歯の付け根(根元)が黒い、しみる
歯の根元の虫歯
気づいたら「歯の付け根(根元)が黒い」、「最近、歯がしみる」ことはありますか?大人になると歯茎が下がり、「歯の付け根の虫歯」ができることがあります。歯の付け根、根元にできる虫歯は進行しやすいことが特徴です。
ここでは、大人の虫歯「歯の付け根の虫歯」について解説していきます。
目次
「歯の付け根(根元)の虫歯」とは
歯の付け根や根元の虫歯は、歯茎が下がって露出した根っこ部分に発生します。一般的には、成人(特に30歳代以降)でみられます。
「歯の付け根の虫歯」は、専門的に「根面齲蝕(こんめんうしょく)」と呼ばれています。
「歯の付け根の虫歯」の特徴
- 歯茎が下がり始める40歳代から急増する。
- 特に歯周病の人がなりやすい。
- 歯の根は弱く、虫歯が進行しやすい。
約9割が歯周病も併発
「歯の付け根の虫歯」の約9割の方は、歯周病も併発しています。歯周病で歯茎が下がると、歯の根っこが露出して虫歯の危険性が高まります。
(参考文献)
「根面う蝕重症度と歯周病重症度の関連性調査研究. 日本歯科保存学会 2017年度秋季学術大会(第147回)」小峰陽比古先生ら
進行しやすい虫歯
露出した歯の根は以下の特徴があり、虫歯が進行しやすいことが明らかになっています。
- 歯の根は軟らかく、とても弱い
- 歯の付け根は、磨き残しが起きやすい
「歯の付け根の虫歯」になりやすい年代
「歯の付け根の虫歯」は全体の約49.3%に見られ、年齢とともに増加する傾向があります。30歳代より始まり、40歳代で急増し、60歳以降の約半数に「根面う蝕(歯の付け根の虫歯)」がみられます。
- Code1:歯の付け根が黒色で表面が硬く、穴の深さが0.5mm以下のもの。
- Code2:歯の付け根に黄色〜茶色で、穴の深さが0.5mm以上のもの。
進行性が速い・遅い種類の虫歯?
虫歯には進行が速い「活動性(進行性)」と進行が遅い「非活動性(非進行性)」の2種類があります。
虫歯の種類 | 特徴 |
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進行が速いタイプ(活動性、進行性) |
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進行が遅いタイプ(非活動性、非進行性) |
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「歯の付け根の虫歯」になりやすい人
- 歯周病で歯茎が下がっている方
- 口が乾く方(ドライマウス)
- 認知症の方
- 要支援・要介護高齢者
- 手が不自由な方
「歯の付け根の虫歯」の予防方法、治療方法
- 歯茎が下がるのを防ぐ(歯周病の予防)
- 定期健診とクリーニング
- 「フッ素配合歯磨き粉」+「フッ素洗口液」の併用
- 「フッ素塗布」を定期的に行う
- 唾液の分泌を促す
削らない治療方法「フッ素塗布」
穴が小さい「歯の付け根の虫歯」の場合、削らない治療方法が適用になる場合があります。
フッ素塗布の効果
フッ素塗布は、歯科医院専用のフッ素のお薬を歯の付け根に塗布する治療方法です。「歯の付け根の虫歯」の予防効果は約70%、進行性の虫歯を非進行性にする効果は約8〜9割と報告されています。
「フッ素配合歯磨き粉」と「フッ素洗口(うがい)」の併用
「フッ素入りの歯磨き粉」に加えて「フッ素洗口(うがい)」を行うと、「歯の付け根の虫歯」の進行を大きく抑制する効果があります。
虫歯の進行性を抑制する方法「フッ化ジアンミン銀」
フッ素のお薬(「フッ化ジアンミン銀」)を歯に塗って、虫歯の進行を抑える方法です。一方で、薬を塗った部分が黒くなるため、比較的目立たない奥歯に使われることが多いです。
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内容 | |
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長所 |
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短所 |
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歯の付け根が黒い
〜虫歯以外の原因〜
- 着色汚れ
- 歯の神経が死んでいる(壊死)
- 黒い歯石
歯の着色汚れ(ステイン)
食べ物や飲み物、タバコのヤニなどが原因で、歯が黒くなることがあります。
着色汚れは歯磨きで落としにくく、力まかせに歯ブラシでこすると歯茎を痛めることもあるため、注意が必要です。
歯の神経が死んでいる(壊死)
歯を強くぶつけた場合、歯の神経が壊死してしまうことがあります。神経が壊死した歯は黒くなり、放置すると歯の中に膿がたまり、歯茎が腫れたり、出血しやすくなります。
歯の神経が壊死が疑われる場合には、まず歯髄(歯の神経)の検査を行い、判別をします。
黒い歯石
歯周病が進行すると、歯の根元に黒い歯石がつくことがあります。歯石は歯周病を悪化させる一因になるため、早めに取り除くことが必要です。
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まとめ
大人の虫歯ともいえる「歯の付け根の虫歯」は進行しやすいため、要注意です。特に30代以降は歯茎が下がり始め、歯の根が虫歯になりやすいため、定期健診やクリーニングして予防するのがおすすめです。
「歯茎が下がった?!」、「歯が黒い」など気になる点、その他ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。