飲み込みにくい、むせやすい?!
口腔機能低下症とは?
最近、「食べ物が飲み込みにくい/噛みづらい」、「むせやすい」、「口が乾く」と感じることはありませんか。それらの症状は、もしかしたら「口腔機能低下症」かもしれません。
口の機能の衰えは自覚がないまま、少しずつ進行します。高齢化が急速に進行している現在、自覚症状がない高齢者が非常に増えているといわれています。
ここでは、全身の健康に関わる口の機能の衰え「口腔機能低下症」について、わかりやすくご紹介致します。
目次
口腔機能低下症とは?
口腔機能低下症とは、加齢や病気によって、飲み込む・噛む機能や唾液の分泌機能、口の中の感覚などが少しずつ低下している状態を指します。
*「口腔機能低下症」は2016年に日本老年歯科医学会により定められ、2018年に厚生労働省によって病名として設けられました。
どれくらいの人が該当する?
口腔機能低下症は50歳代の約50%が該当するとされ、以降、加齢とともに、さらに増加傾向がみられます。
放置するとどうなる?
口の機能の低下は単に「口が渇きやすい」、「少しむせやすい」などの問題ではなく、以下のように、全身の健康に大きな影響を与えます。
検査
以下の7つの機能のうち、3つ以上の機能が基準値以下だと、「口腔機能低下症」と診断されます。
- 口の中の細菌の多さ
- 口の乾き
- 噛む力
- 舌や唇の動き
- 舌の筋力
- 噛む機能
- 飲み込む機能
舌苔
舌の苔の付き具合を診て、口の中の細菌や汚れの多さを評価します。
舌苔とは?
舌苔とは、舌の表面に付着した白色〜黄色っぽい汚れです。舌苔には多くの細菌が含まれ、口臭や誤嚥性肺炎の原因になります。
口の乾き(水分量)
口の粘膜の水分量や唾液量を測定し、口の乾きを評価します。
唾液ってスゴい!
唾液は口の中の細菌の繁殖を抑えたり、食べ物を飲み込みやすくしたり、味を感じやすくするなどたくさんの働きをしています。一方で、加齢や病気によって唾液の分泌機能が衰えると唾液も減り、むせやすくなったり、味を感じにくくなります。
噛む力
残っている歯の本数を測定して(あるいは専用の紙を噛む)、噛む力を評価します。
噛む力と栄養
噛む力が衰えると、やわらかい食事を選びがちになり、栄養も偏りやすくなります。栄養が偏ったり、不足すると、全身の体力低下や要介護状態につながることもあります。
体の衰えを防ぐには、硬いものや繊維質の多いもの、噛みごたえのある食べ物を、しっかり食べられる力が必要です。
舌や唇の動き
「パ」「タ」「カ」をそれぞれ5秒間発音し、1秒間あたり何回発音できたかを評価し、唇や舌の運動機能を評価します。
舌や唇はどんな役割がある?
舌や唇は「食べる」・「飲み込む」・「しゃべる」などに深く関わっています。舌や唇の機能が低下すると、滑舌が悪くなったり、食べこぼしが増える原因になります。
舌の筋力
舌圧測定器で、舌の筋力を測定します。
舌と飲み込み
舌は食事をするときに、口の中で食べ物をまとめて、飲み込むのに大きな役割を果たしています。舌の筋力が弱まると、食べ物をうまく飲み込めない原因になります。
噛む機能
専用のグミを噛んで、噛む機能(咀嚼能力)を測定します。
噛む機能(咀嚼能力)って?
咀嚼機能は、食べ物を口の中でまとめて噛み砕く能力です。噛む機能が低下すると、誤嚥性肺炎や認知症、消化不良の可能性が高まります。
*肺炎で亡くなる方の約9割以上は65歳以上の高齢者で、誤嚥性肺炎の死亡率は約30%といわれています。
飲み込みの機能
日常生活での「飲み込み」に関する10個の質問にお答えいただき、飲み込みの機能(嚥下機能)を判断します。
飲み込みと肺炎
「飲み込み」には口や舌などの筋力や円滑な動きが必要です。口や舌などの筋力が低下し、「飲み込み」がうまくできないと、食べ物が肺へ侵入する危険性が高まります。
口腔機能低下症の予防や対策は?
口の衰えは早いうちに予防するのが効果的で、「口腔機能訓練」と呼ばれるお口の体操がおすすめです。検査と併せて「口腔機能訓練」の指導も承っております。
「飲み込みにくい」、「むせる」、「噛みにくい」など気になる変化がございましたら、お気軽にご相談ください。
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まとめ
口の機能は加齢とともに衰えがちで、放置すると食べられる物が限られ、全身の体力の低下にもつながります。
健康で長生きするためには、口や舌のトレーニングと定期的な口腔機能検査がおすすめです。飲み込みにくい、口が乾く、
噛みにくいなど気になる点がございましたら、お気軽にご相談ください。
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