妊娠性エプーリス
妊娠性エプーリスとは、妊娠中によくみられる歯肉の良性の「できもの」で、歯肉の一部が盛り上がるような形になります。
原因
妊娠性エプーリスの原因には、以下の問題が挙げられます。
- 女性ホルモンの増加
- つわりなどで歯磨きが十分にできないことによる口の中の汚れ(歯石など)
- 鋭くなった歯やつめもの、かぶせもの
時期
妊娠2〜3ヶ月ごろから発生し、出産後2〜3ヶ月前後で消えることが多いといわれています。妊婦さんの約1〜5%に発生すると報告されています。
症状
多くの場合には無症状ですが、出血や痛みを伴ったり、部位や大きさによっては食事や会話などがしにくくなることがあります。
できやすい場所
上の前歯の歯肉によくみられます。
大きさ
ほとんどの場合は2cm前後の大きさといわれています。
治療
口を清潔に
出産後に縮小・消失することが多いため、一般的には急いで切除せず、歯科医院で歯のクリーニング(PMTC)をして、炎症の原因になる菌の増殖を防いでいくと良いでしょう。
鋭く尖った歯やつめもの、かぶせものの調整など
合っていないつめもの、かぶせもの、尖った歯が歯肉を刺激している場合には調整をすることも有効です。
(関連記事)
(参考文献)
・「エプーリスの病理学的検討 第2報 妊娠性エプーリス」 戸塚盛雄先生ら
・「いわゆる妊娠性エプーリス(妊娠腫)の1例」川崎医科大学 口腔外科教室 福田道男先生ら
・Baskar, S.N. : Synopsis of Oral Pathology.6th ed. , Mosby Co, St Louis,1981,p485- 532.
・Shafer, W.G.,Hine, M.K.,etal.:ATextbook of Oral Pathology. 4 th ed, WBS aunders Co, Philadelphia, 1983, p359-361.
・石川梧朗監修: 口腔病理学II. 改訂版, 永末書店, 京 都, 1982, 178-18) , 485-532頁.