口腔カンジダ症
うつる?!症状や原因、治療法は?

口腔カンジダ症という病気をご存知でしょうか。「舌が白い」、「舌がヒリヒリと痛い」、「口の中が苦い」、「口臭がある」などお悩みの方で、いずれかに当てはまった方は口腔カンジダ症かもしれません。

口腔カンジダ症は口の中でカビが繁殖する病気で、近年患者数は増加傾向にあります。

ここでは、口腔カンジダ症について、わかりやすく解説していきます。

口腔カンジダ症の画像

口腔カンジダ症とは

口腔カンジダ症とは、カンジダ菌というカビ(真菌)が口の中で異常に増殖する病気です。口腔カンジダ症では主に「Candida albicans」という種類の菌が検出されます。

カンジダ菌について

カンジダ菌は成人の約4割の口の中のいる常在菌の一種で、異常に増殖しない限りはほとんど悪さをしません。

しかし、加齢や服用中の薬の副作用などで免疫力が低下すると、カンジダ菌が異常に増殖して、口腔カンジダ症を発症します。

口腔カンジダ症はうつる?

口腔カンジダ症は性行為やキスなどをきっかけに発症する可能性があります。

またカンジダ菌は常在菌であるため、他人との接触がなくても、個人の免疫力や体調の変化をきっかけに発症することもあります。

症状

口腔カンジダ症は、主に以下の症状が見られます。

  • 舌が痛い/ヒリヒリする・ピリピリする
  • 舌が白い/口の粘膜に、拭くと取れる白いかすがある(偽膜性カンジダ症)
  • 舌が赤くツルツルしている(萎縮性カンジダ症)
  • 口の中が苦い、変な味がする
  • 唇や口角が荒れる

*自覚症状がないこともあります。

がんや肺炎、内臓への感染

口腔カンジダ症の一種である「慢性カンジダ症」は、2017年にWHO(世界保健機関)によって「口腔潜在的悪性疾患」(がん化するかもしれない口の中の病気)に分類されています。「慢性カンジダ症」の約10%が口腔がんを発症したという報告もあります。

さらに、カンジダ菌を含む唾液を誤嚥すると「真菌性肺炎」を引き起こしたり、菌が血流によって運ばれると「内臓真菌症」を起こす恐れもあります。

口腔潜在的悪性疾患とは?

原因

口腔カンジダ症の原因は口の中の汚れや乾燥などによる「口の中の問題」、持病や服用薬・免疫力低下による「全身の問題」に分けられます。

内容 発症の危険性を高めるもの
口の中の問題
  • 口が乾く
  • 口呼吸をしている
  • 入れ歯の汚れ
  • 口の中の汚れ
全身の問題
  • 免疫力が低下する病気(糖尿病、エイズ等)
  • ステロイド剤や免疫抑制剤の服用
  • 抗生剤の長期服用
  • ストレスや疲労、加齢など

口が乾く

口の中は唾液によって、菌の繁殖を防いでいます。しかし、唾液の量が少なかったり、口呼吸が続くと、口の中を洗い流せず、菌が増殖してしまいます。

口の乾きと口腔カンジダ症の関係を示す画像

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口が乾く(ドライマウス)

口呼吸

口の中や入れ歯の汚れ

口の中が汚れていたり、入れ歯の洗浄が不十分だと、細菌やカビが繁殖しやすくなります。

入れ歯と口腔カンジダ症の関連を示す画像

入れ歯の洗浄も大事!

汚れた入れ歯の画像

入れ歯は細菌やカビが住みつきやすいものです。実に、カンジダ菌は入れ歯使用者の約60%以上に検出されるといわれています。

入れ歯を使用する場合は、

  • 入れ歯洗浄剤を使用する
  • 寝るときは外す(一部例外あり)

など正しい使用方法と洗浄方法が心がけましょう。

入れ歯の洗浄方法

入れ歯のカビが原因?!カンジダ性口内炎

口腔カンジダ症の種類

口腔カンジダ症は、

  1. 白いカンジダ症[偽膜性カンジダ症]
  2. 赤いカンジダ症[萎縮性(紅斑性)カンジダ症]
  3. 厚いカンジダ症[肥厚性カンジダ症/]

の3種類に大きく分けられ、各特徴があります。

白いカンジダ症
[偽膜性カンジダ症]

口腔カンジダ症の中で最も頻度の高い種類です。*鵞口蒼(がこうそう)と呼ばれることもあります。

舌や口の粘膜に白い・黄色の苔やかすのようなものがつきますが、拭くと取れるのが特徴です。

症状

自覚症状がないことが多いですが、ひどくなると舌や口の中の粘膜に痛みを感じます。

赤いカンジダ症
[萎縮(紅斑)性カンジダ症]

舌や口の粘膜に赤色の斑点が現れるのが特徴で、入れ歯が汚れている場合に発症しやすいです。

症状

舌や口の中が痛い・ヒリヒリする、口が乾く、味覚障害などの症状を伴うことが多いといわれています。

厚いカンジダ症
[肥厚性カンジダ症]

口の粘膜に厚くて硬い白色の苔のようなものができるのが特徴で、主に舌や頬の粘膜に発生します。

肥厚性カンジダ症は「白いカンジダ症」が長引く(慢性化)と発症し、他のカンジダ症よりがん化する危険性が高いと報告され、「口腔潜在的悪性疾患」(がん化するかもしれない口の中の病気)に分類されています(2017年WHO[世界保健機関])。

症状

自覚症状はあまりありませんが、舌や頬の粘膜が白く厚く硬くなるため、違和感などを感じやすくなります。

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口腔潜在的悪性疾患

検査(保険適応、当院にて実施)

口腔カンジダ検査

口腔カンジダ症の検査方法は、患部を綿棒でこすって培養する方法があります。痛みを伴わず、保険適応で行うことができます。数日間の培養後に結果(陽性、陰性)を判定します。

*なお、電話では患者様御本人の確認が取れないため、個人情報保護法および守秘義務の点から結果の報告はできません。予めご理解くださいますようお願い申し上げます。

治療

口腔カンジダ症は抗真菌薬による治療が一般的です。その他、口の中を清潔にするクリーニングや生活習慣の改善、口の乾燥を防ぐ取り組みなども大切です。

(詳細記事)

口腔カンジダ症の治療・予防

まとめ

口の中に乾きや違和感・痛みを感じたり、舌の色に異常を感じたら、口腔カンジダ症かもしれません。

また慢性カンジダ症は「口腔潜在的悪性疾患」に分類され、放置するとがん化の恐れもあるため、気になる場合には早めの相談がおすすめです。

当院では口腔カンジダ症の検査を取り扱っております。また大学病院勤務歴のある歯科医師が在籍しておりますので、ご不明な点等ございましたら、お気軽にご相談ください。

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