目次
頭痛と歯痛、顎の痛み
頭痛は日本人の約40%が抱えるといわれ、多くの人が経験したことのあるでしょう。
一方で、頭痛には約300以上の種類(国際頭痛学会による頭痛分類による)があり、原因や症状は多岐にわたります。
ここでは、頭痛の種類、頭痛と歯痛の関連などについて、解説致します。
*当院「大倉山駅前港北歯科クリニック」では、薬剤師免許取得の歯科医師(大学病院出身)が在籍しております。持病やお薬を服用中の方の歯のご相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。
頭痛と歯の関係
口や歯、顎(こめかみ)の感覚を伝える神経は頭や顔面の神経とつながっているため、歯痛や顎の痛みと頭痛を一緒に感じることがあります。
頭痛の種類・分類
頭痛は「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に大きく分けられます。頭痛による痛みが歯に広がる場合や歯・顎の痛みが頭痛につながる場合があります。
一次性頭痛とは
一次性頭痛とは片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛など頭痛そのものが病気の本体であり、“習慣的に繰り返される頭痛”などいわゆる“頭痛持ちの人の頭痛”です。
慢性頭痛の多くは「一次性頭痛」で、国内で約4000万人が該当するといわれています。
一次性頭痛は顎関節症を併発していることも多く、歯や顎の痛みを感じることも珍しくありません。
二次性頭痛とは
歯周病や顎関節症、三叉神経痛、脳の異常(脳出血や脳梗塞、髄膜炎)などの別の病気が原因となり、二次的に起きる頭痛を指します。
特に“突然”で“今までに経験したことのない”場合は二次性頭痛が疑われます。
一次性頭痛の種類
緊張型頭痛
一次性頭痛の中で、最も多い頭痛です。緊張型頭痛は約8割の人が一生のうちに経験するともいわれ、年間の国内患者の割合は22%と報告されています。
多くの場合は「稀発反復性緊張型頭痛」と呼ばれるもので、片頭痛(下記参照)と比べ、頭痛の程度や頻度は少なく、頭痛以外に悪心や嘔吐を伴うことはほとんどありません(※)。
(※)一部該当しない種類として、「頻発反復性緊張型頭痛」やさらに重症化した「慢性緊張型頭痛」がございます。
片頭痛
片頭痛は日常生活に支障をきたす頭痛の発作に加えて、悪心や嘔吐、光過敏(通常の光がまぶしい)、音過敏(通常の音がうるさい)、運動過敏(動けない)などの症状がみられる病気です。
また片頭痛は顎関節症を合併していることも少なくありません。
片頭痛の患者の割合は日本人全体の8.4%で、20歳代〜40歳代の女性の方が多いといわれています。
症状
- 頭痛が4〜72時間くらい続く。
- 頭痛があるとき、悪心・嘔吐、通常の音・光がつらい。
- 日常動作(歩行、階段の上り下りなど)で頭痛が悪化する。
三叉神経・自立神経性頭痛(TACs)
三叉神経・自律神経性頭痛のうち、代表的なものに「群発頭痛」が挙げられます。
群発頭痛
群発頭痛は片側の頭痛や目の痛みを伴う発作(1日〜2日に数回、1回あたり15〜180分持続)がみられます。その他、眼の充血やまぶたの腫れ、鼻詰まり、歯や顎の痛みが出ることもあります。
群発頭痛の患者の割合は約0.1%とされ、20〜40歳代の男性に多いといわれています。
二次性頭痛の種類
原因(隠れた病気)
二次性頭痛では頭痛を引き起こす原因の病気には次のものがあります。
- 歯や口、顎など頭部・顔面・頸部の組織の障害による頭痛(例:歯周病、顎関節症、親知らずの腫れ、虫歯など)
- 頭頸部外傷、傷害による頭痛(例:くも膜下出血)
- 頭頸部血管障害による頭痛(例:脳梗塞)
- 血管障害でない頭部の病気による頭痛(例:脳腫瘍)
- 感染症によるもの(例:髄膜炎)
- 精神疾患による頭痛
薬剤の使用過多による頭痛
「薬剤の使用過多による頭痛(MOH:medication-overuse headache、薬物乱用頭痛)」は、一次性頭痛いわゆる“頭痛持ち”の人が頭痛薬(痛み止め)を3ヶ月を超えて定期的に使用しているうちに、1ヶ月に15日以上頭痛が生じる状態です。
人口の約1〜2%がMOHに該当するといわれ、40〜50歳代に多く、約7〜8割が女性という特徴があります。
緊急性の高い頭痛
- 手足などの感覚が鈍い、しびれがある、物忘れがある、うまくしゃべれない、めまいがする。
- 突然起こる頭痛
- 発熱などを伴う頭痛
- 咳、運動などにより悪化する頭痛
(関連記事)