妊娠中の歯科治療 Q&A

妊娠中の歯科治療について

Q. 妊娠中に歯科治療を受けることはできますか?

A. はい、可能です。当院ではご相談しながら、歯科治療を検討することができます。

虫歯や歯周病を放置すると悪化し、母体や赤ちゃんへの負担を与えることがあります。

虫歯を放置するとどうなる?

歯周病を放置するとどうなる?

Q. まず相談だけも良いですか?

A. はい、もちろん構いません。

治療の内容、時期を含め、ご不明な点やご要望等ございましたらお気軽にご相談ください。

Q. 治療中に気分が悪くなったら中断できますか?

A. ほとんどの場合、治療の中断可能です。

「治療中に気分が悪くなったらどうしよう」などの不安もあるかもしれませんが、体調や気分にあわせて無理のない範囲で治療を進めることを推奨しています。

治療時の妊婦さんの姿勢

Q. 妊娠中にレントゲンを撮ると胎児への影響はありますか?

A. 通常のレントゲン撮影では問題になりません。

歯科のレントゲンは放射線量が極めて少なく、レントゲン撮影部位も腹部と離れており、さらに体に防護エプロンをつけるため、影響は無視できる程度と考えられています。

*当院では無理にレントゲン撮影を勧めることはありません。

  • 日本産婦人科学会の「産婦人科 診療ガイドライン -産科編」で50mGy未満(放射線の量)は安全とされています。歯科のレントゲンは非常に少ない放射線量のため、この基準は歯科レントゲンで約5000回、CTでは約500回未満に相当します。

妊娠中の麻酔、レントゲン

Q. 妊娠中は麻酔をしない方が良いのでしょうか?

A. 通常はまず問題とされています。

痛みを我慢した治療では強いストレスや不安、緊張が妊婦の体(血圧や脈拍など)にも負担がかかるため、特に妊娠16週以降(5ヶ月)で痛みがあり、緊急性が高い場合には麻酔をした方が良いでしょう。

痛みの少ない麻酔の方法を活用することも可能です。また痛くなる前に検診や治療を済ませておくことも大切です。

授乳中の麻酔、お薬の副作用

Q. 妊娠中にお薬を服用することはできますか?

A. 基本的に妊娠中はお薬を服用しない方が良いですが、お薬を飲まないことで感染や痛みがひどく悪化したり、妊婦や胎児へ大きな悪影響がある場合には影響の少ない種類かつ必要最小限の量で服用が必要な場合もあります。

Q. 妊娠中は歯周病が進行しやすいのですか?

A. 妊娠期間中は女性ホルモンの増加、食生活の変化、つわりによる歯磨きの難しさなどから歯周病が進行しやすくなります。

約66〜98%の妊婦が歯周病という報告もあります。

歯周病と早産・低体重児出産

妊娠中の食べ物

Q. 赤ちゃんの歯を丈夫にするためには妊娠中に何を食べれば良いですか?

A. 歯をつくる栄養素にはカルシウムのほか、ビタミンA・C・D、リン、タンパク質などがあり、これらを含む食品をバランスよく摂る事が大切です。

Q. 赤ちゃんの歯を丈夫にするには牛乳を飲むのが良いですか?

A. 牛乳は健康な歯をつくるために必要な栄養素であるカルシウムの他、タンパク質や炭水化物、脂質、マグネシウム、鉄分、葉酸などの栄養素を豊富に含み、効率よく栄養を摂る事ができます。

赤ちゃんのアレルギー?

妊娠期間中の牛乳の摂取量と赤ちゃんのアレルギーとの明らかな関係性はないといわれ、厚生労働省の「妊産婦のための食事バランスガイド」でも、必要なカルシウムの量が増える妊娠末期・授乳期では牛乳や乳製品などから摂ることが推奨されています。

カロリーオーバー?

国民健康・栄養調査によると、20〜40歳代の日本人女性はカルシウム不足の傾向にあるため、乳製品や小魚、緑黄色野菜、豆類などから摂ることが推奨されています。

  • カルシウムの推奨量(650mg/日)
  • 20〜40歳代の日本人女性のカルシウム摂取量(約400mg/日)

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歯や骨の原料 カルシウム

Q. 牛乳を飲めない場合にはどうすれば良いですか?

A. 卵、チーズ、魚(いわしやめざしなど)、えび、豆類(豆腐や納豆など)、野菜(切り干し大根など)、海藻類(ひじきなど)にもカルシウムが豊富に含まれていますので、これらの食品から摂ると良いでしょう。

またカルシウムは吸収率(約20〜30%)が低い栄養素であるため、ビタミンD(キノコ類、サケ、サバなど)と一緒に摂ると効率的です。

妊娠中の歯磨き

Q. 妊娠中でつわりがひどく、歯磨きがうまくできない場合はどうすれば良いですか?

A. つわりがひどい場合には、気分が落ち着いたときに小さめの歯ブラシで歯磨きをするようにしましょう。

また食後や吐いてしまった後は口の中が酸性になり、歯が溶けやすくなるため、お水で口をゆすぐのも良いでしょう。

妊娠中の歯磨き

Q. 私は虫歯が多いのですが、赤ちゃんに遺伝したり、うつることはありますか?

A. 虫歯のなりやすさは歯の質、歯並びなど遺伝する部分もありますが、食習慣や歯磨きなどの生活習慣(環境)による問題も大きいといわれています。

また虫歯菌は母親やその他の家族などの唾液を介して赤ちゃんに感染するため、妊娠前あるいは妊娠期間中に歯科検診を受けて虫歯や歯周病を早めに治療するのが望ましいでしょう。

虫歯菌はうつる?!

Q. 赤ちゃんのために今からできることはありますか?

A. 赤ちゃんと接する家族全員が口の中をきれいにして、虫歯菌や歯周病菌をできるだけ減らすことが大切です。

また間食の頻度や食べ方(だらだらとお菓子を食べる)、バランスの良い食事など食生活の見直しや歯磨きの習慣を心がけて、虫歯になりにくい環境づくりをしていきましょう。

Q. 妊娠・出産をすると歯が悪くなることはありますか?

A. 妊娠中は虫歯や歯周病の危険性(リスク)は高まりますが、日頃からの歯科検診や虫歯・歯周病の早期治療で予防や重症化を防ぐことが可能です。

日常的に口の中をきれいに保ち、安心した出産を迎えられるようにしましょう。

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