抗がん剤や放射線治療による口内炎
抗がん剤や放射線治療の副作用でできる口内炎は、通常の口内炎と比べて、範囲が広く、痛みも強く、「食べる・飲む・話す」などの生活に大きな影響を与えます。
症状
抗がん剤使用中は高確率で口内炎を発症します。抗がん剤による口内炎は強い痛みを伴うことが多く、時間とともに症状が変化します。
- 抗がん剤投与後3〜4日くらいから、口の中の粘膜が赤く炎症を起こします。
- 投与後約1〜2週間後に症状が最も強く現れ、口内炎の激しい痛みで、口を動かすことや食事を摂るのが辛くなることも珍しくありません。
- 投与が終わって約1ヶ月ぐらい経過すると、口内の粘膜が再生し回復します。
- 抗がん剤は間隔を空けながら、繰り返し投与することが多いため、投与ごとに口内炎が発症する傾向にあります。
仕組み
抗がん剤や放射線治療中は粘膜や免疫に関わる細胞が障害を受けるため、口内炎が発生しやすくなります。
- 粘膜の細胞の損傷
- がん患者の体の免疫力低下
発生頻度
治療内容 | 口内炎の発生頻度 |
---|---|
抗がん剤(化学療法) |
|
頭頸部の放射線治療 | ほぼ100% |
予防法と治療
口の中を清潔に
口内炎は以下の原因があると、炎症が悪化することがあります。
- 口の中が汚れている。
- 治療していない虫歯や歯周病がある。
- 口が乾燥している。
- 合っていない入れ歯や詰め物、被せ物
- 鋭く尖った歯
- 栄養不足
- タバコ
がん治療の前は口の中の細菌を防ぐために、歯のクリーニングや虫歯、歯周病の治療をして口内炎を予防するのが大切です。
またがん治療中も治療前同様、口腔ケアや歯のクリーニングをこまめに受け、口内炎の重症化や感染を防ぐ必要があります。
(*)日本頭頸部癌学会編 頭頸部癌診療ガイドライン、口腔腫瘍学会編 科学的根拠に基づく口腔癌診療ガイドライン、国際がんサポーティブケア学会/国際口腔腫瘍学会ガイドライン、欧州臨床腫瘍学会ガイドラインなど。
お薬
口腔粘膜保護材(エピシル口腔用液)
2018年5月より発売された保険適用のお薬です。液を口の中に入れると、数分以内にゲル状になって、口内の粘膜をバリアして口内炎の痛みを和らげます。
うがい薬
殺菌作用や炎症を抑える作用のあるうがい薬で、口の中の細菌の繁殖や粘膜の炎症を抑えます。水道水でもしみる場合には、生理食塩水を使うと、しみる痛みが少なくなります。
軟膏
炎症を抑える軟膏を口内炎に塗布します。ただし、傷の感染や口腔カンジダ症の疑いがある場合には使用を避けましょう。
また口が乾くと口内炎が悪化するため、口の中に塗る保湿剤を使うこともあります。
飲み薬
口内炎の炎症や痛みを抑えたり、感染予防のために痛み止めや抗生剤、ビタミン剤、漢方薬などの飲み薬を使われることもあります。
まとめ
がん治療中は口内炎がとてもできやすい状況で、通常の口内炎と比べて、痛みも強く、多発することもあります。口内炎がひどくなると食事が十分に摂れず、低栄養からさらに免疫力や体力が低下につながってしまいます。
口内炎を予防するには、がん治療前や治療中は口内を清潔にすることが極めて重要です。
当院では管理栄養士や大学病院口腔外科出身の歯科医師が在籍しております。がん治療前や治療中の患者様の口内あるいは歯のご相談を承っております。ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
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