舌がヒリヒリする・痛い?!
Hunter(ハンター)舌炎
舌に炎症が起きる病気「舌炎」。舌にヒリヒリとした痛みや灼熱感を感じ、食事を楽しむことができなくなったり、味を正しく感じにくくなることもあります。
ここでは、「舌炎」の一種「Hunter舌炎」を解説していきます。
目次
ハンター舌炎とは?
Hunter(ハンター)舌炎はビタミンB12 欠乏によって舌に炎症が起きる病気です。
原因
吸収に問題がある場合
ビタミンB12は胃、膵臓から出される胃液・膵液が手助けをして、その後小腸で吸収されます。そのため、これらの臓器に異常をきたす病気のいくつかはビタミンB12の吸収に影響を与えます。
悪性貧血
自己免疫疾患(自分の免疫が自分の体を攻撃してしまう病気)と考えられ、胃の細胞がやそこから分泌される“内因子”というビタミンB12の吸収に必要な物質が機能できなくなってしまうことが原因とされています。
*悪性貧血は国内で、人口10万人あたり1人という発症率とされています。
胃の手術をした方
胃がんなどで胃を切除した方や慢性胃炎の方などの場合、ビタミンB12の吸収に必要な“内因子”が不足するため、うまく吸収ができず、不足状態になりやすくなります。
慢性的な消化管の炎症
小腸の粘膜に炎症をきたすクローン病などの病気では、ビタミンB12の吸収を妨げる場合があります。
摂取不足による問題
菜食主義者(ベジタリアン、ヴィーガンなど)の方はビタミンB12を豊富に含む動物性食品からの摂取ができないため、不足しやすくなります。
症状
舌や口の中の粘膜の痛み、違和感
正常な舌の表面にみられるブツブツとした突起が縮み、「赤く平らな舌」になるのが特徴で、“ヒリヒリ”あるいは”ピリピリ”とした痛みや違和感が生じます。他の症状(貧血など)は出ず、この舌炎の症状が最初に出ることも珍しくありません。
*ビタミンB12が欠乏した場合、粘膜などの新陳代謝の早い細胞が特に影響を受けやすく、約3〜5割に舌に症状が出るという報告もあります。
味覚障害
舌の粘膜に炎症が起き、味覚障害をきたすことが報告されています。ビタミンB12の他、亜鉛や鉄の欠乏でも同様の異常をきたすことがあります。
検査
口の中の診察をし、必要に応じてカンジダ検査(口腔カンジダ症)やドライマウス(口腔乾燥症)の検査、血液検査をおこないます。
*口腔カンジダ症やドライマウス(口腔乾燥症)では似たような症状が出る場合や合併している場合もあります。
治療
ハンター舌炎の治療は歯科や内科などの複数の診療科が連携しながら行われます。ビタミンB12の補充が必要な場合は、筋肉注射や飲み薬による方法もあります。
飲み薬
近年では、ビタミンB12の内服薬を連日使うことでも治療効果が得られることが報告されています。
筋肉注射
ビタミンB12の注射を週に3回程度、4〜6週行い、その後は量を減らし、2〜3ヶ月に1回おこなわれます。
まとめ
舌の炎症は食事や会話などに影響を与え、生活に大きな支障をきたします。またうまく食事が摂れなくなると、健康や免疫力も損なうことがあります。
舌がヒリヒリする、痛いなど舌の異変を感じる場合はお気軽にお問い合わせください。
*当院では大学病院口腔外科出身の歯科医師のほか、管理栄養士も在籍しております。また口腔がん検診等のご相談のみも承っております。
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