梅毒性舌炎
梅毒性舌炎は、性感染症として知られる梅毒によって引き起こされる舌の炎症で、「口腔潜在的悪性疾患」(がん化するかもしれない口の中の病気)の一つに挙げられています。
梅毒の感染者数は2010年以降増加傾向にあり、背景には性行動の多様化、オーラルセックスの一般化などがあると考えられています。全国の感染者数は2021年現在、7873人(国立感染症研究所による発表)といわれています。
原因
梅毒トレポネーマという細菌に感染することで発症します。多くの場合、性交渉によって感染(「後天性梅毒」)するため、性感染症として知られています。
また妊娠中の女性が梅毒に感染した場合には、胎盤を通じて胎児に感染する場合もあります(「先天性梅毒」)。さらに、他の性感染症にかかっている方は梅毒にかかりやすいとされています。
年齢、性別
男性は20〜40歳代で最も多く、同性間性的接触が多いという特徴があります。
一方で、女性では20歳代に多く、異性間性的接触によるものが多い傾向にあります。
症状
梅毒は感染してからの期間によって、第1〜4期に分類されますが、梅毒性舌炎は晩期梅毒(第3期)でみられる舌の異常です。
正常な舌の表面に存在する細かなブツブツとした突起(舌乳頭)がなくなり、舌の表面全体が平らになり、白い斑点が広範囲に発生します。
治療
梅毒の治療では、一般的にペニシリン系という種類の抗菌薬(飲み薬)が使用されます。ペニシリンアレルギーがある方はテトラサイクリン系という種類が適用され、妊娠中の場合はマクロライド系という種類が選択されます。
梅毒性舌炎の場合、感染してから期間が比較的長い(第3期)ため、服用期間も長く、約8〜12週間といわれています。
まとめ
梅毒は性交渉で感染することがほとんどです。梅毒感染を予防するには、コンドームの使用の徹底や不特定多数との性交渉を控えることが重要です。
当院では大学病院口腔外科出身の歯科医師が在籍しております。ご不明な点等ございましたら、お気軽にご相談ください。
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