舌が赤い?!
プランマー・ビンソン症候群とは?

疑問を感じる人たちの画像

プランマー・ビンソン(Plummer-Vinson)症候群とは、鉄分の欠乏による貧血を原因とし、口の中の粘膜や飲み込みに異常をきたす病気で、鉄欠乏性貧血の患者の約1〜2割にみられるといわれています。

症状

舌炎、口角炎、貧血、飲みこみづらさ・のどのつかえ感(嚥下障害)、匙状爪(スプーンネイル)、味覚障害などのさまざまな症状が報告されています。

舌炎、舌痛

赤くツルツルの舌のイラスト画像

舌の粘膜が異常をきたし、「赤く平らな舌」になり、刺激を受けやすくなります。

舌が歯や食べ物に触れた際や会話、歯磨きのときなどにも痛みを感じやすく、“ヒリヒリ”や”ピリピリ”した感覚や違和感を自覚することが多くなります。

口内炎、口角炎

口内炎の画像

鉄分は細胞の再生や安定などの健康面にも関わるため、舌以外にも口の中などの粘膜が正常な状態を保てず、頬や口角に炎症が起きやすくなります。

味覚障害

味覚障害の人のイラスト画像

舌の粘膜に炎症を生じ、味覚障害をきたすことがあります。味覚障害は亜鉛やビタミンB12の欠乏でも起きることが報告されています。

味覚障害

ビタミンB12 欠乏の舌炎

鉄欠乏性貧血

貧血のイラスト画像

鉄分はヘモグロビンをつくる材料であり、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。そのため、鉄分が欠乏するとヘモグロビンが減少し、酸素を運ぶ働きが低下し、貧血が生じます。

飲みこみづらいのどのつかえ感

舌や消化管の粘膜に異常をきたす(粘膜萎縮)ため、“飲みこみにくい”などの症状が出ることがあります。

匙状爪(スプーンネイル)

匙状爪(スプーンネイル)は鉄欠乏性貧血の症状の一つで、爪がスプーンのように反り返った状態になったものを指します。体内の鉄が不足し、爪が弱くなることが原因といわれています。

検査

 貧血が疑われたら、検査して原因を探す必要があります。

医療機関で血液検査をおこない、血液中の鉄分の量や赤血球の形・色などの異常、体内の鉄の貯蔵量などを調べます。

治療

プランマー・ビンソン(Plummer-Vinson)症候群の治療は、歯科・口腔外科や内科、耳鼻咽喉科などが連携しながらおこなわれ、鉄剤の飲み薬がよく使われます。(鉄分欠乏の原因となる持病がある場合には、鉄分の補給だけでなく、それらの治療も必要になります)

またおくちの粘膜の異常を伴う症状が出ている場合には歯科医院で診てもらい、別の病気の発症がないかなどを確認してもらうことが大切です。

鉄剤を飲むときの注意点

歯の着色 

・歯が茶〜褐色に着色することがありますが、歯磨きで取れない時は強く磨いたり、尖ったものでこすったりせず、歯医者さんでクリーニング(PMTC)をしてもらうと良いでしょう。

 食品や他のお薬との飲み合わせ

鉄剤と一緒に摂ると吸収に影響を与えるものがあるため、注意が必要です。以下の食品やお薬を飲む場合は、鉄剤と2〜3時間ほど間隔をあけると良いでしょう。

鉄の吸収率を低下させるもの
カルシウム 牛乳、乳製品など
抗生剤
  • セフジニル
  • キノロン系
  • テトラサイクリン系
甲状腺ホルモン製剤 チラーヂンS
胃薬
  • 水酸化マグネシウム
  • 炭酸カルシウム
  • 炭酸水素ナトリウム
 お茶の影響

従来、お茶と鉄剤は一緒に飲まないようにいわれてきました。これはお茶に含まれるタンニンという成分が鉄とくっついて吸収を妨げるためですが、近年では実際にはほとんど問題にならない程度であるといわれています。

 便の色

・便が一時的に黒くなることがあります。

まとめ

舌が赤く平坦(ツルツル)に見える場合は、鉄分の不足による異常かもしれません。舌の痛みや違和感は食欲低下を伴い、全身の免疫力の低下につながることもあります。

当院では大学病院口腔外科出身の歯科医師が在籍しております。舌がヒリヒリする(痛い)・違和感などを感じる場合は、お気軽にご相談ください。

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