歯や骨の原料となる!
カルシウムについて
カルシウムは歯や骨をつくる重要な栄養素であり、約99%は歯や骨、残り1%は神経や筋肉、血液中に存在します。一方で、カルシウムの成人の吸収率は約20〜30%と低く、不足しがちな栄養素です。
現在の高齢化が進む国内では骨粗鬆症の患者数は約1300万人を超え、増加傾向にあり、カルシウム摂取は特に重要な課題です。
ここでは、歯や歯を支える骨などに深く関わる栄養素「カルシウム」について、わかりやすく解説致します。
目次
働き
カルシウムは歯や骨の原料となる他、筋肉の収縮や神経の興奮制御、止血などの働きをしています。
不足しがちなカルシウム摂取
カルシウムの摂取状況は、厚生労働省の定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で推奨される量と比べ、約20%以上不足しています。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
1日あたりの推奨量 | 700〜800mg | 650mg |
実際の摂取量 | 510mg/日 | 508mg/日 |
食文化や土壌
日本人のカルシウム不足の理由には、
- 乳製品の摂取量が欧米と比べ少ないという食文化
- 日本国土の土壌や飲料水に含まれるカルシウムの濃度が少ない
などの影響が考えられています。
カルシウムが不足するとどうなる?
歯周病のリスク増加
骨粗鬆症では脚・腰の骨だけではなく、顎の骨や歯を支える骨にも同様に骨密度の低下がみられます。特に骨粗鬆症の方は、骨粗鬆症でない方と比べ、歯周病の進行が約2倍大きいことが報告されております。
またカルシウムの摂取量が推奨量を満たしている方と比べ、不足している方は歯周病リスクが約1.6倍増加することも報告されています。
カルシウムを豊富に含む食品
カルシウムは牛乳や乳製品などから手軽に摂取することができます。その他、カルシウムは納豆や油揚げなどの大豆製品、煮干しなどの魚類、モロヘイヤなどの野菜類にも含まれています。
カルシウムの吸収率は食品によって違う!
カルシウムの吸収率は食品によって異なることが明らかになっています。
カルシウムの平均吸収率は牛乳が約50%、小魚が約30%、野菜が約17%で、
牛乳>小魚>野菜の順で吸収率が良いといわれています。
(参考文献)
「成人に於ける各種食品中のカルシウ ム利用並にカルシウム所要量に関する研究.栄養と食糧6,135-47.」兼松重幸(1953)、「日本人若年成人女性における牛乳,小 魚(ワ カサギ,イ ワシ),野菜(コ マツナ,モ ロヘイヤ,オ カヒジキ)の カル シウム吸収率」上西一弘 日本栄養・食糧学会誌 Vol. 51 No. 5 259•266 1998
カルシウムを摂るときの工夫
ビタミンDと一緒に摂ろう
ビタミンDはカルシウムの吸収率を促進するため、ぜひ一緒に摂取したい栄養素です。ビタミンDはさけやさんま、マグロなどの魚類、きくらげなどのキノコ類などに含まれます。
カルシウムの吸収を妨げるもの
加工食品や塩分の摂り過ぎに注意
リンや塩分はカルシウムの吸収を妨げることが知られています。
リンや塩分は食品添加物(リン酸塩など)として加工食品やインスタント食品、スナック菓子などに含まれるため、摂り過ぎには注意が必要です。
例)ハム、ソーセージ、魚肉練り製品、カップラーメン、漬物、清涼飲料水など
お酒(アルコール)
お酒(アルコール)は過剰に摂取すると、カルシウムの吸収を妨げたり、尿からカルシウムが排出されやすくなります。
過度な飲酒はご注意ください。
食物繊維、豆類
植物性食品に含まれる食物繊維、フィチン酸(特に豆類、穀類)はカルシウムの吸収を妨げます。通常の生活ではまず問題ありませんが、食物繊維やフィチン酸を過剰摂取には注意が必要です。
まとめ
カルシウムは歯や骨を作る主成分であり、大変重要な栄養です。一方で吸収率が低く、不足しがちな栄養素であり、ビタミンDと一緒に摂る・吸収率の良い食品を摂るなどの工夫も必要です。
当院では予防や治療だけでなく、栄養指導も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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