歯石とは
歯石とは、菌の塊である歯垢(プラーク)が時間とともに硬くなったもので、基本的に歯ブラシで取り除くことができません。
また歯石の表面はザラザラしているため、歯垢がつきやすく、菌が繁殖する温床になり、歯肉炎や歯周病(歯槽膿漏)を悪化させる主な原因となります。
目次
歯石はどのようにしてできる?
歯石は、磨き残しの歯垢に唾液中のカルシウムやリンがくっついて徐々に硬くなっていきます。
歯垢の約50%はおおよそ2〜3日経つと石灰化し、10日以上経過すると約90%が石灰化して歯石へと変化していきます。
歯石の成分は?
歯石の主な成分はリン酸カルシウムという無機質です。その他、多くの細菌やタンパク質、脂質などの有機質、水などを含みます。
種類 | 割合 | 内容 |
---|---|---|
無機質 | 約80% | リン酸カルシウム |
有機質 | 約20% | 多数の微生物、タンパク質、脂質 |
歯石の種類
歯石は存在する場所によって、以下の2種類に分けられます。
歯茎を境目として、歯茎より上にある歯石(縁上歯石)、歯と歯茎の隙間にある歯石(縁下歯石)があります。
縁上(えんじょう)歯石
歯茎の縁(ふち)より上にある歯石で、灰白色や黄白色をしています。
縁下(えんか)歯石
歯茎の縁より下にあり、歯と歯茎の隙間(歯の根の表面)にたまる黒っぽい色をした歯石です。縁上歯石より硬いのが特徴です。
歯石ができやすい人、場所
歯石がつきやすい人
歯石のつきやすさには個人差があり、以下の問題が関与しています。
特に歯磨きがしにくいような歯並びや唾液が少なくて口の中が洗い流せない場合には歯石がつきやすくなります。
- 歯並び、歯の形
- 歯磨きの仕方
- 合っていないつめものやかぶせもの
- ドライマウス(口の乾燥)
- 口呼吸あるいは習慣的に口がぽかんと開いている
歯石がつきやすい場所
歯石がつきやすい代表的な場所は、唾液が出てくる部位(唾液腺開口部)に近い場所にある歯で、「下の前歯」や「上の奥歯」が挙げられます。
- 下の前歯の裏側
- 上の奥歯の外側
またそれ以外の場所で、例えば歯並びが悪く、歯ブラシが届きにくい場所などは歯石がたまりやすくなります。
放置するとどうなる?
歯石はざらざらしているため、細菌繁殖の温床となり、口の中の菌の増殖を招き、歯肉炎や歯周病(歯槽膿漏)、口臭の悪化につながります。
全身への影響
また歯周病(歯槽膿漏)の菌や毒素は、血流に乗って全身に運ばれ、糖尿病や動脈硬化、心臓病、脳卒中、早産・低体重児出産などの危険性を高めることが明らかになっています。
歯石を取り除くには
歯石は通常の歯磨きでは取れず、歯科医院(歯医者さん)で専門的な器具を使って歯石を取り除く必要があります。
一方で、歯石は誰の口の中にも常に必ず存在する菌(常在菌)によって発生するため、数ヶ月くらい経つとほとんどの方には歯石が再び付いていきます。
なるべく歯石をつきにくくするには、日常的な歯磨きで歯垢を取ることや歯科医院での定期的な歯石取り(歯石除去)がとても大切です。
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