新型コロナウイルス感染症の後遺症?!
関連する口の中の病気
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の後遺症・症状は多数の論文で報告されています。ただ、後遺症・症状の仕組みは不明なものもあり、さらなる研究が求められています。
ここでは、新型コロナウイルス感染症の後遺症・症状のうち、歯科と関連するものをご紹介致します。
そもそも、コロナと口の粘膜の関係は?
ウイルスは体内に侵入するとき、細胞の表面にある鍵穴に鍵を差し込むように入り込みます。新型コロナウイルスの感染に必要な鍵穴は、口の中の粘膜(歯茎や舌)に多く存在することが明らかになっています。
口の粘膜は新型コロナウイルスの侵入経路として、重要な役割を果たす可能性が指摘されています。
歯周病
新型コロナウイルスの感染者は、以下のような歯茎の健康の悪化が報告されています。
- 歯茎の出血、痛み
- 歯の揺れ
- 特殊な歯周病(歯茎が壊死する)
歯茎の悪化は、新型コロナウイルスの感染による免疫の暴走(サイトカインストーム)、体力の低下などの原因が考えられています。
(詳細記事)
歯周病菌によるコロナの重症度
歯周病は新型コロナウイルス感染症の症状を悪化させる結果が報告されています。
新型コロナウイルス感染症 | 健常者との比較 |
---|---|
症状の重症化 | 約3.67倍増加 |
死亡率 | 約8.81倍増加 |
コロナ症状の重症化は、歯周病菌の誤嚥が気道の炎症を誘発する|歯周病の炎症が全身の炎症を悪化させることが原因と考えられています。
口が乾く(ドライマウス)
新型コロナウイルス感染症の後遺症には、口が乾く(ドライマウス)などの症状が報告されています。原因には服用薬の影響、免疫力の低下、唾液腺の異常、食欲の低下による噛む回数の減少などが考えられています。
(詳細記事)
味覚障害
味覚障害は、新型コロナウイルス感染症の代表的な後遺症として知られています。厚生労働省の報告によると、新型コロナウイルスの感染者の約41%に味覚障害があったことが報告されています。
*新型コロナウイルス感染後の味覚障害の約84%は1ヶ月後に改善することが報告されています。
*別の研究では、新型コロナウイルス感染後2ヶ月以上続く味覚障害は2〜20%と報告されています。
まとめ
新型コロナウイルス感染症の症状や後遺症は未解明のものもありますが、多種多様な症状が報告されています。
当院では歯や口の健康に関するご相談を承っております。また後遺症外来のある大学病院へ紹介することも可能ですので、お気軽にご相談ください。
☞聖マリアンナ医科大学病院 新型コロナウイルス感染症後外来 (田園都市線あざみ野駅からバスで30分、小田急線新百合ヶ丘駅からバスで30分)
(当院アクセス)
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(参考文献)
【味覚障害】
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「Marouf N, Cai W, Said KN, Daas H, Diab H, Chinta VR, Hssain AA, Nicolau B, Sanz M, Tamimi F: Association between periodontitis and severity of COVID-19 infec- tion: A case-control study. 」J Clin Periodontol, 48: 483- 491, 2021.
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「Gomes SC, Fachin S, da Fonseca JG, Angst PDM, Lam- ers ML, da Silva ISB, Nunes LN: Dental biofilm of symptomatic COVID-19 patients harbours SARS-CoV- 2. 」J Clin Periodontol, 48: 880-885, 2021.
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【ドライマウス】
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イタリア(Boscolo-Rizzo P, et al. July, 2020)やフランス (Carfi A, et al. July, 2020) か らの報告