気をつけたい!
誤嚥を防ぐための食事の工夫
誤嚥は肺炎を招き、命に関わることがあります。特に、65歳以上の高齢者や脳梗塞の後遺症、神経系の病気(パーキンソン病など)で飲み込みの機能が低下している方は誤嚥しやすく、注意が必要です。
一方で、誤嚥しやすい食べ物や食事の工夫などを知っておくと、誤嚥性肺炎の予防や対策につなげられます。ここでは、飲み込みに不安がある方の食事で気をつけたいものを、わかりやすく解説致します。
目次
誤嚥しやすい食べ物の種類と対策
☟下の表は、縦横に動かす(スクロール)ことができます。
食べ物の特徴 | 例 | 対策 |
---|---|---|
サラサラなもの | 水、お茶、ジュースなど。 |
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パサパサなもの | パン、カステラ、ゆで卵、クッキーなど。 |
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バラバラなもの | そぼろ、野菜のみじん切り、かまぼこ、こんにゃくなど。 |
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すっぱいもの | 酢の物、柑橘類、ところてんなど。 |
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粉っぽいもの | きな粉、粉薬など。 | とろみやゼリー状のものと混ぜる。 |
液体と個体が混ざったもの | 具入りの味噌汁、スープ、雑炊など。 |
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ベタベタなもの | もち、だんご、生麩など。 | 嚥下機能が低下している場合は、食品の変更が望ましい。 |
貼り付くもの | のり、わかめなど。 |
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麺類 | ラーメン、うどんなど。 |
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硬いもの | ピーナッツ、大豆など |
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覚えておきたい!水分の出る食べ物
食品の種類によっては食べているうちに、水分が出てくるものがあり、この現象を「離水(りすい)」と呼びます。
水気が多い食べ物は、「離水しやすい」、「離水が多い」といわれ、誤嚥しやすい食べ物になります。
離水しやすい食品
- がんもどき(ひろうす)
- おかゆ
- 高野豆腐
- スイカ、みかん
食事のときの姿勢
安全に食べ物を飲み込むには、正しい姿勢が大切です。ここからは、むせやすい姿勢や正しい姿勢の要点を解説致します。
むせやすい姿勢
以下の姿勢は気管が開いた状態になったり、意図しないタイミングで食べ物が喉へ流れてしまい、誤嚥の危険性が高まります。
- 頭が後ろに傾いている。
- 背中を倒しすぎている。
- 椅子に浅く腰かけている。
正しい姿勢
座れる場合
- 前かがみで、顎をやや引く。
- 背もたれのある椅子に深く腰をかける。
- 足の裏はしっかりと床に着ける。
- 椅子の高さはひざを直角曲がる程度にする。
- テーブルの高さはお腹辺りで、ひじが直角に曲げられる程度にする。
- テーブルとお腹の間は、こぶし1個分の空間を空ける。
座れない場合
- ベッドの角度は30〜60度にする。
- 枕やクッションを首の後ろに置き、頭をやや前傾にする。
- ひざを軽く曲げる(ひざの下にクッションを置く)。
- 体がずり下がらないように、足の裏にクッションを置く。
- オーバーテーブルを利用する。
食後の姿勢
胃からの逆流による誤嚥を防ぐため、食後1時間程度は上体を起こしておくと良いでしょう。
食べるときの工夫
一口量は小さめに
大きなスプーンなどで一口量が多くなると、飲み込みにくくなり、誤嚥しやすくなります。誤嚥の危険がある場合は、一口量が多くなり過ぎないように、ティースプーンなどを利用するのが良いでしょう。
1回ずつ口の中を空にする
口の中に食べ物が残っている状況で、食べ物を口に入れると飲み込みが追いつかず、誤嚥の危険が高まります。しっかりと飲み込んで口の中を空にしてから、次の一口を進めましょう。
適度な水分
飲み込みにくいもの(パンやゆで卵など)と飲み込みやすいもの(スープ、牛乳など)を交互にとるように心がけましょう。
食事に集中
飲み込みの機能が低下してるときは、会話やテレビを見ながらの食事で誤嚥することがあります。飲み込むときに気が散らない環境をつくるのも良いでしょう。
まとめ
誤嚥は命に関わる肺炎を招くことがあり、十分注意したい問題です。特に飲み込みの機能が低下している場合には、食事の調理や姿勢、食べ方などの工夫をして、誤嚥を予防するのがおすすめです。
当院では、むせる・うまく飲み込めないなどのお悩みの方には希望に応じて、飲み込みの検査を実施しております。肺炎を未然に防ぐために、ご質問やご要望がございましたら、お気軽にご相談ください。
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