歯磨き粉と研磨剤
研磨剤(清掃剤)は歯磨き粉の全成分の約10〜60%を占め、汚れをとる重要な役割を果たしています。
研磨剤の役割とは?
『研磨剤(清掃剤)』の主な役割は“汚れをとる”ことです。
歯についた汚れや色素をとるには『研磨剤(清掃剤)』のほか、汚れを浮かせる働きのある『薬用成分』や『清掃補助剤』などが関係しています。
歯磨き粉なしの歯磨きは?!
水だけでの歯磨きでは歯垢が約30%しか取れないのに対し、研磨剤(清掃剤)配合の歯磨きを使った歯磨きでは約2倍の64%の歯垢が除去できたという論文報告があり、口の中を清潔に保つのにとても重要な効果を果たしているのがわかります。
主な研磨剤(清掃剤)
表記される成分
歯磨き粉に含まれる『研磨剤』は『清掃剤』と表記されることも多く、主な研磨剤には無水ケイ酸(シリカ)、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどがあります。
各研磨剤の特徴
研磨剤の種類によっては他の成分との相性の面から、配合できる成分(有効成分)が制限されるものもあります。
無水ケイ酸(シリカ)
フッ素やその他の薬効成分との相性が良いことが最大の特徴(利点)で、近年の歯磨き粉によく配合されています。また透明性が高いのも特徴です。
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リン酸水素カルシウム
無味無臭でほぼ中性(pH)であり、『香味剤』や『薬効成分』との相性が良いという特徴があります。
一方で、カルシウムを含むため、配合できるフッ素の種類が限られる場合があります。
炭酸カルシウム
安価という利点がある一方で、欠点として味が悪いことやアルカリ性のため、他の成分(『香味剤』や『薬効成分』等)との相性が良くない場合があります。
水酸化アルミニウム
無味無臭で弱アルカリ性の成分です。昭和50年代以降に使用されるようになり、硬さは上記の「リン酸水素カルシウム」と「炭酸カルシウム」の中間程度です。
ゼオライト
フッ素との相性を向上させる役割があり、他の成分との調整役として配合される場合が多い成分です。
また薬用成分でもあり、口臭を防ぐ/歯石をつきにくくする働きも報告されています。
研磨剤が満たす条件
歯磨き粉に配合される研磨剤の成分は次の条件をほぼ満たしています。
- 安全であること
- 歯を傷つけないやわらかさと適度な大きさ
- 無味、無臭で白色が望ましい
- 中性に近いものが望ましい
- 水に溶けにくい性質である
- 一緒に配合されている薬効成分に悪い影響を与えない
- 入手しやすく、安価である
研磨剤で歯は削れる?
国際基準
歯磨き粉の安全性についての国際規格(IS)を、国際標準化機構(ISO)が1995年に設定しました。
研磨剤が歯(象牙質)を傷つけないかどうかという評価基準が「RDA(放射性象牙質磨耗検査)」と呼ばれるもので、RDA値が250以下にすることとされています。
研磨剤は歯を傷つける?
現在、国内で販売されている歯磨き粉はRDA250以下の基準を満たしているため、適切な歯磨きで歯を傷つけるような問題はないといわれています。
研磨剤の種類による違いは?
適切な歯磨きの場合、研磨剤の種類による歯の安全性(削れ具合)の差はないと報告されています。
歯磨きと歯のすり減り(磨耗)
歯磨きのうち、歯のすり減りと深い関係があるのは歯ブラシの種類と歯磨きの力加減といわれています。
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