気をつけたい!
誤嚥性肺炎について

誤嚥性肺炎の注意喚起の画像

「誤嚥性肺炎」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。誤嚥性肺炎は高齢者や病気でうまく飲み込めない方などで起きやすく、死亡率が高く、急変することもある危険な病気です。

また誤嚥性肺炎は特に口の中の細菌が関係しているため、口や歯と関わりの深い病気です。

ここでは、誤嚥性肺炎の死亡率、症状、予防などについて、わかりやすくご紹介致します。

誤嚥性肺炎とは?

誤嚥性肺炎とは、唾液や食べ物と一緒に細菌が気道に入って発症する肺炎です。

そもそも誤嚥って何?誤嚥の仕組みを示す画像

通常、飲み込んだ食べ物や唾液は口から食道、胃へ入ります。しかし、老化や病気で飲み込みの機能が低下していると、食べ物の一部や唾液が誤って気管へ入ってしまうことがあり、これを「誤嚥(ごえん)」と呼びます。

誤嚥は食事中に限らず、寝ているときに唾液が肺へ入ることもあります。

原因

誤嚥性肺炎は、うまく飲み込めずに食べ物や唾液を誤嚥してしまうことが原因です。

誤嚥しやすい人

飲み込みの機能は老化や病気によって低下します。特に、以下の方は誤嚥しやすい傾向にあります。

  • 脳梗塞の後遺症
  • 神経系の病気(パーキンソン病など)
  • 寝たきりの方
  • 65歳以上の高齢者

実際、65歳以上の高齢者の肺炎の多くは「誤嚥性肺炎」と言われています(肺炎のうち、70歳以上の70%以上、90歳以上の90%以上が誤嚥性肺炎)。

むせないから大丈夫?

不顕性誤嚥を示す画像

実は、「誤嚥」のときには必ずしも「むせる」わけではありません。特に飲み込みの機能が衰えてくると、誤嚥してもむせないことも珍しくありません。

むせない誤嚥は「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」と呼び、睡眠中など気付かぬうちに唾液が肺に入り、肺炎を起こします。

症状

肺炎は発熱や咳、痰などの症状が代表的です。ただし、高齢者の誤嚥性肺炎の場合には発熱や咳、痰などの症状が出にくく、「元気がない」、「食欲がない」といったわずかな症状しか出ないこともあります。

死亡率は高い?!

厚生労働省の統計によると、肺炎は2020年時点で死因の第4位となっています。そのうち、約4万3千人の方が誤嚥性肺炎で亡くなっており、死亡率(約32%)の高い病気として知られています。

死因が誤嚥性肺炎の割合を示すグラフ画像

高齢者は特に注意

肺炎で亡くなる方の約9割以上は65歳以上の高齢者であり、高齢者の割合の非常に多い現在の日本(2020年時点で65歳以上は全体の約3割)で、肺炎は大変重要で身近な問題です。

肺炎で死亡する人が65歳以上であることを示すグラフ画像

日本の高齢化率を表すグラフ画像

予防・対策

説明をする歯科医療従事者の画像

誤嚥性肺炎の危険を減らすためには、

  • 口の中の清潔にする
  • 飲み込みの訓練・体操をする
  • 食事の工夫

などが大切です。

口の中を清潔に

歯磨き粉で虫歯を予防する高齢者

誤嚥性肺炎は、口の中の細菌が食べ物や唾液と一緒に肺に侵入することで発症することが多いです。歯磨きで落とせない汚れは歯医者さんで定期的に歯のクリーニングをしてもらいましょう。

口腔ケアの誤嚥性肺炎予防効果を示すグラフ画像

歯のクリーニング

また汚れた入れ歯は細菌やカビが繁殖して、誤嚥性肺炎や虫歯、歯周病、口臭などの原因になるので、正しく洗浄しましょう。

入れ歯の汚れ

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入れ歯の洗浄方法(お手入れ)

飲み込みの訓練

お口の体操の画像

加齢や病気が原因で、うまく飲み込めない・むせるなどの自覚がある場合は、飲み込みの機能が低下し、誤嚥の危険性が高い状態です。

誤嚥予防のためには、舌や口の筋力や動きを改善させる「飲み込みの訓練・体操」(口腔機能訓練)がおすすめです。

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飲み込みの訓練・体操

食事の工夫

飲み込みの機能が低下している場合には、誤嚥を予防するために、飲み込みやすい食べ物にしたり、誤嚥しにくい姿勢を覚えておくと良いでしょう。

  • やわらかく煮る・とろみをつけるなど調理や食べ物の選び方を工夫する。
  • よく噛んで、ゆっくり食べる。
  • 食事のときは顎を引き、上体を起こした姿勢にする。
  • 食後すぐに横にならない。

まとめ

誤嚥性肺炎は死亡率が高く、特に注意が必要な病気です。誤嚥性肺炎の発症を防ぐためには、日常的に口の中を清潔にし、定期的に歯医者さんで歯垢・歯石取りをしてもらうことが大切です。

また当院では、噛む・飲み込む機能の検査や誤嚥予防のための訓練・指導も行っております。飲み込みなどでお悩みやご不安等ございましたら、お気軽にご相談ください。

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誤嚥を防ぐ食事の工夫

口腔機能訓練

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