睡眠時無呼吸症候群とお酒、睡眠薬
お酒を飲むといびきをかきやすい?!
「お酒を飲むといびきをかきやすい」、「夜中にトイレに行きたくて目が覚めた」そのような経験をされた方も多いのではないでしょうか。実は、飲酒する人は、飲酒しない人と比べ、睡眠時無呼吸症候群の危険性が25%増加するのです。
また寝酒をする日本人の割合は約3割といわれ、気づかぬうちに、いびきや睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性があります。
ここでは、お酒や一部の睡眠薬と睡眠時無呼吸症候群の関係などについて、わかりやすく解説致します。
睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まるのはなぜ?
お酒や一部の睡眠薬は、舌や気道周囲の筋肉を弛緩させる作用があり、舌が奥に沈み(舌根沈下)、気道が狭くなるため、睡眠時無呼吸症候群の危険性が高まります。
不眠とお酒、睡眠薬
不眠の症状(眠れない、夜中に目が覚める、熟睡できない等)がある人は、成人の3割以上といわれ、睡眠の悩みを抱える人は少なくありません。
また寝酒をする日本人は30.3%、睡眠薬を服用している日本人は7.4%といわれています。
睡眠薬の種類
日本で使用される睡眠薬は主に、
- ベンゾジアゼピン受容体作動薬
- メラトニン受容体作動薬
- オレキシン受容体拮抗薬
が代表的です。中でも、最も多く使用されている種類が「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」です。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は舌やのど周りの筋肉が緩み、気管が狭くなる可能性が指摘されています。
ベンゾジアゼピンのお薬
種類 | 例 | |
---|---|---|
ベンゾジアゼピン受容体作動薬 | ベンゾジアゼピン系 |
|
非ベンゾジアゼピン系 |
|
特に、クアゼパム(ドラールの成分)は睡眠時無呼吸症候群の患者に対して、呼吸障害を悪化させるおそれがあることから使用禁忌とされています(「ドラール®錠添付文書」一部引用)。
またフルラゼパム(ダルメート、インスミン、ベノジール等の成分)は睡眠時無呼吸症候群を誘発したとの報告があり、アメリカでは睡眠時無呼吸症候群に対して使用禁忌とされています。
(参考資料)「DI室 Q&A 睡眠時無呼吸症候群を悪化させる薬剤」石川悦子先生ら 治療学 vol. 40 no. 6, 2006
その他のお薬
近年注目されているのが、
- メラトニン受容体作動薬
- オレキシン受容体拮抗薬
です。いずれも、自然な睡眠や覚醒を促し、副作用が少ないのが特徴です。
種類 | 例 |
---|---|
メラトニン受容体作動薬 |
|
オレキシン受容体拮抗薬 |
|
まとめ
お酒と睡眠薬は舌や気道の筋肉が緩み、気道が狭くなるため、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。特にお酒は睡眠薬より入手しやすく、習慣化する危険があります。
またお酒は睡眠の量や質を低下させるため、寝酒を繰り返さないことも大切です。
睡眠中のいびきや呼吸で気になる点等ございましたら、お気軽にご相談ください。
(参考資料)
・「お酒と睡眠 ~「眠るための飲酒」は避けましょう~」よこはま企業健康マガジン第56号(令和元年9月4日配信)
・「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」三島和夫 先生 精神保健研究 60: 55- 62, 2014
・ポスターセッション「ライフスタイル・ストレス」国立保健医療科学院疫学部 土井由利子氏
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