睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療
睡眠時無呼吸症候群の治療の一つに、歯科用のマウスピースを用いる方法があります。
睡眠時無呼吸症候群の治療用のマウスピースは「オーラル・アプライアンス」や「スリープスプリント」とも呼ばれ、睡眠中にマウスピースを装着するという簡単な方法で、国際的にも広く普及しています。
ここでは、睡眠時無呼吸症候群で使うマウスピースについて、詳しく紹介していきます。
目次
仕組み
下顎を前方に出すマウスピースを装着することで、舌が後方(のどの奥)に沈むのを防ぎ、気道を広げ、いびきや無呼吸を改善します。
マウスピース治療の流れ
マウスピースをつくる場合、型取り(歯型)をおこない、個人の歯やあごに合った装置を作製致します。
通常治療回数は2〜3回程度で、簡単に製作することができます。
マウスピースの種類
睡眠時無呼吸症候群の治療用マウスピースは以下の2種類があります。
- 下あごを前方に出す装置(上下一体型と上下分離型)
- 舌を前方に出す装置
*日本睡眠歯科学会による大規模調査の結果によると、複数の大学病院を含む多くの専門医療機関では1が最も広く(約9割以上)使用されています。
種類 | 利点 | 留意点 | 普及率 |
---|---|---|---|
下あごを前方に出す装置 (上下一体型) |
|
|
91.8% |
下あごを前方に出す装置 (上下分離型) |
|
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7.9% |
舌を前方に出す装置 |
|
|
0.3% |
装置の種類については、患者様の状態などに応じて、複数の種類を承っております。
装置の種類
種類 | 特徴 | 保険適用の可否 |
---|---|---|
モノブロックハードタイプ | 上下のマウスピースを一体化した装置で、口呼吸を防止し、鼻呼吸を促します。 | 可 |
ソムノデント フレックス | 内面に柔らかい特殊素材を使用している装置。 | 否 |
ソムノデント フュージョン | 「フレックス」とほぼ同等の機能で、調整の幅がより広くなった特徴があります。 | 否 |
ソムノデント アバント | 上下をワイヤーで固定する種装置ですが、固定しながらも自由度があり、あごを左右に動かせます。 | 否 |
ソムノデント エデンチュラス | 歯がない人を対象とした装置。 | 否 |
サイレンサー NKコネクターII ハーブストアプライアンス Metzアプライアンス TAP |
上下のマウスピースを専用のコネクターで接続する装置。下あごを動かせる自由度があります。 | 否 |
マウスピース治療の適応
適応になる方
- 軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群の方
- 中等度〜重症の睡眠時無呼吸症候群で、鼻マスク[経鼻持続陽圧呼吸療法:CPAP(シーパップ)]による治療継続ができない方
適応にならない方
- 鼻呼吸が全くできない方
- 重度の呼吸不全の方
- 顎の関節に重度の異常がある方
- 扁桃の肥大があり、気道がとても狭い方
マウスピース治療のメリット・留意点
メリット
- 旅行や出張などの外出時でも、持ち運びしやすい。
- 継続的に支払う費用が発生しない。
- 装着しやすい。
- 中等度以上の睡眠時無呼吸症候群で、鼻マスク[経鼻持続陽圧呼吸療法;CPAP(シーパップ)]の治療をやむを得ず、継続できない方
留意点
マウスピースを使用する一部の方に、起床時の顎の違和感や痛み、口の乾きなどが見られることがあります。
ただし、ほとんどの症状は起床後数分から数時間以内に消失します。
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マウスピースの治療効果
マウスピース(スリープスプリント)の使用による治療効果は約70%(*1)といわれています。
また京都大学医学部附属病院の報告(*2,*3)によると、マウスピースの使用により、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数は約6〜7割も減少したとの報告もあります。
※睡眠時無呼吸症候群のマウスピースは通常2〜3回の治療で作製可能です。また持ち運びに不便な重さはございません。マウスピース治療をご希望の際は、お電話にてお気軽にご相談ください。
(参考文献)
*1:Lowe AA:Dental appliances for the treatment of snoring and obstructive sleep apneas,in;Kryger MH, Roth T,Dement WC:Principles and Practice of Sleep Medicine, 2nd Saunders, Philadelphia
*2:Yoshida K. Effect of oral appliance therapy for sleep apnea syndrome on blood pressure. Int J Prosthodont 19: 463-468, 2006
*3:Yoshida K. Effect of a mandibular advancement device for the treatment of sleep apnea syndrome and snoring on respiratory function and sleep quality.Cranio 18:98-105