光を当てるだけ?!
口腔がん検査(オーラルID)
初期の口腔がんは口内炎と似ていることもあり、なかなか治らない口内炎は口腔がんも否定できません。
ここでは、特殊な光を当て、口の粘膜の健康状態を観察する最新の医療機器「オーラルID」について、解説致します。
粘膜の異常を確認する
オーラルIDとは?
オーラルIDとは、口の中の粘膜に特殊な光(蛍光)を当て、粘膜の異常を調べる機器で、「口腔内蛍光観察装置」と呼ばれています。
特徴
- 口の中に特殊な光を当てるだけで検査可能。
- 外科処置(切開・縫合)や薬液、注射は不要。
仕組み
粘膜の深くまで到達する波長435~460nmの安全性の高い青色の光を照射し、発色の違いから粘膜細胞の健康状態を確認します。
健康な粘膜は蛍光発光して青緑色に、口腔がんやがんを疑う粘膜の場合は蛍光発光せず暗色に見えます。
検査方法
口の中の粘膜にオーラルIDの光を当て、粘膜の異常を確認致します。検査は痛みを伴わず、数分程度です。
その他、口腔がん特有の粘膜組織の異常、しこり、出血の有無などを専門的に診察致します。
*当院は大学病院口腔外科出身の歯科医師が在籍しております。
*オーラルIDは診断装置ではなく、粘膜の異常を確認する装置です。がんが疑われ、確定診断が必要な時は連携する医療機関(大学病院等)で精密検査を行います。精密検査は主に病理組織検査やCT、MRI撮影の検査などが行われます。
口腔がんについて
口腔がんは年間7,800人の方が死亡しており、5年生存率は約6割といわれています。
ただ、早期段階の口腔がんの5年生存率は約9割である一方で、進行すると約60%未満に急激に低下するため、早期発見・早期治療が非常に大切な病気です。
口腔潜在的悪性疾患
口腔潜在的悪性疾患とは、2017年にWHO(世界保健機関)より作られた分類で、がん化する可能性のある口の中の病気で、12の病気が挙げられています。
口腔潜在的悪性疾患には、粘膜が白色や赤色に変化する病気が多く含まれています。
- 紅板症
- 紅白板症
- 白板症
- 口腔粘膜下線維症
- 先天性角化異常症
- 無煙タバコ角化症
- リバーススモーキング(逆喫煙)による口蓋角化症
- 慢性カンジダ症
- 扁平苔癬
- 円板状ループスエリテマトーデス
- 梅毒性舌炎
- 光線角化症(口唇のみ)
がん化率の例
病名 | がん化率 |
---|---|
白板症 | 約3〜16% |
扁平苔癬 | 約1〜2% |
口腔がんの簡単セルフチェック
以下の項目をご覧いただき、「口内炎が治らない…」・「口の中に気になる傷がある」などと感じる場合は、担当医とよく相談しましょう。
- 口内炎が3週間以上なかなか治らない。
- なかなか治らない腫れや硬いしこりがある。
- 出血しやすい場所がある。
- 粘膜が赤い・白い。
- 原因不明な歯のぐらつきがある。
- 抜歯後の傷がなかなか治らない。
- 唇や舌などに痺れを感じる。
- 口臭がある。
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まとめ
初期の口腔がんははっきりとした見た目が出ないことも珍しくありません。当院では口腔内蛍光装置「オーラルID」を使った定期的な検診も承っております。
大学病院口腔外科出身の歯科医師も在籍しておりますので、口の中の粘膜で気になる点などございましたら、お気軽にご相談ください。
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