。
舌苔の取り方(舌磨き)
舌苔は口臭の主な原因になるため、舌苔を取ることは口臭対策に役立ちます。
舌苔は取らない方がいい?
一方で、舌磨きは誤った方法で行うと舌を傷つけたり、逆効果になってしまいます。
正しい舌苔の取り方を身につけ、口臭対策に役立てましょう。
それって舌苔?
舌の表面にある「舌乳頭」の間に汚れがたまると舌苔となり、舌は白く見えます。
一方で、舌乳頭が成長して、ある程度伸びた場合にも舌は白く見えます。
健康だけど白い舌?長く伸びた「舌乳頭」
「舌乳頭」は糖分がたまると、長く伸びて、厚く硬くなり(角化)、白く見えます。舌苔と誤認されやすく、こすっても取れません。
通常、長く伸びた「舌乳頭」は新陳代謝とともに剥がれ落ち、問題になることはほとんどありません。舌磨きで健康な舌を傷つけないように注意しましょう。
舌が白いのは異常?
舌が白いと、必ず異常というわけではありません。逆に、舌が全く白くない・赤くてツルツル場の合には、舌の異常や病気の恐れもあります。
綺麗に見える舌…実は異常かも?!
亜鉛不足や舌の炎症、抗がん剤治療中などの場合、舌の粘膜の新陳代謝が妨げられ、「舌乳頭」が短くなり(萎縮)、舌に白い部分がなくなり、ツルツルとした綺麗な舌に見えることがあります。
舌苔じゃない?!
「舌が白い」病気
舌の病気
- 舌がん
- 舌の口内炎
- 白板症
- 口腔カンジダ症
全身の病気
- ベーチェット病
- シェーグレン症候群
舌苔がもたらす健康への問題
歯周病や味覚異常、誤嚥性肺炎との関連
舌苔には無数の菌が存在し、歯周病菌や誤嚥性肺炎、口腔カンジダ症(口の中のカビ)の原因菌も含まれ、“菌の貯蔵庫”ともいわれています。
全身の健康を維持するためにも舌、口の中を清潔に保つことが大切です。
歯周病
歯周病は歯を支える骨が溶け、やがて歯がグラグラしていく病気です。成人の約8割が該当しますが、自覚症状がほぼ出ないことが特徴です。
また歯周病は口臭や糖尿病の悪化、心臓病、脳卒中、腎臓病、早産・低体重児出産、肺炎、関節リウマチなどの原因になり、全身の健康へ影響を与えます。
味覚異常
舌苔がたくさんついていると、味を感じとる舌のセンサーが覆われてしまい、味を感じにくくなります。
また味覚が低下すると、味の濃い食事を摂りがちなため、高血圧、さらには心臓病や脳梗塞にもつながります。
誤嚥性肺炎
口の中が汚れているとたくさんの菌を含む唾液を誤嚥した際に、肺炎を引き起こす可能性が高くなります。
誤嚥性肺炎の死亡率は約3割という報告結果もあり、要注意な病気です。
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まとめ
舌苔は口臭の主な原因となるため、口臭対策として舌磨きが有効なことも多いです。一方で、舌が白いのが必ずしも舌苔とは限りません。
舌苔と誤って取ろうとすると、正常な舌を傷つけてしまったり、別の病気を悪化させてしまうこともあります。
舌が白いのが気になる場合には、お気軽にご相談ください。
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