入れ歯洗浄剤の種類
入れ歯の洗浄剤は「どれを選べば良いかわからない」という方も多いのではないでしょうか。入れ歯の材質に合った洗浄剤を選ぶことで、入れ歯をより良い状態に保ちやすくなります。
ここでは、入れ歯洗浄剤の成分と特徴などについて、解説致します。
入れ歯洗浄剤は不要?!
入れ歯には虫歯や歯周病、口臭、カビ(カンジダ菌)、肺炎や心臓病などの原因となる多くの細菌が生息することが報告されています。
入れ歯を清潔に保つことは大切で、虫歯や歯周病、口臭、口腔カンジダ症、誤嚥性肺炎、心内膜炎などの予防にもつながります。
成分別
入れ歯洗浄剤の分類
入れ歯洗浄剤は成分別に、
- 過酸化物系
- 次亜塩素酸系
- 酵素系
- 生薬系
- 銀系無機抗菌剤
- 界面活性剤系
- 酸系
- 二酸化チタン系
- 固定化抗菌剤
などに分類されています。
市販の洗浄剤では過酸化物系、次亜塩素酸系(=アルカリ系)、酵素系が多く流通しています。一方で酸系や二酸化チタン系、固定抗菌剤は専門の歯科医院での取り扱いとなっています。
☟下の表は、横に移動(スクロール)できます。
種類 | 特徴 | 留意点 |
---|---|---|
過酸化物系 |
|
内面にクッション加工がある入れ歯には向かない場合がある。 |
次亜塩素酸系 |
|
金属部分が変色する可能性がある。 |
酵素系 | 入れ歯の素材に影響を与えにくい。 | 除菌効果が他種と比べ、劣る傾向にある。 |
効果別
入れ歯洗浄剤の分類
期待する効果 | 有効成分 |
---|---|
除菌 | 界面活性剤系、銀系無機抗菌剤、二酸化チタン系、過酸化物系、酸系 |
歯石の除去 | 酸系(*歯科医院専用の洗浄剤) |
色素汚れの除去 | 次亜塩素酸系(=アルカリ性) |
消臭 | 過酸化物系、過酸化物+酵素系、生薬系 |
入れ歯の材質別
入れ歯洗浄剤の分類
入れ歯の素材 | 選びたい洗浄剤 |
---|---|
金属を含む入れ歯 |
|
目立たない入れ歯 | “強アルカリ性”タイプは避け、“中性”のタイプの洗浄剤がおすすめです。 |
シリコン製の入れ歯 |
|
入れ歯洗浄剤の液性(酸性/中性/アルカリ性)
入れ歯洗浄剤は有効成分以外に、液性(中性、酸性、アルカリ性)によっても分類されます。
まとめ
入れ歯洗浄剤の“おすすめ”は入れ歯の材質や汚れの状況によって異なります。上手に入れ歯洗浄剤を活用することで、入れ歯を清潔かつ長持ちさせることができます。
また入れ歯を正しく洗浄すると、虫歯や歯周病、口臭、口腔カンジダ症のリスクを減らすことにもつながります。
入れ歯や材質、洗浄方法についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
(関連記事)
(出典)
・「義歯管理に関する臨床的エビデンス」日本歯科医師会 Vol.66 No.8 2013-11
・「義歯洗浄剤 何を使ったら良いでしょうか?」日本補綴学会誌 10 : 40-45, 2018
・「義歯清掃の基本-義歯洗浄剤-」、「義歯清掃の基本-義歯用歯ブラシ、義歯用歯磨き材-」
・「熱可塑性樹脂を用いた部分床義歯(ノンメタルクラスプデンチャー)の臨床応用」日本補綴学会誌 5 : 387-408, 2013
・「義歯洗浄剤」THE JOURNAL OF DENTAL ENGINEERING No.114 Summer