歯磨きについて
よくある質問 Q&A
目次
- 1 Q. 歯磨きは1日何回すれば良いですか?また歯磨きは1回何分くらいが良いですか?
- 2 Q. フロス(糸ようじ)や歯間ブラシは使った方が良いですか?どのくらいの頻度でやれば良いですか?
- 3 Q. 歯磨きのときに血が出ます。病気でしょうか?
- 4 Q. 定期健診や歯垢・歯石取りは、どのくらいの間隔が良いですか?
- 5 Q. 歯磨きは食後30分くらい経ってから行う方が良い?
- 6 Q. 歯ブラシはどれが良いですか?
- 7 Q. おすすめの歯磨き粉はありますか?
- 8 Q. マウスウォッシュ(洗口液)は使った方が良いですか?
- 9 Q. 歯磨きはゴシゴシとしっかり磨く方が良いですか?
- 10 Q. 歯ブラシはどのくらいの頻度で交換するのが良いですか?
- 11 Q. 電動歯ブラシと手磨きはどちらの方が良いですか?
- 12 Q. 舌磨きはやった方が良いですか?
- 13 Q. 歯磨きは食事の前と後のどちらが良いですか?
- 14 Q. 歯磨きは何歳から始めれば良いですか?
- 15 Q. 子供が食後すぐの歯磨きを嫌がり、嘔吐してしまうこともあります。どうしたら良いですか?
- 16 Q. 歯がない場合は歯磨きをしなくて良いですか?
- 17 Q. 口内炎が痛くて、うまく歯磨きができません。良い方法はありますか?
Q. 歯磨きは1日何回すれば良いですか?また歯磨きは1回何分くらいが良いですか?
A. 歯磨きは毎食後におこなうことが理想で、1回最低3分とのデータが多いです。
しかし、歯並びや歯の本数によっても異なるため、あまり回数や時間にとらわれる必要はありません。歯垢を丁寧に取り除くことが大切です。
ちなみに、厚生労働省の歯科疾患実態調査(5年毎の調査:下記は2022年)によると、毎日2回以上の歯磨きの方が約8割となっています。
毎日の歯磨き回数(回/日) | 割合 |
---|---|
1回 | 18.2% |
2回 | 50.8% |
3回 | 28.4% |
Q. フロス(糸ようじ)や歯間ブラシは使った方が良いですか?どのくらいの頻度でやれば良いですか?
A. 歯磨きだけでは歯の間の歯垢は約60%しか取れませんが、フロスや歯間ブラシを使うと約90%の歯垢を取り除けるといわれています。歯垢を少なくすることで、虫歯や歯周病、口臭の予防につながります。
またフロスや歯間ブラシの使用回数や頻度は1日1〜3回程度が推奨されています。
近年はフロスや歯間ブラシを使用する方は増加傾向にあり、約51%(*)の方がフロスや歯間ブラシで歯と歯の間を磨いています。
*:厚生労働省による歯科疾患実態調査(5年毎)の結果(2022年)による。
Q. 歯磨きのときに血が出ます。病気でしょうか?
A. 歯茎から出血する場合には、以下の問題が疑われます。
- 歯周病(歯槽膿漏)や歯の根の病気、歯の破折などが原因で、歯茎に炎症が起きている。
- 歯磨きで歯茎が傷ついている。
早めに治療した方が良いこともあるので、担当医に早期に相談するのが良いでしょう。
Q. 定期健診や歯垢・歯石取りは、どのくらいの間隔が良いですか?
A. 歯を健康に保つためには、約3〜6ヶ月に1回程度の定期健診や歯垢・歯石取り(クリーニング)がおすすめです。(*口の状況によって、推奨される間隔は異なります。)
特に歯周病は自覚症状がないまま進行し、糖尿病・脳卒中・心臓病など全身の病気のきっかけになることもあります。定期健診と歯垢・歯石取りは、歯と全身の病気の予防と早期発見に大きな意味を持っています。
Q. 歯磨きは食後30分くらい経ってから行う方が良い?
A. 現在は多くの専門学会が、食後早めの歯磨きを推奨しています(日本歯科保存学会・日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会、日本学校歯科医会による)。
ただし、酸性の強い食べ物や飲み物を摂った後や歯が溶けている方は、
- 水やお茶で飲んだり、口をゆすいだ後に歯磨きをする。
- 「やわらかめ」の歯ブラシを使って、やさしく磨く。
などの工夫をすると良いでしょう。
*「食後30分は歯磨きを避けること」が2010年ごろに一時的に話題になり、食後すぐは口の中が酸性で、歯が傷つきやすい時間帯であるとされました。しかし、試験管の中での実験結果であり、実際のお口の中の環境と異なるとする意見が多く、また食後すぐに虫歯菌による酸で、歯は溶け始めることが明らかになっています。
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Q. 歯ブラシはどれが良いですか?
A. 歯ブラシは頭部分の大きさ、毛先の細さ・やわらかさなどいろいろな種類がございます。
例えば、歯周病のある方は毛先の細い歯ブラシの方が歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)をお掃除しやすく、また歯磨きの時に力が入り過ぎてしまう方はやわらかめの毛先の方が歯や歯茎を傷つけにくいこともあります。
患者様ごとに最適な歯ブラシは異なりますので、ご不明な点等ございましたら診察時にお気軽にご相談ください。
Q. おすすめの歯磨き粉はありますか?
A. 歯磨き粉には薬用成分を含むいろいろな種類がございますので、お口の中の状況や目的に合わせて選ぶのが良いでしょう。
例えば、虫歯や歯周病、知覚過敏、口臭などの予防に役立つ成分には次のものが挙げられます。歯磨き粉でお悩みの方は、診察時にお気軽にお問い合わせください。
目的 | 成分の例 |
---|---|
虫歯予防 |
|
歯周病予防 |
|
知覚過敏(歯がしみる) |
|
口臭防止 |
|
Q. マウスウォッシュ(洗口液)は使った方が良いですか?
A. 洗口液は殺菌成分などを含んでいるため、口の中の細菌の繁殖を防ぐ効果があります。歯磨き後に、マウスウォッシュでブクブクうがいをするなど併用するのが良いでしょう。
また災害時など歯磨き粉がない場合は水だけで歯磨きをするより、マウスウォッシュを使って歯磨きをすると歯垢除去に効果的です。
Q. 歯磨きはゴシゴシとしっかり磨く方が良いですか?
A. 歯磨きのときに力を入れ過ぎると歯が削れ、しみたり(知覚過敏)、歯茎が下がることがあります。
歯磨きの適切な圧(力加減)は約100〜200gといわれ、歯ブラシを歯に当てた時に毛先が広がらない程度です。実際に、家庭用の秤(はかり)で試してみるのも良いでしょう。
Q. 歯ブラシはどのくらいの頻度で交換するのが良いですか?
A. 毛先の開いた歯ブラシでは、歯垢除去率は6割近くまで低下してしまいます(下図参照)。歯を健康に保つためには、1ヶ月に1度くらいの頻度で、歯ブラシを交換するのがおすすめです。
歯ブラシの交換時期は、毛先が横に広がってきたころを目安としましょう。もし、2〜3週間くらいで歯ブラシの毛先が広がる場合は、力の入れ過ぎかもしれません。
Q. 電動歯ブラシと手磨きはどちらの方が良いですか?
A. 電動歯ブラシと手磨きは以下の特徴があるので、ご自分に合った方法を選ぶのが良いでしょう。また両者を部位によって、使い分けて併用するのもおすすめです。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
電動歯磨き |
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|
手磨き |
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Q. 舌磨きはやった方が良いですか?
A. 舌磨きは、舌を清潔に保つための方法です。特に舌苔(舌の表面にたまる苔)は、口臭や歯周病、誤嚥性肺炎、口腔カンジダ症(口の中のカビ)につながることがあります。
ただし、舌磨きはやりすぎると、逆効果や悪影響を及ぼすことがあるため、正しいやり方を身につけて行いましょう。
Q. 歯磨きは食事の前と後のどちらが良いですか?
A. 基本的に、歯磨きは食後に行うことが推奨されます。歯についた食べかす(糖質)や細菌(歯垢)を早めに取り除くことが虫歯予防につながります。
Q. 歯磨きは何歳から始めれば良いですか?
A. 歯が生えてきたら、始めましょう。通常、乳歯が生え始める時期は約6〜8ヶ月で、下の前歯から生えます。最初は歯ブラシを口に入れるのを嫌がることも珍しくありません。ガーゼで歯を拭うなど少しずつ慣れさせていくのが良いでしょう。
Q. 子供が食後すぐの歯磨きを嫌がり、嘔吐してしまうこともあります。どうしたら良いですか?
A. 無理に歯磨きを行うと、お子さんのお腹が圧迫される姿勢になり、嘔吐してしまうことがあります。歯磨きを嫌がる場合には、お子さんの無理のない姿勢や楽しく歌を歌いながら行ったり、口周りを拭くことから始めてみるのも良いでしょう。
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Q. 歯がない場合は歯磨きをしなくて良いですか?
A. 総入れ歯でも口の中のお掃除は必要です。
口の中には300〜700種類、1000億以上の細菌が生息し、細菌が増殖すると口内炎や口臭、誤嚥性肺炎につながります。入れ歯を外した後は口をゆすぎ、総入れ歯の場合はスポンジブラシなどで粘膜をお掃除しましょう。また部分入れ歯の場合は、残っている歯の周りも丁寧に磨きましょう。
また外した入れ歯は歯ブラシを使って流水で洗い、入れ歯洗浄剤につけて除菌しましょう。
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Q. 口内炎が痛くて、うまく歯磨きができません。良い方法はありますか?
A. 口内炎や粘膜の病気で口の中に炎症があるときは、軟らかい毛先の歯ブラシを使用したり、小さめの歯ブラシを使用して粘膜を極力刺激しないようにしましょう。
また歯磨き粉は香料の少ないものを選んだり、マウスウォッシュは刺激の少ないノンアルコールタイプにするのもおすすめです。
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(参考文献)
・「第9回デンタルヘルス・シリーズ」シンポジウムの質疑応答(日本歯科医師会)
・厚生労働省『口腔ケア学会&HDC 災害時の口腔ケア・歯科治療 平易な「Q&A」』
・「食後の歯みがきについて」(日本小児歯科学会)
・「食後30分間、ブラッシングを避けることの是非」(日本口腔衛生学会 フッ化物応用委員会)
・「食後30分歯磨きを避けること」についての見解 新ステートメント(日本歯科保存学会)