虫歯の原因になる食べ物、飲み物

虫歯のなりやすさは、「何」を「どんな食べ方(いつ?何回?)」をするかが大きく関係します。また虫歯の原因となる糖質は甘いお菓子やジュースだけではなく、多くの食品に含まれています。

ここでは、虫歯の原因になる食べ物、飲み物を具体的にご紹介します。糖質の種類や摂取頻度を工夫して、虫歯の予防に役立ててみましょう。

虫歯になりやすい

虫歯になりやすい食べ物の特徴

虫歯の発生には、食べ物や飲み物に含まれる「糖質」や「酸」の種類、「歯へのくっつきやすさ」などが関係します。

糖質

私たちが普段食べている「糖質(砂糖やブドウ糖、果糖など)」は虫歯菌のエサになり、発酵されて酸になり、歯を溶かし、虫歯を発生させます。

FDI(世界歯科連盟)やWHO(世界保健機関)は特にブドウ糖や果糖、ショ糖などの“遊離糖類(フリーシュガー)”の摂り過ぎに注意を促しています。

「“遊離糖類”は果汁100%ジュースやはちみつなどの加工された状態の糖や、お菓子やケーキなどの食品、スポーツドリンク、乳酸飲料などの飲み物に添加される糖などが該当し、母乳や牛乳の中に自然に含まれる糖は該当しない」とされています。

糖質

虫歯になる・ならない糖質

必ずしも、「甘い」=「虫歯の原因」になるわけではありません。虫歯にならない(なりにくい)甘味料を知って、うまく利用することも虫歯予防につながります。

虫歯になる?ならない? 糖の種類
虫歯になる可能性あり
  • 砂糖(ショ糖)
  • 水飴(麦芽糖、麦芽糖水飴)
  • ブドウ糖、果糖、乳糖
  • 異性化糖
  • 転化糖
  • カップリングシュガー
  • フラクオリゴ糖
虫歯になりにくい
  • パラチノース
  • トレハロース
  • トレハルロース
  • ラクツロース
虫歯にならない
  • キシリトール
  • ソルビトール
  • マンニトール
  • マルチトール
  • エリスリトール
  • ラクチトール
  • 還元水飴
  • 還元パラチノース
  • ステビア(ステビオサイド)
  • 甘草(グリチルリチン)
  • スクラロース
  • アスパルテーム
  • アセスルファムカリウム
  • サッカリン

砂糖の摂取量について

虫歯や肥満の予防のために

WHO(世界保健機関)では虫歯や肥満の予防のために、1日あたりの糖類の摂取量を総カロリーの10%未満を推奨し、5%未満であればさらに望ましいとして、成人の場合には25g/日までとされています。

虫歯の危険性が高まるのはどのくらいの量?

また過去の研究結果では1年間の砂糖の摂取量が15kg(1日あたり約41g)を超えると虫歯の危険性が急激に増加し、15kg未満だと虫歯の危険性(リスク)を抑えられると報告されています。

飲み物の種類 糖分
炭酸ジュース 約50g(500mL中)
スポーツドリンク 約31g(500mL中)
缶コーヒー 約20g(250mL中)
天然果汁 約17g(170mL中)
乳酸菌飲料 約11g(70mL中)
トマトジュース 約7.6g(190mL中)
烏龍茶 0g

砂糖摂取量と虫歯のなりやすさ

砂糖の摂取頻度と虫歯

虫歯のなりやすさのもう一つのカギが「砂糖の摂取頻度」です。間食の回数と虫歯の発生を調べた研究(下図)によると、1日3回以上の間食は虫歯の発生リスクを急増させると報告されています。

間食回数と虫歯の発生の関係を示すグラフ画像

(関連記事)

糖類ゼロやノンシュガーについて

虫歯とスポーツドリンク

酸は歯を溶かして、虫歯を加速させます。酸にはいろいろな種類があり、歯を溶かす程度も異なります。

リン酸>クエン酸>乳酸>酢酸>炭酸

特にリン酸やクエン酸は歯を溶かす程度が強く、リン酸は一部の炭酸ジュースに、クエン酸はジュース(主に炭酸系、柑橘系など)やスポーツドリンク、梅干し、アメなどに含まれます。

飲み物と酸性度

*歯(エナメル質)はpH5.5以下になると溶けます。また歯の根っこ部分や露出した象牙質は特に弱く、pH6.3以下で溶けるといわれています。

種類 pH(酸性の程度:低値ほど強酸)
炭酸ジュース 約2〜3
天然果汁飲料 約3
黒酢 約3
スポーツドリンク 約3
乳酸飲料 約3
トマトジュース 約4
炭酸水 約5
緑茶、烏龍茶 約7

歯にくっつきやすいもの

虫歯になりやすい食べ物は、

  • 粘着性があり、歯にくっつきやすい。
  • 糖分を多く含む。

などの特徴があります。

虫歯になりやすい食べ物

虫歯にならないために

おやつ(間食)などお菓子やジュースが必ずしも悪いわけではありません。例えば、おやつはこども(小児)の場合に栄養補充の役割があります。

また「甘いもの」全てが虫歯の原因になるわけではありません。虫歯にならない甘味料に注目しながら、食べ物を選ぶのも良いでしょう。

間食をするときの工夫

  • おやつ(間食)の回数や時間帯を決めます。(理想は1日1〜2回程度)
  • だらだら食べないようにします。
  • 寝る前のおやつは控えましょう。
  • おやつの組み合わせを考えましょう。(例えば、甘い食べ物の場合、飲み物は水やお茶などにする)
  • 糖分の少ないもの、歯にくっつきにくいものを選びましょう。
  • 酸味の強いものを習慣的に摂りすぎないようにしましょう。
  • 虫歯にならない糖質(キシリトールなど)を利用しましょう。
  • おやつから摂る砂糖の量は1日15〜20g以下にしましょう。

(関連記事)

虫歯の原因にならない甘味料


(参考文献)

・「歯科衛生士のう蝕予防管理テキストブック」日本歯科保存学会認定歯科衛生士審査委員会編

・「う蝕になりにくいおやつの基準と上手な選びかた.歯科衛生士.20巻12号 松久保隆先生

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